健康経営アドバイザーは、自社の健康経営推進に一役買う存在です。しかし、健康経営アドバイザーがどのように健康経営を推進していくのかわからない、という方も多いでしょう。
この記事では、これから健康経営アドバイザーの資格を取得したい経営者や人事・総務部の担当者、健康経営アドバイザーを採用したいと考えている方に向け、健康経営アドバイザーの概要や資格を保有するメリット、資格の取得方法について解説します。
健康経営アドバイザーについての知識を深める前に、まず健康経営そのものについての理解を深めましょう。健康経営の推進を目指すNPO法人健康経営研究会では、健康経営は以下のように説明されています。
健康経営とは「企業が従業員の健康に配慮することによって、経営面においても大きな成果が期待できる」との基盤に立って、健康を経営的視点から考え、戦略的に実践することを意味しています。今後は、「人という資源を資本化し、企業が成長することで、社会の発展に寄与すること」が、これからの企業経営にとってますます重要になっていくものと考えられます。
引用:NPO法人健康経営研究会「健康経営とは」
企業にとって、人は資本です。企業利益は働く人が健康であってこそ生み出されるので、経営戦略としても従業員の健康管理は欠かせません。昨今、過労やストレスによる心身の不調を訴える人が増加しています。従業員の健康が社会的な問題になっている現代だからこそ、健康経営が注目されています。
健康経営アドバイザーは、経済産業省からの委託を受けた東京商工会議所が2016年に創設した資格制度です。東京商工会議所の研修プログラムを修了し、効果測定で一定の基準を満たすことで資格を得られます。
創設から3万人以上が受講し、とくに健康経営を推進したい経営者や人事・総務部の担当者などが多く受講しています。自宅でもオンラインで受講できるe-ラーニングで研修が可能なため、年々受講者数が増加中です。
2020年の新型コロナウイルス感染症発生以降、テレワークの割合が増加しています。それに伴い、従業員における生活習慣病やメンタルヘルス不調者も増加傾向にあります。従業員の心身の健康が損なわれると、生産性の低下や事故リスクの上昇、不祥事の発生リスクの上昇、ゆくゆくは休職・退職のリスクも招きかねません。健康経営の推進が上記のようなあらゆるリスクを防ぐことに繋がるため、健康経営アドバイザーへの注目が高まっているのです。
また、新型コロナウイルス感染症の発生により、従業員の健康管理が難しくなったとされています。しかし、健康長寿産業連合会の調査によれば、健康経営に既に取り組んでいた企業の6割以上が、これまでの取り組みが新型コロナウイルス感染症対応によい効果をもたらしたと回答しました。
【新型コロナウイルス感染症対応へのよい影響】
・ヘルスリテラシー向上による自発的な健康管理
・従業員の健康に対する組織立った対応
・アプリやオンライン面談などの遠隔で施策を実施する体制
引用:健康長寿産業連合会「新型コロナウイルス流行下における健康経営の取り組み状況に関する調査結果」
健康経営アドバイザーの研修では、上記に挙げたような対応や体制などについて学べます。健康経営アドバイザーの資格保有者には感染症対策に特化したテキストも無償で配布されているため、コロナ禍の昨今、健康経営アドバイザーに注目する企業が増加しているのです。
健康経営アドバイザーの資格を取得する、あるいは健康経営アドバイザーを採用するメリットは、以下3点が挙げられます。
健康経営は国民の健康寿命の延伸に関する取り組みの1つで、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。経済産業省では承認制のプログラムとして、「健康経営銘柄」と「健康経営優良法人認定制度」を導入しています。これらの認定を受けると、従業員の健康の保持や生産性の向上といった社内でのメリットだけでなく、社会的な評価も高まります。
しかし、その承認制度は認定基準が毎年変わり、全く同じ施策では前年と同じ評価が得られるとは限りません。時代とともに健康経営の考え方や概念も変化していくため、毎年新しい基準が設けられます。健康経営アドバイザーが社内にいれば、追加される新たな概念をいち早くキャッチアップできるようになります。
健康経営アドバイザーの知識により、顧客に付加価値を提供することができます。例えば、営業部門の従業員が健康経営アドバイザーの資格を有していれば、自社の商品やサービスが健康経営に与える影響を説明できることから、より説得力のある提案ができるようになるでしょう。
また、健康経営アドバイザーの上位資格である「健康経営エキスパートアドバイザー」を取得すれば、企業名とともに東京商工会議所ウェブサイトへ記名してもらうことも可能です。提案にさらなる信頼性や訴求力を持たせることができます。
