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ストレスチェックの実施者とは?役割と要件を解説!

作成者: Growbase編集部|2/27/23 5:40 AM

ストレスチェックは、従業員のストレス度合いを把握し、メンタルヘルスの不調の予防や職場環境の改善に役立てるために実施される調査です。ストレスチェックの運用に関して、厚生労働省はさまざまな要件を定めています。特に注意すべきポイントは、ストレスチェックの回答を取り扱えるのは実施者と実施事務従事者のみである点です。

しかし、ストレスチェックを実施するにあたって、具体的に誰が実施者になれるのか、実施者や実施事務従事者はどのような役割を果たすのかなど、わからないことも多いでしょう。そこで、この記事では、ストレスチェックの実施者と実施事務従事者について詳しく解説します。

ストレスチェックとは

そもそもストレスチェックとは、労働者のストレスの度合いを把握する調査のことです。ストレスチェック制度は、2015年12月以降労働安全衛生法で義務づけられました。その背景には、精神障害による労災認定件数が増加していた、という当時の世情があります。

ストレスチェックの目的は、従業員の精神的な負担を客観的に把握し、必要に応じて適切な措置を行うことで、メンタルヘルスの不調を予防することです。また、ストレスチェックの結果、精神的に負担を抱えている従業員が多い部署・組織を特定することで、労働環境を改善し、働きやすい職場づくりを進めることもできます。

労働安全衛生法では、常時使用する従業員が50人以上の事業場について、ストレスチェックを年に1回実施することが義務づけられています。それ以外の事業場についても、ストレスチェックの実施は努力義務とされており、従業員の健康管理のためには、ストレスチェックの運用について理解することが重要です。

ストレスチェックの実施者とは

ストレスチェックの実施者については、労働安全衛生法で以下のように定められています。

事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者(以下この条において「医師等」という。)による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない。

参考:e-Gov法令検索「労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)」

ここでいう「医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者(以下この条において「医師等」という。)」が、実施者に該当するのです。

以下では、実施者の役割と要件について解説します。

ストレスチェックの実施者の役割

ストレスチェックの実施者は、以下のような役割を担います。

  • 調査内容や項目についての専門的なアドバイス
  • 評価方法・基準についての提案や確認
  • 回答の集計・分析
  • 面接指導対象者の選定
  • 対象者や事業者への結果通知・医師による面接指導の勧奨など

ストレスチェックの実施者は、事業者が調査票の内容や項目を決定する際、専門的な立場から事業者にアドバイスを行う大切なポジションです。

また、高ストレス者を選定する方法や基準を決定する際も、専門的な立場から提案や確認などを行います。なお、最終的な決定は事業者が行うこととされています。

さらに、回答を集計・分析し、対象者に個人結果を通知したり、集団分析の結果を事業所に通知したりするのも実施者の役割です。実施者が選定した高ストレス者(面接指導対象者)については、医師による面接指導を受けるよう勧める役割も担います。

ストレスチェックの実施者の要件

ストレスチェックの実施者は、労働安全衛生法で定められた、以下のような有資格者に限定されています。誰でもなれるわけではないため、注意が必要です。

  • 医師(産業医)
  • 保健師

また、厚生労働大臣が定める研修を修了することで、以下の有資格者についても実施者になることが可能です。

  • 看護師
  • 精神保健福祉士
  • 公認心理師
  • 歯科医師

なお、労働者の健康管理に3年以上従事した経験を持つ看護師と精神保健福祉士については、研修の受講が免除されます。

ストレスチェック実施マニュアルでは、産業医のように、事業場の状況を日頃から把握している者が実施者となることが望ましいとされています。

ストレスチェックの実施事務従事者とは

ストレスチェックを実施するには、実施者に加えて「実施事務従事者」も選定することが必要です。実施事務従事者は、実施者の補助を行う役割を担い、厚生労働省のマニュアルでは以下のように規定されています。

実施者のほか、実施者の指示により、ストレスチェックの実施の事務(個人の調査票のデータ入力、結果の出力又は記録の保存(事業者に指名された場合に限る)等を含む。)に携わる者をいう。

出典:厚生労働省「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル

実施事務従事者は、事業者が指名できます。実施事務従事者の人数については特に規定されていませんが、1〜2名ほど配置するケースが多く見られます。規模の大きい事業者では、それ以上の実施事務従事者を配置する場合もあります。

