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健康管理時間とは?労働基準法における労働時間についても解説!

作成者: Growbase編集部|11/14/22 2:18 AM

労働基準法改正により2019年4月から高度プロフェッショナル制度が導入され、健康管理時間についての理解が必須となりました。高度プロフェッショナル制度は一部の労働者を対象にした制度ですが、導入メリットを享受しながら従業員の健康を適正に管理するためには、健康管理時間について理解する必要があります。また、高度プロフェッショナル制度を理解するうえでは、前提となる労働基準法のポイントを理解することも不可欠です。

この記事では、高度プロフェッショナル制度における健康管理時間や、労働基準法における法定労働時間・時間外労働時間の上限、さらに従業員の労働時間管理の必要性について解説しています。人事担当の方はぜひご覧ください。

高度プロフェッショナル制度における健康管理時間

高度プロフェッショナル制度では、「健康管理時間」の把握が定められています。 ここでは、高度プロフェッショナル制度の概要と、健康管理時間の定義や上限などについて解説します。

高度プロフェッショナル制度とは

そもそも高度プロフェッショナル制度とは、一定の年収要件を満たした専門的かつ高度な職業能力を持つ労働者を労働基準法における労働時間に基づいた制限の対象外とする制度です。働き方改革の一環で制定されました。対象となる労働者については、時間外・休日・深夜の割増賃金の支払い義務等の適用除外や、時間外・休日労働協定の締結などが除外されます。

高度プロフェッショナル制度の対象

高度プロフェッショナル制度の対象は、以下の2つの条件を満たす労働者です。

  • 書面による合意によって、職務の範囲が明確に定められている労働者
  • 「1年間に支払われると見込まれる賃金の額が、平均給与額の3倍を相当程度上回る」水準である労働者(年収1,075万円以上を想定)

具体的には以下のような職種を指します。計19業務が指定されているので、確認してみてください。

  • 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務
  • 資産運用の業務または有価証券の売買その他の取引業務のうち、投資判断に基づく資産運用の業務、投資判断に基づく資産運用として行う有価証券の売買その他の取引の業務、投資判断に基づき自己の計算において行う有価証券の売買その他の取引の業務
  • 有価証券市場における相場等の動向または有価証券の価値等の分析、評価またはこれに基づく投資に関する助言の業務
  • 新たな技術、商品または役務の研究開発の業務

 

高度プロフェッショナル制度の目的

高度プロフェッショナル制度は、労働生産性の向上やワークライフバランス、適正な給与体系の実現などを目的に制定されました。高度プロフェッショナル制度における報酬体系は、労働時間ではなく、成果や業績に基づいています。そのため、上述のような職種とは親和性が高く、労働生産性の向上につながることが期待されているのです。

また、労働基準法が適用されないため、労働者の裁量で出社時間や休暇などを定めて働けます。そのため、ワークライフバランスを実現しやすいです。さらに、成果を出している従業員が正当に評価されるというメリットもあります。

高度プロフェッショナル制度の課題

高度プロフェッショナル制度で労働基準法が適用されないことには上記のようなメリットがありますが、その分デメリットもあります。残業手当がつかない点や、成果を適正に評価に反映する方法が難しい点です。特に、労働時間の規制が適用されないことによって、長時間労働につながるリスクがある点は見逃せません。長時間労働によって、労働者の健康が脅かされる可能性があるのです。

健康管理時間とは

高度プロフェッショナル制度では、労働基準法の労働時間に関する規定が適用されない分、以下のような健康確保措置の実施が求められています。

  • 勤務間インターバル制度:11時間以上のインターバルの確保+深夜業の回数制限(月4回まで)
  • 健康管理時間の上限:1ヶ月100時間、3ヶ月では240時間まで
  • 1年に1度以上、継続した2週間の休日を付与する
  • 健康管理時間が月80時間を超える、あるいは本人からの申し出があった場合、健康診断を実施する

健康管理時間とは、対象労働者が「事業場内にいた時間」と「事業場外において労働した時間」の合計時間のことです。タイムカードや電子計算機器の使用時間など、客観的な方法で健康管理時間を把握することが求められています。

健康管理時間に休憩時間を含めるか否かや、事業場外で労働した時間の把握方法などは、労使委員会を作って決定することが必要です。

上述のように、健康管理時間には1ヶ月100時間、3ヶ月では240時間までという上限が設けられています。長時間労働に陥りやすい対象労働者を保護するため、経営者には労働者の健康管理時間を客観的に把握することが求められているのです。

従業員の健康管理に重要な労働基準法・36協定

 

ここまで、高度プロフェッショナル制度における健康管理時間について解説しました。 しかし、職種関係なく従業員の健康を適切に管理するためには、前提として労働基準法について理解する必要があります。

労働基準法とは、日本国憲法第27条第2項に基づいて1947年に制定された法律です。労働者の生存権の保障を目的に、労働条件の最低基準を定めています。労働時間や休日・有給休暇のほか、労働に関する契約や賃金、就業規則などに対して、最低限の基準を定めたものです。労働基準法に違反すると、罰金や懲役といった刑事罰の対象になります。従業員を雇用する以上、労働基準法については必ず理解しなければなりません。

