健康管理士とは、日本成人病予防協会が認定する、予防医学や健康管理を指導するスペシャリスト資格のことを指します。健康管理士は、生活習慣病予防はもちろん、健康管理に関する専門的な正しい知識を習得する為、様々な場面で活かせるでしょう。今回は、健康管理士とはどんな資格なのか、企業にとってどんなメリットがあるのか、健康管理士の資格取得の流れについてご紹介します。
健康管理士には受験で取得できる「健康管理士一般指導員」に加え、健康管理士一般指導員が一定の条件を満たすことで取得できる「健康管理士上級指導員」「健康管理士統括指導員」の3つの資格があります。
健康管理士一般指導員は健康管理や予防医学のスペシャリストで、生活習慣病をはじめとする様々な疾患や、老化に伴う生活困難などを予防・改善するため、日常生活を適切に送れるよう助言を行うのが主な仕事です。具体的には、以下のような助言をします。
糖尿病、高血圧、がんは生活習慣病の中でも非常にポピュラーなものであり、これらの疾患が増加するにつれて医療費も増加してきました。そこで、予防医学や健康管理について正しい知識を持った健康管理士による助言をもとに、国民一人ひとりが意識的に自ら健康管理を行っていくことが求められています。
特に、病気になる前に防ぐ「予防医学」では、病気の早期発見よりもさらに前、そもそも病気が始まらないように健康な身体を維持しよう、そのために生活習慣や環境を整えよう、という考え方をします。食事の栄養バランスや適度な運動、規則正しい生活リズムなどその人に合わせた総合的な健康指導を行えるのが、健康管理士一般指導員です。
健康管理士には、上位資格として「健康管理士上級指導員」と「健康管理士統括指導員」があります。いずれもまず健康管理士一般指導員の資格を得た上で、以下の条件を満たすと上位資格へ進めます。
<健康管理士上級指導員>
・健康管理能力検定1級に合格している
・取得単位数が50単位以上である
<健康管理士統括指導員>
・健康管理能力検定1級に合格している
・取得単位数が100単位以上である
上級指導員や統括指導員になると、周囲からの信頼が高まり、自分自身も予防医学の専門知識を習得した証として自信が高まるでしょう。他にも、上級指導員の時点で日本成人病予防協会認定講師の受験資格が得られます。認定講師になると、同協会から健康講演会や健康講座の講師依頼を受けることもできるようになります。
単位を取得する方法は様々で、健康管理士一般指導員の資格取得後に受けられる各種セミナーや講座を受けたり、研修問題を提出したりする方法があります。
なお、20単位を取得すると一般指導員の資格証の「JAPAマーク」がゴールドに、さらに上級指導員や統括指導員になるとそれに応じて資格証も変わりますが、これらの資格証取得後に継続するためには、「ほすぴ」の研修問題提出が滞らないこと、が条件となります。2ヶ月に1回送られてきますので、必ず提出期限内に提出して知識をブラッシュアップしていきましょう。
健康管理士を取得するメリットについて、ここでは特に、企業内で活かせるものを3つご紹介します。
健康管理士は、健康管理と予防医学のスペシャリストとして正しい知識を普及させるために設立されました。世の中には様々な健康情報があふれていますが、その中にはどうしても怪しげなもの、正しいとは言えないもの、極端すぎて一部の人にしか当てはまらないものなどがあります。
しかし、健康管理士のテキストや、その後送られてくる「ほすぴ」、受講できる各種セミナーでこうした極端に偏った知識や間違った知識は紹介されません。そのため、多くの人に適用できる知識、正しい知識を得ることができます。従業員の健康管理をするにも、健康について正しい知識を持った人がいれば、正しい判断をしやすいでしょう。
健康管理士の資格を取得すると、主に医療関係者、福祉・介護関係者などの職場で活かせる知識を身につけられます。整体院・整骨院などの治療院でも、正しい健康知識をもとにカウンセリングを行うことで、患者さんからの信頼を得られやすいでしょう。生活習慣病だけでなく、疾患は誰でも避けたいものです。心身両面の包括的な予防医学の知識を持った健康管理士が詳しく話を聞くことで、問題をより素早く的確に見つけ出せる可能性が高まります。
また、健康管理士の知識は主に予防医学についてであり、健康管理も予防医学の一つです。病気になってから行う対処療法ではなく、病気になる前に健康を維持・増進するという考え方は、昨今推奨されている健康経営に沿った考え方です。従業員が疾患を発症してから変えるのではなく、疾患を発症しないためにどんな改善が必要か、健康管理士が見極めることも、健康経営への第一歩ではないでしょうか。
健康経営については、以下の記事で詳しくご紹介しています。ぜひ、併せてご一読ください。
「健康経営とは?健康経営の導入効果や取り組み方を詳しく解説」
健康管理士を受験する方法や、受験の流れについて説明します。
日本医協学院が主催する通信教育講座「健康管理士一般指導員」、または「文部科学省後援健康管理能力検定1級」受験対策講座のいずれかを受講します。健康管理士一般指導員と健康管理能力検定1級を兼ねた試験となるため、どちらを受講してもほとんど同じ内容の講座になっているのです。
