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健康診断の問診票に要注意|従業員が見落としがちな記入ポイント2つ

健康経営を推進していきたい企業にとって、従業員の健康診断結果の内容が正確であることは重要です。正しい健康診断結果を受け取るためには、問診票へ漏れのない既往歴、現病歴の記入が必要になります。

この記事では健康診断で従業員の病気を見逃さないために、問診票でとくに注意したい記入ポイントをお伝えし、健康診断後に実施する企業側の対応まで紹介します。

健康診断の問診票における重要な記入ポイント

健康診断の問診票における重要な記入ポイントについてここでは2つ紹介します

  • 自分の現病歴・既往歴
  • 家族の既往歴

それぞれ順番に見ていきましょう。

自分の現病歴・既往歴

健康診断の問診票における重要な記入ポイントの1つ目は、自分の現病歴・既往歴です。自分の現病歴・既往歴が正しく記入されていないと、誤った診断結果になるためです。

たとえば所見が確認された場合、医師は問診票に記入された現病歴から治療中の内容を確認して治療継続かどうかを判断します。しかし、問診票に現病歴の記入がないと、所見が見つかった時点で要精密検査、または再検査という診断結果になります。

問診票の記入が面倒だと感じる受診者は多く、記入漏れが頻発しているため、健康診断の担当者は正しい診断結果を受け取るためにも注意が必要です。

家族の既往歴

健康診断の問診票における重要な記入ポイントの2つ目は、家族の既往歴です。家族の既往歴は、受診者の隠れた病気のリスクを探ることに役立ちます。

たとえば両親が3大疾病や糖尿病、腎臓病にかかった既往歴がある場合、生活習慣が似通ってしまう子供は他の人と比べてリスクが高まる傾向があります。

また他にも脳梗塞や心筋梗塞などの血管に関する病気は家族の既往歴が関連するので、漏れのない記載を従業員へ意識させるようにしましょう。

健康診断結果を社内で確認できるのは?

健康診断結果は、社内における必要最低限の関係者のみ確認するように定められています。具体的な健康診断結果を確認できるのは、以下の関係者です。

  • 健康診断を実施業務に従事している者
  • 人事労務関係の担当者
  • 職場における管理監督者

企業の従業員数が50人以上だった場合は、基本的に衛生管理者が担当になります。しかし衛生管理者の資格がない方も健康診断の実施業務に従事できるため、担当者の配置には社内で検討が必要です。

健康診断結果は従業員の個人的な情報も含まれるため、企業に見られたくない従業員も一定数います。しかし労働安全衛生法において診断結果に異常がある従業員は、企業側から就業制限を行う義務があるため、診断結果を企業側に提示する必要があります。

健康診断後の企業側の対応について

従業員が健康診断を終えた後、企業側はどのような対応が必要でしょうか。ここでは健康診断後の企業側の対応について紹介します。

検査結果を従業員へ通知

従業員の健康診断が終わり、検査結果の取扱いについて紹介しましょう。健康診断の検査結果を受け取るパターンは、大きく2つあります。健診機関から受診した従業員本人へ渡される場合と、健診機関から企業へ渡される場合です。

従業員が受け取った場合は、企業側の対応として従業員から検査結果を受け取る必要があります。企業側で受け取った場合は、検査結果を確認のうえ従業員への通知が必要です。

また企業が受け取った検査結果の内容に所見がなくても、受診した従業員全員へ通知しなければいけません。

再検査になった従業員への対応

健康診断の結果が再検査になった従業員がいた場合、企業側は再検査の受診を従業員へ促す必要があります。従業員へ再検査の受診を勧奨させることが、企業の努力義務として厚労省の指針に定められているからです。

労災保険の二次健康診断等給付

再検査・精密検査等の費用を誰が負担するかは法令で定められていませんが、一部の条件に該当する対象者は無料で二次健康診断が受けられます。

無料になる条件は、労災保険の加入者(特別加入者を除く)で、一次健康診断で脳や心臓疾患の症状がないと診断された従業員が以下の診断結果で全て異常であると判断された場合です。

  • 血圧検査
  • 血糖検査
  • 血中脂質検査
  • 腹囲周囲もしくはBMI指数の測定

条件に該当する対象者は、1年に1度まで無料で以下の検査と特定保健指導が受けられます。

  • 空腹時の血糖値検査
  • 空腹時の血中脂質検査(LDLコレステロール・HDLコレステロール・血清トリグリセライド)
  • HbA1c(一次健康診断で実施していない場合のみ)
  • 心臓超音波検査または負荷心電図検査
  • 頸部超音波検査
  • 尿中アルブミン検査(該当者のみ)

なお、脳・心臓疾患の症状を有していると診断された場合は、労災保険の二次健康診断等給付は受けられません。

二次健康診断および医師または保健師による特定保健指導を無料で受けるには、一次健康診断の原則3ヵ月以内に、労災保険による二次健康診断等給付を申請しなければいけません。従業員の健康状態を良好に保つためにも、3ヵ月以内に受診を促すようにしましょう。

就業時の配置を決定

健康診断結果で所見があった従業員について事業者は、健康診断実施日から3ヵ月以内に医師による就業上の処置に関する意見を聞く必要があります。職場に産業医がいれば、健診先の医師でなくてもかまいません。もし産業医がいない場合は、地域産業保健センターを活用するのが良いでしょう。

医師からの意見を聞き必要に応じて対応を行います。医師から伝えられる従業員に対する意見には大きく以下3つあります。

  • 通常通りの勤務が可能
  • 勤務を休むことが必要
  • 勤務の制限が必要

通常通り勤務が可能であれば問題なく通常通りの稼働を行えます。しかし、勤務を休むことが必要と判断されると休業、また勤務の制限が必要な場合は就業上の処置が必要です。

医師の意見を参考にして、労働時間、就業場所、作業内容の3つを必要に応じて変更します。また変更実施後は、医師の意見をふまえ衛生委員会等への報告を行いましょう。

労働基準監督署へ報告

企業内で常時従業員を50人以上使用している場合、健康診断結果を労働基準監督署へ報告する必要があります。なお労働基準監督署へ報告する期限は明確に決められていません。

理由は、健康診断の実施時期が事業者ごとに異なるためです。期限に決まりはありませんが、健康診断結果を受け取った後は迅速な報告が必要です。

健康診断結果の保管

企業には健康診断結果に基づき従業員ごとの健康診断個人票を作成し、5年間保管する義務があります。5年間の保管義務があるため、企業側での管理する枚数は膨大になります。担当者は紛失しないように徹底した管理が必要です。

なお再検査である二次健康診断の結果は、保存する義務はありません。しかし健康経営を企業が推進するためには、従業員の健康管理ができるよう保存するのが望ましいでしょう。

まとめ

従業員の健康診断結果を正しく受け取るために、従業員へ問診票における自分の現病歴と既往歴、家族の既往歴の記入漏れに気をつけるよう伝えましょう。従業員の健康診断が終わった後は、健康診断結果を関係者のみが確認して速やかにその後の対応に移ります。

なお健康診断結果は、健康診断個人票を作成したうえで5年間の保存義務があるので担当者が大切に管理する必要があります。ただ、定期健康診断だけでも年に1回の実施があるため、従業員の数が多いとその分管理する健康診断個人票は増えていくでしょう。

膨大になることが予想される健康診断個人票は、ペーパーレスでクラウド管理するのが最適です。健診データを含む就労データや面談管理など、健康情報が一元管理できるGrowbase(旧:ヘルスサポートシステム)のクラウド型健康管理システムであれば、データ管理は簡単にできるでしょう。

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