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ストレスチェックの結果に関するルールを解説|事業者が注意すべきポイントを紹介

作成者: Growbase編集部|2/27/23 5:34 AM

ストレスチェックは、従業員のストレス度合いを把握するものであり、常時使用する従業員が50人以上の事業場については年に1回実施することが義務付けられている制度です。ストレスチェックの結果は重要な個人情報であり、取扱いや保存に関してさまざまなルールが定められています。

ストレスチェックを適切に実施するためには、結果に関するルールや、結果を受けて事業者がやるべきことについて理解することが重要です。この記事では、ストレスチェックの結果について、ルールや事業者がやるべきことなどを解説します。

ストレスチェックの結果に関するルール

ストレスチェックとは、労働者のストレスの度合いを把握する調査であり、2015年12月以降労働安全衛生法で義務づけられた制度です。労働安全衛生法では、常時使用する従業員が50人以上の事業場について、ストレスチェックを年に1回実施することが義務づけられています。

ストレスチェックを行うことで、従業員の精神的負担を客観的に把握し、メンタルヘルスの不調を予防することが可能です。また、結果を活用して働きやすい職場づくりを進めることもできます。

ストレスチェックの結果は重要な個人情報です。そのため、取扱いや保存に関してさまざまなルールが定められています。以下では、ストレスチェックの結果に関するルールについて解説します。

結果を見るのはストレスチェックの「実施者」と「実施事務従事者」

ストレスチェックの結果は、原則として受検者本人と実施者・実施事務従事者しか見ることができません。そのため、受検者への結果の通知は実施者、あるいは実施者から指示を受けた実施事務従事者のみが行う点に注意しましょう。

ただし、結果が受検者に通知された後、受検者本人から同意を得た場合は、実施者から事業者に受検結果を提供することができます。

受検者本人の許可なく上司や事業者に結果を提供することは禁止

ストレスチェックの目的は、事業者が従業員のストレス状態を把握するためではありません。従業員が自身のストレス不調に気づくことや、事業者が労働環境を改善し、働きやすい職場づくりを進めてメンタルヘルス不調を未然に防ぐことです。受検の有無は従業員の任意ですが、多くの従業員が受検することが推奨されています。

従業員が安心してストレスチェックを受検できるようにするため、結果を本人の同意なく事業者や上司に提供することは禁止されているのです。また、ストレスチェックの結果は個人情報であるため、結果を扱う実施者と実施事務従事者には守秘義務が課せられます。

受検者から結果の提供に関する同意を取得する方法

結果を事業者に提供する場合、受検者個人に対して個別に同意を取得することが必要です。

厚生労働省のマニュアルでは、労働者への取得方法は以下のように定められています。

① ストレスチェックを受けた労働者に対して当該ストレスチェックの結果を通知した後に、事業者、実施者又はその他の実施事務従事者が、ストレスチェックを受けた労働者に対して、個別に同意の有無を確認する方法。

② ストレスチェックを受けた労働者に対して当該ストレスチェックの結果を通知した後に、実施者又はその他の実施事務従事者が、高ストレス者として選定され、面接指導を受ける必要があると実施者が認めた労働者に対して、当該労働者が面接指導の対象であることを他の労働者に把握されないような方法で、個別に同意の有無を確認する方法。

出典:厚生労働省「労働安全衛生法に基づく ストレスチェック制度 実施マニュアル」

衛生委員会での合議など、包括的に同意を得ることは認められていません。また、同意取得を受検者に強要してはなりません。さらに、受検者に結果が知らされていない段階で、事業者への提供について同意を取得することは不適当とされています。

なお、受検者が結果を受けて事業者に対して面接指導を申し出た場合、事業者に結果を提供することに同意したとみなして問題ないとされています。

ストレスチェックの結果は必要な措置にのみ使用

受検者本人からの同意が得られた場合、実施者はストレスチェックの結果を事業者に提供することが可能です。この時、事業者は、提供された結果の使用は従業員の健康確保のために必要な措置の範囲内に限られます。例えば、受検者の上司や同僚などにストレスチェック結果を共有することはできません。

ストレスチェックの結果を受けて事業者がすべきことについては、記事後半で紹介します。

ストレスチェックの結果と記録は保存が必要

労働安全衛生規則では、以下のストレスチェックの結果については、実施者や実施事務従事者が一定期間保存することが定められています。

1.個人のストレスチェックのデータ(個人の結果を数値や図表などで示したもの)
2.高ストレスに該当するかどうかを示した評価結果
3.面接指導の対象者か否かの判定結果

なお、労働者が記入・入力した調査票自体を保存する必要はありません。

また、ストレスチェックの結果をもとに保存すべき上記の情報についてまとめた記録を作成することが求められており、受検者が同意し事業者に提供された結果の場合は事業者に5年間の保存義務があります。

