法人の場合も個人事業主の場合も、年に一度は従業員に健康診断を受けさせる義務があります。人事・総務部にとっては健康診断を受けてもらうことが大きな役目となりますが、健康診断後の健診データを管理するだけで終わりではありません。健康診断の費用を精算する必要があります。
義務となっている健康診断の勘定科目は、どのようになるのでしょうか。この記事では、経費になるのかどうかや仕訳について解説いたします。新しく人事・総務部に配属された担当者の方も、ぜひご一読ください。
健康診断の勘定科目は、原則「福利厚生費」です。従業員の心身の健康を守る一環として、健康診断は法定外福利厚生に分類されます。
仕訳自体は簡単で、例としては次のようになります。
例)従業員の健康診断費用30万円を医療機関に支払ったとき
借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
福利厚生費 | 300,000 | 現金 | 300,000 |
健康診断の勘定科目は原則「福利厚生費」、つまり経費となりますが、健康診断の費用を経費にするためには次の2つの条件があります。
よって、役員のみに実施される健康診断(人間ドック含む)の料金、宿泊付きの高額な人間ドックの料金では、給与や役員報酬として扱われ、所得税が課税されます。たとえ従業員と役員が健康診断を受けていても、診断項目に差をつけると福利厚生費ではなく、給与とみなされ課税対象となるのです。
経費として計上できないケースは他にもあり、がん検診などで高額な費用がかかった場合も経費ではなく、自己負担となります。なお、従業員全員が健康診断を受けることは原則ですが、一定の年齢制限を設けることは認可されています。
個人事業主の健康診断は、原則経費になりません。法人と違って健康診断が義務付けられていない個人事業主の場合、自身のための健康診断とみなされるため経費にはできないのです。また、青色事業専従者の家族の健康診断費用も経費にならないため注意しましょう。
ただし、個人事業主が従業員を雇っている場合は、経費として計上できます。
上記のように個人事業主が従業員を雇っているときは、法人と同じく、勘定科目が「福利厚生費」となります。仕訳の例は次の通りです。
例)従業員の健康診断費用5万円を医療機関に支払ったとき
借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
福利厚生費 | 50,000 | 現金 | 50,000 |
また、個人事業主および青色事業専従者の健康診断は経費にはならないため、勘定項目は「事業主貸」です。事業用の口座から個人的な費用を捻出したことを示します。
個人事業主が自身の健康診断費用を事業用の口座から支払ったときの仕訳は、以下のようになります。
例)個人事業主自身の健康診断費用1万円を事業用の口座から支払ったとき
借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
事業主貸 | 10,000 | 現金 | 10,000 |
医療費控除は、医療行為が対象となります。したがって、個人事業主が確定申告の際に申請をしても、健康状態を確認することが目的の健康診断は医療行為として認められず、医療費控除にはなりません。
しかし、健康診断で病気が見つかり、治療を受けたときは健康診断も医療行為の一環として認められ、医療費控除の対象となります。
健康診断費用を福利厚生として経費にするには、「全社員が同じ診断項目で適正な価格の健康診断を受ける」ことが条件です。法律上、健康診断を受けさせる義務もある法人は、健康診断を受けていない社員がいると、安全配慮義務違反として責任を負わされます。そのため、健康診断の受診状況を把握する必要があります。
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企業における健康診断の勘定科目は、原則「福利厚生費」です。そもそも福利厚生は、企業が従業員に対して提供する、給与以外のサービスのことを指します。
健康診断費用を経費にするための条件にあったように、全社員が対象でなければ「福利厚生」とは言えません。全社員平等に健康診断を受けてもらい、「福利厚生」が充実した会社を目指していきましょう。