健康診断は、企業が従業員に対して定期的に実施しなくてはならない義務の一つです。しかし、健康診断を実施しようとしても、値段設定や相場などがまったくわからないという担当者の方も多いのではないでしょうか。今回は一般健康診断の値段から、検査内容やオプション料金についてもまとめました。ぜひこの記事を健康診断を実施するときの参考にしてください。
健康診断には大きく分けて2種類存在します。一般健康診断と特殊健康診断です。企業に在籍している従業員の働き方によって、受けるべき健康診断が変わるので注意してください。
一般健康診断は職種に関係なく、条件を満たした従業員が全員受診する健康診断です。企業に正社員として雇用されている従業員が対象になります。さらに、パート・アルバイトの従業員の中でも、1週間の所定労働時間が同種の業務に従事する正社員の4分の3以上であるときは健康診断を実施する必要があります。
正社員が40時間働いている企業であれば、30時間以上働くアルバイト・パート従業員が対象になります。一般健康診断には定期健康診断、雇入れ時健康診断などが含まれます。定期健康診断は1年に1回、雇入れ時健康診断は雇用の前後で実施します。
特殊健康診断とは有害物質を取り扱ったり、リスクの高い作業を行ったりする特殊な業務に従事している従業員が対象の健康診断です。具体的には、以下の健康診断があります。
特殊健康診断は雇入れ時、該当業務への配置替え時、6ヵ月以内ごとに1回、定期に実施する必要があります。
続いて、健康診断で実施される定期健康診断と雇入れ時健康診断について説明していきます。また、特殊な業務に従事している従業員(有害な作業環境で働く人)に対して6ヶ月以内ごとに1回実施する必要がある、特定業務従事者の健康診断についても解説します。下記がそれらの健康診断の検査項目です。
定期健康診断の内容は、厚生労働省によって定められています。定期健康診断には、以下の11種類の検査項目があります。
11種類の検査項目のうち一部は、医師の判断によって省略や代替することが可能です。さらに、常時50人以上の従業員がいる企業では定期健康診断の結果を労働基準監督署長あてに「定期健康診断結果報告書」の提出が必要なので、注意しましょう。
雇入れ時健康診断には、以下の11種類の検査項目があります。
定期健康診断との大きな違いは、検査項目の省略ができず、必ずすべての検査項目を実施する必要があることです。また、労働基準監督署に提出する書類はありません。
特定業務従事者の健康診断の検査項目は下記のとおりです。
特定業務とは、以下の業務のことを指します。
出典:労働安全衛生規則 第1編 第2章 安全衛生管理体制|安全衛生情報センター
高熱、低温、放射線など、普段の生活とは異なる環境で働いている場合、特殊な環境が従業員の健康状態に悪影響を及ぼすかもしれません。そのため、労働衛生対策上、特に有害とされる業務に従事している従業員は、これらの健康診断を受ける必要があります。
次に、オプションで追加できる検査項目の一例を紹介します。
脳や循環器、肺などの重要器官や、がん検査など早期発見が重要な検査があります。オプションの検査内容は、健康診断を実施する病院やクリニックによって異なります。健康診断を実施する前には、必ずオプションの検査項目のチェックが必要です。
オプション検査は従業員が自由に選択することができ、検査費用は従業員が個人負担する場合もあれば、企業が負担する場合もあります(オプション選択は個人の自由ですし、企業が負担する義務もありません。企業の健康管理の方針として費用を負担することでオプションの受診を勧める場合もあります)。
最後に、健康診断にかかる値段について説明します。ここでは具体的な例を挙げながら、健康診断の実施に向けてより具体的なイメージができるよう、健康診断の内容と値段についてまとめました。
健康診断を実施する時に覚えておかなければならないことは、健康診断の値段は各医療機関によって異なることです。国や自治体によって定められているわけではないので、健康診断を実施する医療機関に問い合わせる必要があります。この記事では、健康医学予防協会が実施している健康診断の料金設定について紹介します。
健康医学予防協会の一般健康診断の料金をまとめます。
一般健康診断 | 8,360円/人 |
相場 | 7,000〜10,000円/人 |
参考:人間ドック・健康診断の料金(費用)のご案内 | 健康医学予防協会
労働安全衛生法によって義務付けられた条件を満たした従業員が対象の健康診断です。
健康医学予防協会で受診できる一般健康診断のオプション検査料金をまとめました。
検査項目 | 検査内容 | 値段 |
生活習慣病予防検診 | 生活習慣病に関わる検査項目を充実させた定期健康診断 | 11,000円 |
日帰り人間ドック | 尿検査、循環器、呼吸器、消化器などの基本的な器官についての検査から、腎臓、肝臓などの臓器の検査を実施 | 41,030円 |
1泊2日人間ドック | 日帰り人間ドックに加え、胸部CT検査、喀痰細胞検査、骨密度検査、血糖付加試験などが追加された検査 | 68,530円 |
脳ドック | 頭部MRI 検査、頭部MRA 検査、頸動脈超音波検査、一般計測、血液検査、尿検査、心電図検査、診察、認知機能検査 | 38,500円 |
前立腺がん検査 | 2,750円 | |
卵巣がん検査 | 2,530円 | |
乳がん検査 | 2,750円 |
出典:人間ドック・健康診断の料金(費用)のご案内 | 健康医学予防協会
この他にも、アレルギー検査や感染症検査などがあります。健康医学予防協会では人間ドックを中心としたオプション検査があり、定期健康診断だけでは分からないような細かい検査が可能です。異常が見つかった場合でも、すぐに医療機関を受診することができるのもメリットです。
続いて、特殊健康診断のオプション検査について紹介します。
検査項目 | 検査内容 | 値段 |
じん肺健康診断 | 粉塵などによる肺や呼吸器官に異常がないかを検査 | 4,070円 |
石綿健康診断 | 石綿による肺や呼吸器官に異常がないかを検査 | 4,400円 |
有機溶剤健康診断 | 有機溶剤による影響がないかを検査 | 2,200円 |
鉛健康診断 | 鉛による臓器への影響がないかを検査 | 7,480円 |
特定化学物質健康診断 | 特定化学物質による人体への影響がないかを検査 | 2,200円 |
出典:人間ドック・健康診断の料金(費用)のご案内 | 健康医学予防協会
この他にも、振動や騒音、電離放射線による人体への影響についての検査もあります。
今回は健康診断の値段についてまとめました。健康診断には一般健康診断と特殊健康診断があり、決められたタイミングで実施する必要があります。健康診断の値段は医療機関によって異なり、企業の健康診断を実施する前には確認が必要です。
健康診断には標準の検査項目に加え、オプションで追加できる検査もあるため、事業内容に合った内容が必要です。健康診断の値段と検査内容をしっかりと理解し、実際の健康診断の実施に向けて準備していきましょう。