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健康診断の内容って?どんなことがわかる?3つの気になる疑問を解説

人事部や総務部の仕事のひとつに、健康診断の案内や予約、手配があります。これまでは何気なく受けていた健康診断でも、新しく人事・総務部に配属をされ、案内をする側となると戸惑いを感じる方もいると思います。

本記事では、そもそも健康診断とは何か、健康診断の検査内容、健康診断の費用といった新しく人事・総務部に配属された従業員が気になる3つの疑問を解説します。案内する自分自身が健康診断の重要さを知り、健康経営についても学んでいきましょう。

そもそも健康診断とは何か

健康診断は自身の健康状態を検査し、病気の兆候がないかをチェックするものです。すべての企業は労働安全衛生法に基づき、健康診断の実施が義務付けられています。

健康診断の種類

健康診断の種類は、大きく分けて2つあります。すべての企業が対象で、職種に関係なく実施する「一般健康診断」、有害物質を扱う仕事に従事している方やリスクを伴う可能性のある特殊な業務に従事する方へ実施する「特殊健康診断」です。

また、一般健康診断を受ける方のうち、その年度で40歳、50歳を迎える方は一般健康診断に加えて、付加検診を受けることもあります。さらに、女性は、マンモグラフィーによる乳がん検診と、子宮細胞診による子宮がん検診を受けることが可能です。

健康診断の実施時期

新たに従業員を雇い入れる直前、あるいは直後に受ける場合と、1年以内ごとに1回受ける場合があります。前者では入社前3か月以内に健診を受けた者が、健康診断結果を証明する書面を提出すれば当該健康診断の項目に限り、入社後の健康診断が免除されます。後者は1年ごとに1回といっても、その時期は事業所ごとに定められています。そのため、前年の健康診断の案内や前年の担当者に確認するのがよいでしょう。

健康診断の検査内容

雇い入れ前でも定期でも、健康診断の検査内容はほとんど変わりません。内容は11の検査項目に分けられ、現在の身体の状態をまんべんなく調べることができます。検査項目ごとにどんなことがわかるのかも記載しますので、人事・総務部として案内する場合だけでなく、自身の健康診断にも役立てていただけるでしょう。

身体測定

身長と体重を測り、BMI値を測定します。BMI値は、体重(Kg)÷身長(m)÷身長(m)で算出され、身長に見合った体重かどうかを判定する数値です。数値が18.5~24.9までの範囲であれば通常体重ですが、18.5未満または25.0以上の場合はそれぞれ痩せすぎと肥満で要経過観察の判定値となります。

要経過観察 異常なし 要経過観察
18.4kg/㎡以下 18.5~24.9kg/㎡以下 25.0kg/㎡以上

また、身体測定ではメタボリックシンドロームかどうかも判定するため、腹囲を計測します。男性は腹囲85.0㎝以上、女性は90.0㎝以上に加え、脂質異常、高血圧、高血糖のいずれか2項目以上が当てはまる場合、メタボリックシンドロームと判定されます。

  異常なし 要経過観察
男性 84.9㎝以下 85.0㎝以上
女性 89.9㎝以下 90.0㎝以上

眼科検査

近視や遠視、乱視といった屈折異常、いわゆる視力を調べる検査です。裸眼のときと矯正器具(メガネやコンタクトレンズ)をつけたとき、あるいは矯正器具をつけたときのみの視力を測ります。視力検査を毎年行うことで、急な視力低下を伴う白内障などの診断をするための判断材料となるのです。個人差が大きく出る検査ではありますが、裸眼視力で1.0以上が基準値とされています。

異常なし 要経過観察 異医療
0.8~1.2 0.7 0.6 以下

聴力検査

高音(4000Hz)と低音(1000Hz)が聞こえるかをチェックする検査です。高音と低音それぞれ30dB以下の音が聞こえれば正常で、それ以上でないと聞き取れない場合は、外耳炎や中耳炎、難聴が疑われます。

  異常なし 要経過観察 要医療
4000Hz 30dB 以下 35dB 40dB 以上
1000Hz 30dB 以下 35dB 40dB 以上

尿検査

尿を採取し、腎臓や尿管、膀胱の病気、糖尿病の可能性を調べる検査です。「蛋白」「潜血」「糖」のいずれにおいても(-)なら正常、(±)(+)なら再検査、(2+)以上であれば、それぞれ腎炎や糖尿病性腎症、尿路系の病気、膀胱炎、糖尿病が疑われます。

