健康管理能力検定とは、文部科学省が後援する健康管理や予防医学に関する資格試験のことを指します。健康管理については様々なメディアが多種多様な情報を出しており、どれが本当に健康に良いことなのか、戸惑うことも多いでしょう。企業としても、従業員の健康を守るためには、本当に健康に良いことは何なのか、また個々の状況に合わせた健康管理方法なども知っておく必要があります。そこで、今回は健康管理能力検定について、級の違いやメリット、受験方法などを詳しくご紹介します。
健康管理能力検定(健康管理検定)とは、健康で美しくなるための「時間健康科学」の知識を身につけるための検定です。人間の身体には「時計遺伝子」が備わっており、睡眠時間や肌のターンオーバー、ホルモンの働きなどを司り、身体の様々なリズムを作ります。時計遺伝子による体内時計が乱れると、心身の不調を引き起こす原因の一つになりえます。
古来より、人間は朝、太陽がのぼると起き出し、陽が沈むと眠るという自然環境に合わせた生活を送ってきました。しかし、現代ではスマホなどの光や夜勤などの仕事、深夜営業のお店の光などによる不規則な生活、運動不足や食生活の乱れなど、体内時計を乱す要因が多く存在します。
こうした要因で体内時計が乱れると、不眠や肥満、慢性疲労、肌トラブルやメンタルの不調などを引き起こし、やがては生活習慣病をはじめとした様々な病気につながるリスクがあります。体内時計に合わせた規則正しい生活リズムを作り、体内リズムを整えることが美や健康に、そして将来的な病気の予防にもつながると考えられます。
健康管理能力検定では、こうした体内リズムにおける正しい知識を身につけることを目的としています。健康管理能力検定には3級〜1級があり、それぞれ以下のように異なっています。
健康管理能力検定3級では、時計遺伝子から導き出された「時間健康科学」の最も基礎、生活リズムについて学びます。人間は年齢や性別、ライフステージによって望ましい生活リズムが異なるため、体内時計の仕組みやそのリズムに沿った1日、1週間、1ヶ月、1年の生活や、ライフステージ別に正しい生活リズムを整え、保つことが重要です。
健康管理能力検定3級に合格すると「生活リズムアドバイザー」の称号を得られます。健康管理の基本である食事・運動・睡眠の3本柱を中心に、正しい生活リズムを自ら身につけられるほか、身近な人の健康管理をしたり、美と健康のアドバイザーとして活躍できます。
健康管理能力検定2級では、時計遺伝子から導き出された「時間健康科学」の応用編、体内リズムについて学びます。人間の体内リズムは一定ではなく、それぞれの臓器や働きにそれぞれのリズムが存在します。そして、リズムが連携してバランスをとりながら健康を保っているのです。
食べ物を食べ、栄養を吸収して代謝するというリズムや、体内時計の仕組みをより深く知ることで、身体の中からキレイになる方法、健康的なダイエットの仕方などがわかります。体内のホルモンの動きや分泌される時間帯を知ることで、健康的な心身を手に入れるための睡眠のとり方や運動の仕方を身につけられます。
健康管理能力検定2級に合格すると、「健康リズムカウンセラー」の称号を得られます。各種器官の働きやそれぞれのリズムを知り、心身を健康に働かせる方法を得られるほか、職業レベルで顧客に対して正しい健康情報を発信できるようになるため、美と健康のカウンセラーとして活躍できるようになります。
健康管理能力検定1級では、体内時計の仕組みや様々な身体のリズムに関する知識を踏まえた上で、健康管理や予防医学のより深い知識を身につけます。生活リズムの乱れは体内リズムに影響を及ぼし、生活習慣病を引き起こすことがあります。そこで、健康管理能力検定1級では全6冊に及ぶ広範囲なテキストを使い、それぞれ以下のような内容を学びます。
1級の学習範囲は多岐にわたり、健康管理の概論から各種生活習慣病、メンタルヘルス、栄養学、生活環境や体を守るための健康知識にまでおよびます。1級に合格すると「健康リズムプロフェッショナル」かつ「健康管理士一般指導員」になることができ、健康管理士一般指導員として研鑽を積めば、健康管理士の上位資格を取得することも可能です。
健康管理能力検定を受験するメリットについて、企業内で活かせるものを3つご紹介します。
健康管理能力検定を受験すると、健康や予防医学に関する基礎的な知識を身につけることができます。体内時計という言葉は広く知られていますが、体内時計や体内リズムを知ってどう健康管理や病気の予防に活かせば良いかという点はまだまだ知られていません。そこで、健康管理能力検定の勉強をすれば、体内リズムを中心とした健康管理、予防医学を体系的に学べます。
健康管理や予防医学の基礎知識が身につくと、誤った健康情報を見分けられ、正しい情報を取捨選択できるようになります。すると、自分や同僚、上司の健康管理に役立てられるでしょう。また、2級以上を取得すれば知識を活かして顧客とコミュニケーションをとったり、業務に役立てたりすることもできます。
健康管理能力検定を受験し、健康管理や予防医学について正しい知識が身につけば、従業員の健康管理に活かすことができます。例えば、近年推奨されている「健康経営」は、予防医学の考え方に基づいています。単に病気を早期発見するのではなく、病気になる前に健康管理を行い、健康な身体を保つことで、従業員のモチベーションやパフォーマンスを最大限に活かすという考え方です。
