アルバイトであっても、条件によっては健康診断の義務が課せられます。この記事では、健康経営を推進していきたい人事・総務部の担当者や新しく健康診断の担当者となった方へ向け、アルバイトへの健康診断実施の必要性と、受診義務の対象となる条件を解説します。アルバイトへの健康診断費用は企業が負担すべきかについても説明していますので、ぜひ参考にしてください。
労働安全衛生法により、「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行わなければならない」ことが定められています。そして、労働安全衛生規則により、「常時使用する労働者に対し、1年以内ごとに1回、定期に、医師による健康診断を行わなければならない」ことも定められています。これはアルバイトやパートタイマーといった非正規労働者に対しても同様で、「常時使用する労働者」であれば健康診断の実施義務が発生します。
健康診断を行わなければならない従業員の条件は、「常時使用する労働者」であることです。その「常時使用する労働者」とは、以下の2つの条件を満たす者が該当します。
つまり、企業は1年以上雇用(予定も含む)していて、労働時間が正社員の4分の3以上働くアルバイトに対し、健康診断を実施する義務があるということです。該当のアルバイトに正社員と同様の健康診断を受診させていなければ、法律違反となってしまいます。
なお、週所定労働時間が正社員の1/2以上3/4未満となる労働者については、健康診断を実施させる義務はありませんが、厚生労働省の通達には、健康診断の実施が望ましいとされています。
実際に、平成26年に厚生労働省が実施した「パートタイム労働者の健康管理に関する調査」では、70%以上の企業が正社員の週所定労働時間の1/2以上、3/4未満の労働者に対しても健康診断を実施しているという結果になりました。実施義務のないアルバイトにも健康診断を実施することが、社会のスタンダードになりつつあります。
非正規労働者でも条件を満たす者であれば、健康診断の実施は企業に義務付けられています。厚生労働省によると、企業に健康診断の実施義務がある以上、健康診断の費用は当然企業が負担すべきとされています。また、健康診断を受診している間の時給についても、企業が支払うことが望ましいとされています。
同省は「一般健康診断は事業者に実施義務を課したもので、業務遂行との直接関連はないため、受診中の給与は労使間の協議によって定めるべきもの」としていますが、円滑な受診のためには、受診に要した時間の賃金を企業が支払うことを推奨しています。
受診中の賃金の支払いがなくても法律違反にはならないものの、従業員の健康管理やモチベーション向上のためにも、福利厚生の一環として実施時の賃金を負担し、健康診断を実施するのがおすすめです。
健康診断の費用は、従業員1人につき5,000~15,000円が相場です。価格の幅が広いのは、健康診断が保険適応外の自由診療であることに起因し、健康診断を実施する医療機関によって金額が異なります。費用を従業員の自己負担とすると高額になるため、企業が費用を負担すると従業員の満足度が高くなるでしょう。
従業員の満足度が高くなれば、自ずとモチベーションが上がり、離職率が下がることが考えられます。また、健康診断が企業負担であれば気軽に受診しやすくなるため、病気の予防や早期発見に繋がり、治療・入院による人手不足も防げるでしょう。
つまり、アルバイトをはじめとする従業員の健康診断実施や健康診断費用の企業負担により、効率的に健康経営を推進できるということです。よって、健康診断の実施義務のないアルバイトに対しても、健康診断を受けてもらうのが望ましいでしょう。
「常時使用する従業員」に該当するアルバイトには、健康診断を受けさせなければなりません。しかし、自分が健康診断を受ける必要のある従業員だということを知らないアルバイトもいるでしょう。受診させる義務のある従業員に健康診断を受けさせていないと法律違反になってしまうため、対象となるアルバイトが健康診断を受けたかどうかの確認は欠かせません。
もしも紙ベースで健康診断結果を管理している企業であれば、ペーパーレスのクラウド型健康管理システム「Growbase(旧:ヘルスサポートシステム)」の導入がおすすめです。紙で健康診断結果を管理していると、嵩張るうえにデータチェックにも時間がかかります。見落としや紛失なども起こりやすくなり、知らないうちに違法とされてしまう恐れがあるでしょう。
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非正規労働者であるアルバイトでも、一定の条件を満たしていれば健康診断を受けさせる義務が生じます。しかし、厚生労働省の通達によれば、条件を満たさないアルバイトであっても健康診断の実施が望ましいとされています。
健康診断の実施は義務が伴うものの、労使ともにメリットのあることです。従業員の心身の健康に配慮できる企業でこそ健康経営は成り立つため、アルバイトにも健康診断を実施し、人材という企業にとっての財産をなくさないよう努めるべきでしょう。