ただし、疲労や生理によって潜血があることも考えられます。生理日前後で潜血があった場合には、まず再検査を受けましょう。

【蛋白】

異常なし 軽度異常 要経過観察 異常
(-) (±) (+) (2+)以上

【潜血】

異常なし 軽度異常 要経過観察 異常
(-) (±) (+) (2+)以上

【糖】

異常なし 軽度異常 要経過観察 異常
(-) (±) (+) (2+)以上

血液検査

血液検査は1度で終わりますが、その内訳には「肝機能検査」「脂質検査」「糖尿病検査」「一般血液検査」の4つの検査が含まれます。

【肝機能検査】

・AST(GOT)/ALT(GPT)
AST(GOT)は心臓の筋肉や骨格筋、肝細胞内に多く存在する酵素、ALT(GPT)は肝細胞に多く存在する酵素です。どちらも基準値は30U/l以下ですが、これらの数値が高いと肝機能障害が疑われ、脂肪肝・慢性肝炎・急性肝炎・肝臓がん・アルコール性肝炎などの可能性があるとされています。AST(GOT)のみ数値が高ければ、心筋梗塞や筋肉疾患などの疑いがあるでしょう。

  異常なし 軽度異常 要経過観察 要医療
AST(GOT) 30 U/l以下 31~35U/l 36~50U/l 51U/l 以上
ALT(GPT) 30 U/l以下 31~35U/l 36~50U/l 51U/l 以上

・γ-GT(γ-GTP)
γ-GT(γ-GTP)とは、肝臓や腎臓、すい臓、小腸などに含まれている酵素のことです。飲酒量の多い方や薬剤を多量摂取している方は数値が高くなり(基準は50U/l以下)、アルコール性肝障害・慢性肝炎・薬剤性肝障害が疑われます。また、胆道炎や総胆管結石などの胆道の病気が疑われる方においても、γ-GT(γ-GTP)の数値が高くなる傾向にあります。

異常なし 軽度異常 要経過観察 要医療
50U/l以下 51~80U/l 81~100U/l 101U/l 以上

【脂質検査】

・HDLコレステロール
善玉コレステロールと呼ばれ、血液中のコレステロールを回収して肝臓へ戻す働きがあるものです。HDLコレステロールが40㎎/dL未満と少なければ、動脈硬化や脂質異常症、糖尿病などが疑われます。

異常なし 要経過観察 要医療
40㎎/dL以上 35~39㎎/dL 34㎎/dL以下

・LDLコレステロール
HDLコレステロールに対し、LDLコレステロールは悪玉コレステロールと呼ばれるものです。LDLコレステロールは増加するとともに血管壁に蓄積し、動脈硬化を促進してしまいます。結果として、心筋梗塞や脳梗塞を起こすリスクが高まります。120㎎/dL未満が基準値であり、それを超える場合は動脈硬化に加え、家族性高コレステロール血症、ネフローゼ症候群、甲状腺機能低下症も考えられるでしょう。

要医療 異常なし 軽度異常 要経過観察 要医療
59mg/dL以下 60~119mg/dL 120~139mg/dL 140~179mg/dL 180 mg/dL以上

・中性脂肪
糖質がエネルギーとして脂肪に変化したもので、のちに皮下脂肪や内臓脂肪へ変わる脂肪のことです。身体を動かす際に糖が不足していれば中性脂肪がエネルギー源となりますが、使われなかった中性脂肪は蓄積されていき、量が増えると動脈硬化の原因になります。基準値の「30~150㎎/dL未満」よりも高ければ、動脈硬化・脂質異常症・急性膵炎が疑われますが、基準値より低くても肝硬変や低栄養などが疑われますので、高すぎても低すぎても要注意です。

要医療 異常なし 軽度異常 要経過観察 要医療
29mg/dL以下 30~149mg/dL 150~299mg/dL 300~499mg/dL 500mg/dL以上

【糖尿病検査】

・空腹時血糖、HbA1c
食事を取って上昇した血糖値が低下していくまでの範囲を検査するものです。検査時は、10時間以上絶食した空腹時の血糖値を測ります。この検査のために、健康診断前日から食事時間の制限があるのです。特定健康診査では空腹時血糖100mg/dl以上を特定保健指導の基準値としています。

異常なし 軽度異常 要経過観察 異常
空腹時血糖:99㎎/dL以下、かつHbA1c:5.5以下 下記①②のいずれか
①空腹時血糖:100〜109かつHbA1c:5.9以下
②空腹時血糖:99以下かつHbA1c:5.6-5.9
下記①〜④のいずれか
①空腹時血糖:110〜125
②HbA1c:6.0〜6.4
③空腹時血糖:126以上かつHbA1c:6.4以下
④空腹時血糖:125以下かつHbA1c:6.5以上
空腹時血糖:126㎎/dL以上かつHbA1c:6.5以上

