従業員のストレス度合いを把握するストレスチェックには、人件費や実施費用・産業医による面接指導・集団分析・職場改善にかかる費用など、さまざまな費用が発生します。ストレスチェックにかかる費用は事業者が負担することが義務付けられているため、ストレスチェックを実施する際は、費用について理解することが必要です。
この記事では、ストレスチェックにかかる費用の内訳や外注した際の費用相場、さらに費用負担を抑えるために活用できる助成金制度について解説します。ストレスチェックの実施を検討している担当者は、ぜひ参考にしてください。
ストレスチェックにかかる費用の内訳は以下のとおりです。
費用は従業員の人数や契約する産業医などで大きく変わるため、あくまでも目安として参考にしてください。
ストレスチェックにかかる費用のうち、多くを占めるのが人件費です。ストレスチェックの実施にあたって、以下のような業務で人件費が発生します。
特に、産業医への報酬について理解しましょう。ストレスチェックにおいては、産業医が関与する場面が多いからです。
産業医には「専属産業医」と「嘱託産業医」があります。専属産業医は、事業所に常勤する産業医のことです。一方、嘱託産業医は月に数回程度事業所に出勤する産業医のことを指します。
事業所の従業員数が1,000名以上の場合は専属産業医、それ以外の場合は嘱託産業医の選任が必要です。ただし、厚生労働省が定める鉛業務や放射線業務などの有害業務を行う事業所の場合は、500名以上の労働者を抱えているならば、専属産業医を選任する必要があります。
専属産業医に払う報酬は、週の勤務日数や医師としての経験などによってさまざまです。また、嘱託産業医に払う報酬は、勤務日数や事業所の従業員数などに応じて変動します。
ストレスチェックを行うためには、衛生委員会を設置するなど、管理体制を整えることが必要です。管理体制を整備するうえで産業医を加入させる場合、産業医には1時間あたり5万円程度の報酬が発生します。また、はじめて産業医を選任する場合は、紹介料としてさらに費用が発生することもあるため注意が必要です。
ストレスチェックを実際に行う際は、Web受検と、調査票に手書きで記入するマークシート方式の2種類があります。
外部のサービスを利用する場合、受検にかかる費用はサービスによって異なり、1人あたり0〜1,000円程度と幅があります。なお、Web受検とマークシート方式は、費用にそこまで違いがありません。
費用に影響するサービス項目として、以下のようなものがあります。
また、ストレスチェックで使用する調査票を自社で用意することも可能です。調査票は、以下の3つの項目を含んでいれば特に指定はありません。
自社で作成する場合は、厚生労働省が無料で配布している「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」を利用するのがおすすめです。
ストレスチェックの結果、高ストレス者と判断できる従業員が見つかった場合、産業医などの医師による面接指導の対象となります。面接指導を受けるか否かは従業員の任意です。従業員が希望した場合、事業者は面接指導を実施する義務を負い、面接指導にかかる費用は事業者が負担することが定められています。
集団分析とは、ストレスチェックの結果を集団ごとに集計・分析することです。集団分析の実施は努力義務とされていますが、職場環境の改善に活用するためには集団分析を行うことが望ましいでしょう。
集団分析では「仕事のストレス判定図」という図を用いて、その事業場や集計単位におけるストレス度を全国平均から相対的に評価します。集団分析を行う場合は、外部に依頼することが一般的です。集団分析を依頼する場合の費用相場は、1グループごとに約2万5,000円程度です。調査する属性が増えるごとに追加費用が発生するケースも多く見られます。
また、ストレスチェックの結果を活用して職場環境を見直し、改善することも求められます。従業員が働きやすい環境づくりを進めることで、従業員のパフォーマンス向上や職場全体で生産性の向上が期待できるのです。ストレスチェックの結果を活かして従業員が働きやすい環境づくりを進める場合は、改善にかかる費用も必要になるでしょう。
項目 | 料金 |
基本利用料 | 約20,000円 |
実施者選定料 | 約25,000円 |
ストレスチェック実施料 | 約300〜600円(1名あたり) |
帳票送料・発送手数料 | 約500円(1個あたり) |
集団分析 | 約25,000円(1グループあたり) |
サービスによっては、面接指導対応・面接指導受付代行・同意取得サポート・集団分析研修などの充実したオプションも存在します。
また、ストレスチェックの結果高ストレス者と判断された者が、産業医による面接指導を受ける場合、面接指導にかかる費用も事業者が負担します。また、健康診断の場合と同様に、面接指導を受けている間も従業員には賃金を支払うのが望ましいです。面接指導の実施も事業者の義務であり、費用負担が発生するからといって面接指導の実施を推奨しない場合、従業員の権利侵害に該当するため注意しましょう。
さらに、面接指導の結果高ストレス者が専門機関の受診や治療を行うことになり、メンタルヘルスの不調の原因が職場にあると認められると、労災と認定され、治療にかかる費用を事業者が負担する必要があります。
ちなみに、ストレスチェックにかかる費用は「福利厚生費」として扱え、損金計上が可能です。
ストレスチェック助成金とは、労働者の健康管理の促進を目的にした助成金制度です。対象は、ストレスチェック、または産業医による面接指導などを実施した従業員50人未満の事業所です。ストレスチェックを実施した場合、従業員1人につき500円を上限に実費が支給されます。また、産業医による面接指導など、医師による活動を行った場合は、1事業場あたり、1回あたり21,500円を上限に実費が支給されます。なお、活動上限は3回です。
職場環境改善計画助成金とは、職場環境改善の促進を目的にした助成金制度です。対象は、ストレスチェック実施後の集団分析の結果を踏まえ、専門家による指導に基づいて職場環境改善計画を作成し、 職場環境の改善を実施した事業所です。ここでいう専門家とは産業医や保健師・労働衛生コンサルタントなどを指します。専門家の指導費用や改善のための機器・設備購入費用の一部が助成される仕組みです。
ストレスチェックは、従業員のメンタルヘルスを把握し、従業員が働きやすい職場環境を作るために必要な調査です。ストレスチェックには、人件費や実施・面接指導などにかかる費用といったさまざまな費用が発生し、事業者が負担する必要があります。ストレスチェックにかかる費用を正しく理解し、適切に運用することが大切です。また、助成金制度を利用できる場合もあるため、ぜひ活用してみてください。
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