ただし、合格基準は健康管理能力検定1級の方がやや高くなっており、健康管理能力検定1級に合格した人は健康管理士一般指導員の資格も同時に得ることが可能ですが、健康管理士一般指導員だけしか合格できないケースもあります。上級指導員や統括指導員になるには健康管理能力検定1級の合格も必要なため、最初から健康管理能力検定1級を目指すのも良いでしょう。
また、受験対策講座は通信講座であり、必要に応じて通学形式のオプション講座を受講することもできます。オプション講座には「養成講座」と「合格対策講座」の2種類があり、それぞれ以下のような目的で開催されます。
養成講座も合格対策講座も通学形式で行われ、養成講座は全2日間(10:00~17:00)、合格対策講座は全1日間(13:00~17:00)です。通信講座だけでは不安だという人は、オプション講座を受講することでモチベーションを高めたり、同じ受講者と接することで試験の雰囲気を感じたりできるでしょう。
健康管理士(一般指導員)の資格は、以下の流れで取得します。
資料請求や資格取得説明会は無料です。まず健康管理士についてどんな資格なのか知りたい、具体的な活用事例を知りたい、質問して疑問を解消してから講座をスタートしたいという人は、会場説明会やオンライン説明会を受けてみてはいかがでしょうか。いったん資料請求してみる、というのも良いでしょう。
受験することを決めたら受験対策講座に申し込み、講座を受講します。通信講座は6冊のテキストと月に1冊の添削問題集が4冊で構成されており、通常約4ヶ月で修了します。ただし、日々の業務が忙しくてなかなか時間がとれない社会人などの場合、マイページ登録で学習期間を延長することもできますので、必ず4ヶ月で終わらせなくてはならないというわけではありません。講座の受講料は66,000円(税込)です。
オプション講座は養成講座が22,000円(税込)、合格対策講座が7,700円(税込)です。いずれも受けなくてはならないわけではありませんが、必要に応じて受講しましょう。
受験対策講座を修了したら、資格認定試験を受験します。認定試験の受験料は6,600円(税込)で、受験対策講座を一度修了している人であれば都度受験料はかかるものの、何度でも受験し直すことができます。そのため、もし試験に合格できなかった場合は勉強し直して再受験すると良いでしょう。
試験に合格したら、最後に日本成人病予防協会に資格登録の手続きをして、資格取得となります。
健康管理士を受験する際のコツについて、3つのポイントを解説します。
養成校に通う時間がない人や仕事をしている社会人の場合、受験対策講座を受講する必要があります。受験対策講座で送付されてくる冊子は要点がまとまっているため、まずはこの添削問題集を完璧にしましょう。最後の1冊は「総合受験対策問題集」となっており、過去問なので、特にコピーをとって何度も解き直すのがおすすめです。
健康管理士は、6冊のテキストから広範囲に問題が出題されます。健康管理の概論や個々の生活習慣病、心の健康管理、栄養学や環境問題、介護や東洋医学など広く学ばなくてはなりません。取りこぼさないためには、テキストをしっかり読み込むだけでなく、問題集で要点を何度もチェックしておくことが重要です。
知識を定着させるために、毎日少しでも勉強して「継続」を意識しましょう。例えば、運動も週に1回激しい運動をするより、毎日10分の軽い散歩の方が健康やダイエットに良い効果が期待できるとされています。これと同じように、勉強も時間をあけて集中する日を作るより、毎日コツコツとやっていく方がより学習効果が高まるのです。
知識を定着させるという点で継続が大切な理由には、「エビングハウスの忘却曲線」も根拠に挙げられます。この忘却曲線によれば、全く復習しなかった場合、1日後には34%、6日後には25%しか知識を覚えていなかったということです。しかし、復習を繰り返してその度に100%に近づけていくことで、だんだん忘れにくくなり、定着していくことがわかっています。できるだけ毎日、少しずつでも知識に触れる時間を作りましょう。
健康管理士とは、健康管理や予防医学のスペシャリストです。様々な健康情報があふれる世の中で正しい知識、できるだけ多くの人に当てはまる知識を身につけることで、従業員の健康管理に活かせるでしょう。また、近年推奨されている健康経営の考え方にも沿っているため、健康経営を推進したい企業にもおすすめの資格です。
また、健康管理士上級指導員や統括指導員は、日本成人病予防協会の認定講師の受験資格を得られます。認定講師の資格を持った従業員がいれば、社内の健康意識を高めるために講義を行ってもらうことも可能です。
健康管理士がその能力を十分に活かすためにも、従業員の健康管理をスムーズに行える環境があると便利です。クラウド型健康管理システムを使えば、従業員の就業状態や健康診断の結果などから問題点を発見することもできるでしょう。従業員の健康管理のためにも、健康経営の推進のためにも、健康管理士の資格とクラウド型健康管理システムを組み合わせて活用してはいかがでしょうか。
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