テレワークが浸透している現在、メンタルヘルス対策にも注目が集まっています。テレワークで働き方が変化したことや、テレワーク特有の環境によって従業員がストレスを抱えてしまうケースが多発しているのが現状です。しかし、従業員の様子が見えにくいテレワークでは、不調に気づいて適切な対応を講じることが難しいという課題があります。
今回は、テレワークにおけるメンタルヘルス対策について、厚生労働省のマニュアルをもとに解説します。従業員が健康的に働ける職場環境づくりのために、ぜひ参考にしてください。
テレワークは、在宅やコワーキングスペースなど、従業員が働く場所を自由に選べる働き方です。適切に導入すれば、通勤時間や移動時間の節約などコスト削減につながり、生産性アップを実現しやすくなります。厚生労働省の調査では、通勤や移動によるストレスの軽減など、メンタルヘルスに良い影響をもたらすことが報告されています。
一方、社員同士の物理的な距離が生まれることで、コミュニケーションが取りづらくなったり、労働状況がブラックボックス化したりするといった課題も生じている点は、看過できません。また、オフィスで働きたい人がテレワークを強制されることで、ストレスを抱えてしまう場合もあります。
従業員が心身ともに健康に働けるようにするためには、テレワークによってストレスを抱えた従業員をサポートすることと、テレワークによるストレス要因を取り除くことが重要です。
参考: 厚生労働省「令和2年度テレワークの労務管理に関する総合的実態調査研究事業報告書」
以下では、テレワークがメンタルヘルスに悪影響を及ぼす具体的な事象について、3つの要因ごとに解説します。
テレワークをすることで、今まで円滑だった業務やコミュニケーションが滞る可能性があります。メンタルヘルスに悪影響を及ぼす具体的な原因は、以下のとおりです。
<人間関係>
<ハラスメント・評価>
テレワークの大きなストレス要因の1つに、ほかの社員と顔を合わせることがなくなり、コミュニケーションが減ってしまうことが挙げられます。孤独感から仕事へのモチベーションが下がったり、ほかの人の様子を見られないため不安を感じたりするのです。
また、上司が部下の長時間労働に気づいたり、周囲の方がストレスを抱えている従業員の存在に気づいたりすることが難しく、対応が遅れてしまうことがあります。
テレワークの中でも、自宅で仕事をする在宅ワークでは、以下のような課題があります。
<家庭環境>
<ワークライフバランス>
家庭が必ずしも働きやすい環境とは限りません。
また、在宅でのテレワークは仕事とプライベートの区別が難しくなり、長時間労働が常態化しやすいという課題があります。
テレワークによって通勤や移動のストレスが解消される一方で、以下のような弊害もあります。
<生活習慣・運動習慣>
在宅勤務の場合、通勤しなくなることで運動不足に陥りやすくなります。運動不足は健康状態に支障をきたす要因の1つであり、注意が必要です。
また、職場と家庭が一体化することで気分転換が難しくなり、ストレス解消の機会が減る可能性があります。気づかないうちにストレスを溜め込んでしまい、心身に不調が現れる原因となってしまうのです。
メンタルヘルス不調のサインは以下のとおりです。
メンタルヘルスが悪化しやすい方の多くが、責任感が強く真面目な性格の持ち主です。そのため、これまでの勤務態度からは考えられない異常が見られた場合、何かしら問題を抱えていると考えた方がよいでしょう。
ここでは、それぞれのサインについて解説します。
メンタルヘルスに異常をきたすと、集中力やモチベーションが低下しやすいと言われています。
例えば、急に仕事のミスが増えた、アウトプットの質が悪くなった、仕事に時間がかかるようになった、前よりもいろいろな仕事に挑戦しなくなった、などの変化が見られた場合は、メンタルヘルスの状態が悪化していると考えられます。
以前より発言数が減る、表情や声色が暗い、ほかの社員に不満をもらすようになった、などの変化も、メンタルヘルス不調の重要なサインです。しかし、テレワークでは直接顔を合わせる機会が減ったり、ほかの社員とコミュニケーションをとる頻度が減ったりするため、これらのサインになかなか気づきにくいのが問題です。
メンタルヘルス不調は体調にも現れます。以下のような症状に悩まされ、体調不良が長引いている場合は、メンタルヘルスに異常をきたしている可能性が考えられます。