健康経営アドバイザーの資格を取得すると、次のような業務が可能になります。
健康経営アドバイザーの資格を取得するには、研修プログラムを修了した後、効果測定に合格する必要があります。ここでは、資格取得までの具体的な方法を紹介します。
健康経営は、常に新しい知識や考え方が更新されていきます。そのため、健康経営アドバイザーの認定期間は認定日より2年間となっています。つまり、資格を保有し続けるためには2年ごとの更新が必要ということです。更新する際には再度研修の受講と効果測定の受験が必要になり、受講料も必要になります。
健康経営アドバイザーの資格を得ると名刺などにも記載できるようになりますが、認定期間を超えての記載はしないように注意しましょう。
健康経営アドバイザーには、上位資格があります。それが、「健康経営エキスパートアドバイザー」です。
健康経営エキスパートアドバイザーは健康経営アドバイザーと違い、受験資格が設けられていたり、試験の難易度が高かったりします。健康経営エキスパートアドバイザーの研修を受講できるのは健康経営アドバイザーの資格を持っていることに加え、以下の資格または実務経験を有することが条件となります。
受講に必要な資格 | 受講に必要な実務経験(おおむね1年以上) |
・中小企業診断士 ・社会保険労務士 ・医師 ・保健師、看護師 ・労働衛生コンサルタント ・管理栄養士 ・健康運動指導士 |
・医療保険者・医療機関・健診機関等での勤務経験など ・経営者本人または、経営企画など企業経営に従事していた経験など ・人事担当者、労務管理担当者として従事していた経験など ・健康経営の普及や支援に携わっていた、企業などで実践に関わっていたなど |
健康経営アドバイザーに比べ、経営エキスパートアドバイザーの試験難易度は高くなっています。研修後に受験する知識確認テストは多肢選択式による50問の問題が出題され、合格するにはおおむね8割以上の正答率が必要です。試験には、90分の時間制限もあります。
また、試験合格後はワークショップへの参加も必要です。ワークショップでは事例企業の情報に基づいて「健康経営診断報告書」を作成して事務局に提出し、おおむね8割以上の正答があった受講者が「健康経営エキスパートアドバイザー」として認定されます。
受講料は、知識確認テストがテキスト代込みで7,700円、テキスト発送なしの場合は5,500円、ワークショップが22,000円(いずれも税込)です。健康経営アドバイザー同様、認定日から2年間の有効期限があるため、更新し忘れないように注意しましょう。
健康経営エキスパートアドバイザーは、難易度の高い試験をくぐり抜けて取得できる資格です。健康経営に関する知識を持つ人材を採用したい・健康経営に関するアドバイスが欲しいなら、健康経営エキスパートアドバイザーの資格を有する人の採用や協力を得るのがおすすめです。
健康経営アドバイザーは、社内に健康経営を浸透させるためになくてはならない存在です。健康経営アドバイザーの最初の仕事は、各企業における健康課題を抽出することです。しかし、健康課題を抽出するのに時間がかかってしまうと、健康経営実施案の計画や施策の実行自体にも遅れが生じてしまいます。社内の健康経営アドバイザーが少人数であればあるほど、そのリスクは高まるでしょう。また、健康情報が紙ベースで管理されている企業では、健康課題抽出までの負担が大きくなりやすいといえます。
そこでおすすめなのが、従業員の健康情報を一元管理できるクラウド型健康管理システム「Growbase(旧:ヘルスサポートシステム)」の導入です。Growbaseは健康診断結果、ストレスチェックデータ、就労データ、面談記録などの従業員の健康情報をペーパーレスで管理できるため、紙ベースでの管理に比べて飛躍的に健康課題の抽出を効率化することができます。
システムに慣れていない健康経営アドバイザーでも直感的に操作できる簡単な作りになっており、すぐに使い慣れるようになるでしょう。社内に健康経営アドバイザーを抱えようと考えているのであれば、同時にGrowbaseの導入も検討するのがおすすめです。
Growbaseを導入することにより、健康管理業務にかかる時間や工数を削減することが可能です。組織全体の健康課題を可視化することで、早めのフォローを実施しやすくなります。
また、使いやすいUIと自由度の高い機能を備えており、個別・一括メール配信、面談記録、受診勧奨、部下状況、特殊健康診断の業務歴調査と管理、健診データ一元化、各種帳票出力(労基報告など)、ストレスチェック、長時間労働管理などの機能が充実しています。
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