ストレスチェック結果だけでなく、事業者への提供の同意に係る書面又は電磁的記録についても、事業者が5年間保存することが望ましいとされています。

受検者の同意が得られず、結果が事業者に提供されない場合は、記録は実施者が作成し、実施者もしくは実施事務従事者が5年間保存することが推奨されています。事業者は、保存が適切に行われるよう必要な措置を行うことが必要です。

さらに、ストレスチェックの結果、高ストレス者と判定された従業員に対して行う医師による面接指導の結果記録についても、事業者が5年間保存することが義務付けられています。この時、高ストレス者が面接指導を希望する旨を連絡した記録についても、5年間保存することが望ましいです。

結果の保存方法や保管場所は事業者が指定する

上記のように、ストレスチェックの結果と記録は保存することと定められており、保存方法や保管場所などは事業者が指定することとされています。事業者の衛生委員会などで審議し、厳密に管理できるよう社内規定として定めておきましょう。

ストレスチェックの結果や記録は、紙媒体や電磁的記録媒体(USBメモリ、CD-Rなど)などで保存できます。しかし、ストレスチェックの結果は個人情報であるため、第三者が容易にアクセスできない環境で保存することが求められます。施錠できるキャビネットを使用したり、パスワードをかけたうえで企業内ネットワークのサーバーで保管したりなど、厳密に管理しましょう。また、クラウド型健康管理システムなどに保管することも認められています

なお、電磁的記録で保存する場合は、「厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令について」(基発第0331014号)に基づいて保管する必要があるため、注意が必要です。

受検・未受検のデータは個人情報に該当しない

ストレスチェックを従業員が受検するか否かは任意です。受検・未受検のデータについては、個人情報に該当しないとされており、従業員の同意がなくても事業者に提供できます。ただし、衛生委員会などで調査審議を行い、事業者に受検状況を提供する目的を明確にしたり、未受検者が不当な扱いを受けないよう対策を講じたりすることが望ましいです。

ストレスチェックの結果に基づいて事業者がやるべきこと

ストレスチェックの結果事業者がやるべきことは、以下の2つです。

  • 高ストレス者に対して産業医に面接指導を実施する
  • 労働基準監督署に結果を報告する

高ストレス者に対して産業医による面接指導を実施

ストレスチェックの結果、実施者によってストレス度が高く高ストレス者と判定された従業員がいる場合、事業者は適切な措置を講じる必要があります。

高ストレス者本人から申し出があった場合は、産業医などの医師による面接指導を実施しましょう。従業員が面接指導を受けるか否かは任意ですが、申し出があった場合、事業者が面接指導を実施することは義務とされています。また、事業者には、面接指導の結果に基づき、残業の禁止や休職など、必要な就業上の措置を講じることが必要です。

面接指導は、対象者が面接を希望した日から1ヶ月以内に速やかに実施することが望ましいとされています。また、面接指導は勤務時間内に実施し、プライバシーが保たれた場所で実施しましょう。事業場以外で実施することもできますが、その際は移動時間に配慮して日時を設定することが必要です。また、面接指導にかかる費用は事業者が負担することと定められています。

面接指導の結果、労働者の安全や健康確保のために事業者に通達すべき情報がある場合は、事業者が適切な措置を講じられるよう、医師から事業者へ意見を提出します。その際、必要な情報に限って提出する場合は、従業員本人の同意がなくても提出することが可能です。しかし、従業員本人の意向に配慮し、トラブルを防ぐためにも、面接指導の際に事前に本人にその旨を説明し、了承を得ることが望ましいでしょう。

労働基準監督署に結果を報告

ストレスチェック終了後は、報告書にまとめ、所轄の労働基準監督署に提出する必要があります。提出を怠ると、たとえストレスチェックを実施していたとしても罰則の対象になるため、注意が必要です。

提出期限は具体的に定められていませんが、ストレスチェックが1年に1回実施するものであるため、前回の報告書の提出日から1年以内に提出しましょう。また、事業場が複数ある場合、本社がまとめて提出することはできません。事業場ごとに報告書を作成し、それぞれ管轄の労働基準監督署に提出する必要があります。

報告書のフォーマットは、厚生労働省が公開しており、オンラインで作成・電子申請が可能です。

まとめ:ストレスチェックの結果を適切に管理し、労働環境の改善に活かす

ストレスチェックは、従業員の精神状態を把握し、働きやすい環境を作るために必要な調査です。ストレスチェックの結果は個人情報であり、閲覧できる人や保存など、結果の取り扱いにはルールが定められています。ルールに基づき、ストレスチェックの結果を適切に管理して、従業員の健康管理や労働環境の改善に活かすことが重要です。

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