テレワークでは、本人が周囲に訴えないと、体調不良に気づくのが困難です。本人が責任感ゆえに言い出せなかったり、周囲が「疲れているだけだ」と蔑ろにしてしまったりする場合もあるため、注意しましょう。
メンタルヘルスケアは、以下の4つに分けられます。
以下では、それぞれのケアの内容と、テレワークにおける具体的なメンタルヘルス対策について解説します。
なお、具体的な取り組みについては、厚生労働省のマニュアルが非常に参考になるため、ぜひ活用してください。
セルフケアとは、従業員が自らのメンタルヘルス不調に自身で気づき、ストレスに対処することです。セルフケアを実施するためには、ストレスに関する知識や対処法を、従業員が理解する必要があります。
テレワークをしている社員のセルフケアを推進する取り組みは、厚生労働省からも提示されています。一例は、以下のとおりです。
疲労蓄積度チェックリストとは、厚生労働省が公表しているもので、従業員の疲労蓄積度を、従業員自ら判定できるチェックリストのことです。
また、テレワークは長時間続くと運動不足になり、肩こりや腰痛などの原因になります。特に疲れが溜まりやすい夕方の時間帯に、デスクワークから離れて打ち合わせを行ったり、運動の機会を設けたりすることが効果的です。
ラインケアとは、上司や部長などの管理監督者が、部下のメンタルヘルス不調に早期に気づき、適切な対策を講じることです。メンタルヘルス対策において、管理監督者の役割は非常に重要とされています。ラインケアを実施するためには、異変の気づき方や適切な声かけの方法、1on1の実施方法などを学ぶことが大切です。
テレワークにおける具体的なラインケアの取り組みとしては、以下が考えられます。
事業内産業保健スタッフによるケアとは、事業場内における産業保健の担当者が行うメンタルヘルスケアのことです。産業医や保健師、衛生管理者、人事労務担当者などが該当します。
テレワークにおける具体的な事業内産業保健スタッフによるケアの取り組みとしては、以下が挙げられます。
事業場外資源によるケアとは、病院やクリニック、地域保健機関、従業員支援プログラム機関などの社外の機関や専門家の協力のもとで行うメンタルヘルスケアです。メンタルヘルスに関する専門的な知識を持っている外部機関からアドバイスをもらったり、支援してもらったりすることで、より効果的な取り組みを推進できるでしょう。
テレワークにおける具体的な事業場外資源によるケアの取り組みとしては、以下が考えられます。
ここでは、それぞれの予防について解説します。
1次予防は、メンタルヘルス不調を未然に防ぐ取り組みのことです。ストレスが発生しない職場環境づくりを行い、従業員が良好なメンタルヘルスを維持できるようにします。
1次予防は根本的なメンタルヘルス対策であり、対策を行ってすぐに効果が出るわけではありません。しかし、長期的に見るとインパクトが大きく、生産性向上や企業の発展のためには、非常に重要な取り組みです。
2次予防は、メンタルヘルス不調者を早期に発見し、うつや適応障害といった深刻な状況に陥ってしまう前に、適切な対応を講じる取り組みです。
2次予防のポイントは、いかに早くメンタルヘルス不調に気づけるかです。そのためには、上司をはじめとするまわりの従業員が異変に気づくことと、従業員自身がストレスに気づくことが求められます。
3次予防とは、メンタルヘルス不調で休職している従業員の復帰をサポートする取り組みです。従業員の症状が重くなってしまうことを防ぐことも、3次予防の1つです。
職場復帰支援は、簡単なことではありません。順調に回復していた従業員が、職場復帰への不安や焦りから突然症状が重くなってしまうケースも多く見られます。産業医や専門家の意見も取り入れながら、慎重に進めましょう。
テレワークは、ワークライフバランスの実現や生産性の向上に役立つ取り組みですが、適正に導入・運用できないとストレスの原因になり、メンタルヘルス不調を引き起こしてしまいます。
テレワークを推進する際は、厚生労働省のマニュアルを参考にしながら、従業員が心身ともに健康的に働けるよう、職場環境を整備することが大切です。
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