【一般血液検査】

・白血球
白血球は体内に細菌やウイルスが侵入したときなどに急激に増加するため、8.5よりも数値が高い場合は細菌感染症・アレルギー疾患・白血病・膠原病・がんなどが疑われます(ただし、喫煙者は数値が高くなる傾向にあります)。逆に、白血球を作り出す細胞の働きが低下しているときは、白血球が減少します。ウィルス感染症・薬物アレルギー・膠原病・がんなどが疑われます。

要医療 異常なし 軽度異常 要経過観察 要医療
3.0 103/μL以下 3.1〜8.4 103/μL 8.5~8.9 103/μL 9.0〜9.9 103/μL 10.0 103/μL以下以上

・ヘモグロビン(血色素)
赤血球と同様、多血症や貧血、出血を調べる検査です。赤血球数が正常値であっても、ヘモグロビンが不足していると貧血、過剰だと多血症と判断されます。基準値も赤血球同様に男女差があり、男性は13.1~16.6g/dL、女性は12.1~14.6 g/dLが標準です。

  要医療 要経過観察 異常なし 軽度異常 要医療
男性 12.0g/dL以下 12.1~13.0g/dL 13.1~16.3g/dL 16.4~18.0g/dL 18.1g/dL以上
女性 11.0g/dL以下 11.1~12.0g/dL 12.1〜14.5g/dL 14.6~16.0g/dL 16.1g/dL以上

循環器系検査

循環器系を調べる検査として、血圧検査と心電図検査があります。

【血圧検査】

高血圧・低血圧を判断する検査です。最高 130mmHg未満/最低 85mmHg未満に収まっているのが望ましいとされています。特に高血圧は、高血圧症・動脈硬化症・心疾患・脳出血の疑いがあるので注意しましょう。

  異常なし 軽度異常 要経過観察 要医療
収縮期血圧(最高血圧) 129mmHg以下 130~139mmHg 140~159mmHg 160mmHg以上
拡張期血圧(最低血圧) 84mmHg以下 85~89mmHg 90~99mmHg 100mmHg以上

【心電図検査】

不整脈・狭心症・心肥大・心筋障害・心筋梗塞などの有無を調べる検査です。電極を胸(6か所)・両手首・両足首に1か所ずつ貼り付けて検査します。基準値ではなく、心電図の波形の異常で判断されます。

呼吸器系検査

肺や気管支などの呼吸器の疾患を調べるために実施されるのが、胸部X線(レントゲン)検査です。肺がんや肺炎などの異常がある場合は白い影としてレントゲン写真に写り、気胸がある場合には肺が縮んでいるのが映し出されます。また、心臓の大きさや縦隔、胸膜などの病変を調べることも可能です。

医師による診察

医師による診察を行い、必要に応じて健康指導も行われます。医療機関へ提出される問診票を元に問診されるため、問診票や医師からの質問にはできるだけ正確に答えましょう。また、健康状態に不安がある受診者は、このときに健康相談をすることも可能です。

健康診断の費用

健康診断の費用は、企業が負担すべきものとされています。その金額は医療機関や検査項目の数によって変動し、5,000~20,000円ほどの幅があります。検査を受ける従業員が医療機関を決めるか、健診を受けさせる医療機関をあらかじめ指定するかは、前任者に確認の上、案内するようにしてください。

支払い方法なども企業によって異なり、健康診断当日までに人事・総務部で支払いを済ませるパターンや、当日従業員に立て替えてもらい、後日従業員から申請してもらうパターンなど様々です。費用の支払いについても、各々の企業で前任者に確認するようにしましょう。

健康診断結果を効率よく管理する方法

受けさせるべき検診内容は従業員ほとんどが一緒ですが、医療機関によって健診結果のフォーマットは様々で、管理がしにくいものです。また、再検査や追加検査により、健康診断結果が複数枚にわたることもあるでしょう。場合によっては、産業医や産業保健師との面談で必要となる、ストレスチェックや就労データも併せて管理することもあるかもしれません。このようなとき、紙ベースでの健康診断結果の管理は保存が手間取る上、紛失もしやすいというリスクが伴います。

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まとめ

この記事を読まれている方の中には、健康経営を推進していきたいという方もいるのではないでしょうか。普段何気なく受けていた健康診断は、実は健康経営を推進するために非常に重要なものです。従業員からの問い合わせや受診勧告が、健康経営の鍵を握っていると言っても過言ではありません。

健康診断の内容を知っていることは、企業のためだけでなく自分のためにもなります。問い合わせ対応で困惑してしまう前に、健康診断のスペシャリストになっておきましょう。

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執筆者:Growbase編集部

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