ストレスチェックの実施事務従事者の役割

実施事務従事者は、実施者の指示に従って以下のような役割を果たし、実施者を補助するポジションです。

  • 調査票の配布
  • 調査票およびデータの回収
  • 個人・集団の調査結果の出力
  • 個人への結果通知
  • 事業所へ集団分析の結果通知
  • 面接指導対象者へ面接の勧奨・窓口業務
  • ストレスチェックの結果の保存(事業者に指名された場合)
  • ストレスチェック未受検者への声掛け
  • 「ストレスチェック対象者管理基本台帳」の作成

基本的に実施事務従事者はストレスチェックに関する様々な業務を担います。

ストレスチェックの実施事務従事者の要件

実施事務従事者になるために、特別な資格は求められていません。社内の衛生管理者やメンタルヘルス担当者、事務職員などが指名されるケースが多く見られます。

ただし、実施事務従事者は実施者と同様に回答を閲覧することができるため、個人情報を扱う立場です。そのため、事業者はそのことを考慮して実施事務従事者を指名する必要があります。

ストレスチェックの実施者・実施事務従事者になれない人

昇進や異動・解雇といった人事権を持つ者については、ストレスチェックの実施者・実施事務従事者になることができません。これは、ストレスチェックの結果、労働者が不当な扱いを受けないように徹底するためです。

そのため、経営者や管理職・人事部長などの人事権を持つ者はストレスチェックの実施に携われません。一方、人事に関する部署に所属していても人事権を持たない場合は、要件を満たせば実施者・実施事務従事者になることができます。

ストレスチェックを外部機関に委託する場合の実施者

ストレスチェックの実施を外部機関に委託することも可能です。その際の実施者には、以下の2つのパターンが考えられます。

  • 外部機関に実施者も依頼する
  • 自社の産業医が外部機関と共同で実施者になる

このうち、厚生労働省の実施マニュアルでは、「自社の産業医が外部機関と共同で実施者になる」パターンが推奨されています。外部機関に委託する場合であっても、自社の産業医が個人や全体の結果を把握し、適切な対応をとることが推奨されているのです。

ストレスチェックの実施に携わる人々

ストレスチェック制度には、以下のような人たちが携わります。ストレスチェック制度について理解し正しく運用するためには、それぞれの人たちの役割を理解することが必要です。

  • 事業者
  • ストレスチェック制度担当者
  • 実施者
  • 実施事務従事者
  • 対象者

事業者とは、ストレスチェック制度の実施責任を負う運営者のことです。具体的には、会社や法人、個人事業主などが該当します。事業者は、ストレスチェックの責任者として、ストレスチェックの導入や産業医による面接指導後の対応などについて方針を決定し、発表する立場です。

ストレスチェック制度担当者は、ストレスチェックを実施する際に置くことが義務付けられており、ストレスチェックの実施計画やスケジュールの策定、調査票の選定や評価方法の決定、ストレスチェック実施日程の通知などを担当します。衛生管理者やメンタルヘルス推進担当者、定期健康診断担当部署などから選出することが望ましいとされます。なお、ストレスチェックの担当者は回答内容を閲覧することはできないため、人事権を持つものも担当者になることができます。

実施者は、実際にストレスチェックを実施するポジションです。前述のとおり、厚生労働省によって定められた資格を持つ者のみが実施者になれます。実施者・担当者・事業者は、それぞれイコールではない点に注意が必要です。

実施事務従事者は、実施者の指示を受け、調査票の回収や集計のデータ入力などを行うことで実施者を補助する役割を果たします。実施事務従事者になるために特別な資格は定められていませんが、回答結果を閲覧するため、人事権を持つ者は実施事務従事者になれません。なお、実施者と実施事務従事者には、個人情報を取り扱うため守秘義務が課せられます。

対象者とは、ストレスチェックを受検する従業員のことです。対象者がストレスチェックを受検するか否かは任意とされています。

まとめ:ストレスチェックの実施者について理解し、適切に実行する

ストレスチェックは、従業員の精神状態を把握し、従業員が働きやすい職場環境を作るために必要な調査です。ストレスチェックを実施する実施者は、誰でもなれるわけではなく、医師や保健師など、厚生労働省が定める有資格者のみに限定されます。また、実施者を補助する実施事務従事者も存在し、人事権を持つ者以外なら事業者が自由に選任できるのがポイントです。ただし、個人情報を取り扱うため、守秘義務が課されることを考慮して適切な人材を選任することが求められます。

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