人事・総務の担当者や経営者が健康管理能力検定に合格し、知識を得ていれば、健康経営を推進していく上でどんな手法があるか、自社にどんな課題があり、どんな改善方法があるか見つけやすくなるでしょう。従業員の健康を守るためにも、健康経営を推進していくためにも、非常に有益だと言えます。
医療従事者や福祉・美容従事者などの場合、健康管理能力検定に合格することで、患者や顧客により良い健康関連のアドバイスができるようになるでしょう。特に、2級以上は職業でも使える資格なので、職業上のカウンセリングでも使える知識が豊富に含まれており、患者や顧客の課題に気づいて解決する手助けや提案をするのに役立ちます。
薬局やドラッグストア、エステサロンなどはもちろん、介護や在宅医療などの現場、健康関連食品の営業マンやスポーツインストラクターなどにもおすすめの資格です。また、1級を取得して健康管理士の上位資格である「上級指導員」以上に進むと、日本成人病予防協会の認定講師の受験資格が得られます。健康に関する正しい知識を普及させるために、講師の資格を取得するのも良いでしょう。
ここでは、健康管理能力検定を受験する方法と、受験の流れについてご紹介します。
2級・3級の場合は特に、テキストも1冊のみなのでテキストをしっかり学習するだけでも合格は十分可能でしょう。ただし、学習ポイントを知りたい、絶対に合格したいという人に向けて、学習ポイントWEB講座や合格対策講座が開催されています。合格対策講座は会場で講義を受ける方法と、オンラインで受講する方法がありますので、都合が良い方を選びましょう。
1級もテキストのみで受験することも不可能ではありませんが、健康管理士一般指導員と同時取得を目指す場合には、健康管理士一般指導員の通信教育講座か、1級の受験対策講座を受講しておく必要があります。通信教育講座でも受験対策講座でも使われるテキストは同じなので、どちらを受講しても構いません。
受験は以下の手順で行います。
検定料は級によって異なり、3級で4,950円、2級で5,500円、1級で6,600円(いずれも税込)です。3級・2級は満点の70%前後が合格ラインなのに対し、1級は満点の80%前後が合格ラインなので、1級になるとぐっと難しさが増すことがわかるでしょう。1級はテキストの分量も多いため、健康管理士一般指導員に興味がなくても、受験対策講座や通信講座を受けておいたほうが安心です。
最後に、健康管理能力検定を受ける際のポイントを3つご紹介します。
公式テキストだけでは自信がない場合、ポイントを絞って学習できるWEB講座を受講するのがおすすめです。3級のWEB講座は2,200円、2級のWEB講座は2,750円(いずれも税込)で、視聴時間は、3級=約55分、2級=約95分で終わります。パソコンのほか、スマホやタブレットからも視聴できるほか、「視聴開始」ボタンを押してから60日間は何度でも視聴できます。
また、学習ポイントWEB講座を受講すると、問題集もついてきますので、問題集のために受講するのも良いでしょう。3級は5章、2級は12章に分かれているため、一気に見る必要はありません。移動時間などのスキマ時間を上手に使って、見たい章を選択して学習を進めましょう。
できるだけ1回で合格したい、という人は専任講師がわかりやすく説明してくれる「合格対策講座」を受講するのがおすすめです。2級・3級については対応する検定の約2週間前ごろに開催される「通学コース」か、2週間前〜前日までのいずれかで視聴できる「通信コース」があります。
1級は前述のように、健康管理士の通信教育講座のほか、オプションで受けられる養成講座や合格対策講座を受けられます。通信教育講座はいつでも受講できますが、オプションとなる養成講座や合格対策講座は会場で受験するため、日程をよく確認しましょう。なお、合格対策講座は対応する検定の約1ヶ月前に開講されます。
健康管理能力検定は、健康で美しくなる「時間健康科学」の知識を身につけるための検定です。3級〜1級の3つの級があり、3級では自分や身近な人の健康管理を、2級では職業レベルでカウンセリングを行えます。1級になると、健康管理や予防医学の正しい知識を身につけ、健康管理士一般指導員としても活躍できます。
健康管理能力検定に合格すると、従業員の健康管理に知識を活かせます。特に1級に合格し、健康管理士一般指導員や健康リズムプロフェッショナルになると、健康経営の推進にも十分に役立てられるでしょう。従業員の健康管理をスムーズに、業務効率化するためには、クラウド型健康管理システムの導入が便利です。健康管理能力検定の資格と組み合わせて、健康管理や健康経営に活かしましょう。
そこでおすすめしたいのが、クラウド型健康管理システム「Growbase(旧:ヘルスサポートシステム)」です。Growbaseは従業員の健康に関するデータを一元管理し、健康経営を促進するクラウド型健康管理システムです。具体的には健診結果やストレスチェックデータ、就労データ、面談記録などの健康情報を一元管理し、健康管理業務の効率化を実現します。
Growbaseを導入することにより、健康管理業務にかかる時間や工数を削減することが可能です。組織全体の健康課題を可視化することで、早めのフォローを実施しやすくなります。
また、使いやすいUIと自由度の高い機能を備えており、個別・一括メール配信、面談記録、受診勧奨、部下状況、特殊健康診断の業務歴調査と管理、健診データ一元化、各種帳票出力(労基報告など)、ストレスチェック、長時間労働管理などの機能が充実しています。
以下で、Growbaseの詳細をご確認ください。
クラウド型健康管理システム「Growbase(グロウベース)」の詳細はこちら