労働基準法は定期的に改正されています。2019年4月には働き方改革関連法が施行され、後ほど紹介する時間外労働の上限規制や有給休暇の取得義務化、前述の高度プロフェッショナル制度の導入など、大きな改正がありました。また、大企業では2019年4月から適用されている月60時間超の時間外労働の割増率50%以上への引き上げが、2023年4月からは中小企業にも適用されます。改正内容についても、その都度理解しましょう。

労働基準法では、労働時間や時間外労働などが明確に定められています。そして、この基準を超えて時間外労働や休日労働などをさせる場合には、あらかじめ「36 協定」を締結し、労働基準監督署に届け出ることが必要です。

労働基準法に基づく労働時間・時間外労働時間とは

労働基準法では、法定労働時間・法定休憩時間・法定休日が以下のように定められています。

  • 法定労働時間:休憩時間を除いて1日8時間以内、1週間40時間以内(ただし、10人未満のサービス業や医療などの一部業種は44時間以内)
  • 法定休憩時間:労働時間6時間超えの場合は45分以上、8時間超えの場合は1時間以上
  • 法定休日:毎週1日以上、または4週間合計で4日以上

この規定を超えた分が、時間外労働です。時間外労働には、原則として1ヶ月45時間、1年間で360時間という限度が定められています。

しかし、繁忙期には時間外労働の限度時間を超過してしまう場合があります。その際に適用されるのが、特別条項付きの36協定です。特別な事情で臨時で超過してしまう場合、労使合意のもと特例の適用が認められます。ただし、合意する場合であっても、以下の上限は厳守する必要があるので注意しましょう。

  • 時間外労働時間は年間720時間以内
  • 時間外労働時間と休日労働時間は月100時間未満
  • 2ヶ月平均・3ヶ月平均・4ヶ月平均・5ヶ月平均・6ヶ月平均が、全て1ヶ月あたり80時間以内
  • 月45時間を超過して良いのは、年間で6ヶ月まで

また、月の時間外労働時間が80時間を超過する場合は、医師との面談の機会を設けるよう努めなくてはなりません。

時間外・休日労働時間の計算方法

時間外・休日労働時間を算出する際は、以下の計算式を使用しましょう。

時間外・休日労働時間=1ヶ月の総労働時間(所定労働時間+残業時間+休日労働時間)−(計算月の総暦日数/7×40)

時間外労働時間の規定を超過するとどうなる

これまでは、時間外労働時間が上限を超過しても、企業に法的な罰則は与えられませんでした。しかし、2019年4月から罰則が適用され、超過すると、以下のようなペナルティが科せられる場合があります。

  • 6ヶ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金
  • 厚生労働省により企業名がインターネット上に公表される

また、残業時間を記録させない「サービス残業」を従業員に強制すると、従業員が労働基準監督署に通告し、労働基準監督署からチェックが入ることもあります。規定を超過する労働量を従業員に課さないことはもちろん、残業時間については誠実に管理しましょう。

従業員の労働時間を適切に管理するべき理由

従業員の労働時間を適切に把握するべき理由は、主に以下の2つです。

  • 従業員の健康管理のため
  • 企業の評判・信頼に関わるため

従業員の健康管理のため

時間外労働は、従業員の心身に大きな負担を与えます。長時間労働で疲労やストレスが溜まると、脳・心臓疾患の発症原因になる場合もあるため、注意が必要です。実際、月の時間外労働時間が80時間を超える場合は、医師との面談を行うのが望ましいとされています。また、厚生労働省も、1週間あたり40時間を超える労働時間が⽉100時間を超えた場合、または2〜6ヶ⽉平均で80時間を超えた場合、業務量と脳・心臓疾患を発症するリスクに関連性があるとしています。従業員が心身ともに健康に働き続けるためには、労働時間の管理が必要なのです。
参考:厚⽣労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説

企業の評判・信頼に関わるため

労働時間を超過して罰則の対象になったり、従業員の通告によって労働基準監督署からのチェックや是正勧告を受けたりすると、その情報が企業外にも伝わり、評判や信頼の低下につながりかねません。「ブラック企業」とみなされて優秀な人材を採用できなくなったり、取引や提携・資金調達や上場などの際にマイナスに働いたりします。労働時間管理の本質は従業員のためではありますが、自社の利益を守るためにも、従業員の労働時間は適切に管理しましょう。

まとめ

この記事では、高度プロフェッショナル制度における健康管理時間と、労働基準法における労働時間の規定や時間外労働時間などについて解説しました。従業員の健康を適切に管理し、企業内外からの信頼を得るためには、労働時間の把握と労働基準法の遵守が必須です。また、労働基準法の対象外である高度プロフェッショナル制度においても、健康管理時間の上限が定められており、経営者は健康管理時間の把握が必要です。

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