労働安全衛生法とは?事業者の安全配慮義務や改正ポイントをチェック

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労働安全衛生法とは、労働者が安全で健康に働けるよう定められた法律です。しかし、法律の全条文は非常に多いため、全てを読むのは難しい事業者さまも多いのではないでしょうか。この記事では、労働安全衛生法の目的や対象となる事業者、事業者が守るべき安全配慮義務や2015年・2019年の改正ポイントについて解説します。

労働安全衛生法とは

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労働安全衛生法とは、事業場における安全衛生管理体制の確立や、事業場における労働災害防止のための具体的措置、国による労働災害防止計画の策定について定めた法律です。例えば、安全委員会・衛生委員会の設置、安全管理者や産業医等の選任、危険防止基準の設定、安全衛生教育や健康診断の実施義務などが定められています。

また、労働者を危険や健康障害から守るため、危ない機械や危険物・有害物に対する規制を設けています。例えば、一部の化学物質については製造・輸入・譲渡・提出・使用が禁止されているほか、労働者に危険や健康障害を生じるリスクが考えられる物質に関しては、作業環境の管理濃度が設定されたり、有害性をラベル表示したりすることなどが義務づけられています。

労働安全衛生法の目的

労働安全衛生法は、以下の2つのことを目的として制定されました。

  • 職場における労働者の安全と健康の確保
  • 快適な職場環境の形成促進

労働安全衛生法は非常に広範囲にわたってさまざまなルールを設けており、前述のように危険物や有害物に関する制限のほか、職場環境の改善やメンタルヘルスに関する措置なども含みます。そのため、労働安全衛生法だけでも12章123条もありますが、さらに細かく労働安全衛生規則や各条文、通達などが非常に多く発令されています。

労働安全衛生法成立の背景

労働安全衛生法が成立したのは1972年です。それ以前に労働者を守るための法律といえば1947年に制定された「労働基準法」であり、第5章に労働安全衛生に関する条文が定められていました。その後、1960年10月に「(旧)有機溶剤中毒予防規則」など関連規則がその都度整備されていきましたが、その後の高度経済成長で事態は大きく変わりました。

高度経済成長期には、大規模工事が増えたり、生産技術が革新されて労働環境が変化したりしたことが要因となり、労働災害が急激に増加しました。この頃は毎年6,000人以上が労働災害によって死亡していたことから大きな社会問題となり、当時の労働省をはじめ専門家が1969年から中心となって、労働安全衛生にまつわる法令の整備に着手しました。

そして、労働安全衛生に関する項目を労働基準法から分離独立する形で、1971年の通常国会に法案を提出し、翌1972年に労働安全衛生法が可決したのです。

労働安全衛生法の対象となる事業者

労働安全衛生法はすべての事業者に対して適用されるわけではなく、適用される事業者を以下のように制定しています(労働安全衛生法第2条3項)。
事業者とは、事業を行う者で、労働者を使用するものをいう。
そして、ここで言われている労働者とは、以下のように規定されています(労働安全衛生法第2条2項)。
労働基準法第9条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。)をいう。
労働基準法で規定されている労働者とは、以下の者を指します。
この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

つまり、労働の対価として賃金を支払っている労働者を使用している事業者が労働安全衛生法の対象となります。基本的にはほとんど全ての企業が当てはまると考えて良いでしょう。ただし、「同居の親族のみを使用している事業主に使用される労働者」や「家事使用人」は労働者に含まれないことから、これらのみを使用している事業者は労働安全衛生法の対象となりません。

また、前述の対象外となる労働者を使用している場合でも、以下の労働者を使用している場合、労働安全衛生法の適用外となります。

  • 船員
  • 鉱山、国会職員、裁判所職員、防衛省職員、非現業(公権力の行使を有する)の一般職である国家公務員(一部)
  • 非現業(公権力の行使を有する)の地方公務員(一部、適用除外となる法令などがある)

事業者が守るべき「安全配慮義務」とは

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事業者が守るべき「安全配慮義務」について、主な6つのポイントをご紹介します。

組織やスタッフの配置

事業者は、安全配慮義務を守るため、職場の安全衛生を管理・維持するための組織やスタッフを配置することが定められています。例えば、業務や事業場の規模によって、以下のスタッフを配置しなくてはなりません。

スタッフ 役割 選任要件
総括安全衛生管理者 事業場の安全・衛生に関する業務の統括管理 業種区分による
安全管理者 安全衛生業務のうち、安全に関する技術的事項の管理 常時50人以上の労働者を使用する一定の業種の事業場
衛生管理者 安全衛生業務のうち、衛生に関する技術的事項の管理 常時50人以上の労働者を使用する事業場
産業医 労働者の健康管理について、専門的な立場から指導・助言を行う医師 常時50人以上の労働者を使用する事業場
作業主任者 作業の直接指揮や使用する機械の点検、安全装置の使用状況の監視など 政令で定められた特定の作業を行う際、免許取得者や技能講習修了者の中から、選任する
統括安全衛生責任者 複数の関係請負人の労働者が混在する場所での、労働災害防止に関する指揮・統括管理 特定の業種・場所による
安全衛生推進者
(衛生推進者)
労働者の安全や健康確保などに関する業務 常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場
このほか、安全委員会や衛生委員会の設置も義務づけられています。常時使用する労働者が50人以上の一定の業種の事業場では、安全委員会と衛生委員会の両方を設置しなくてはならないため、両方を統合した「安全衛生委員会」の設置でも構わないとされています。

労働災害防止の措置

労働災害や健康障害を防止するために行わなくてはならない措置は、労働安全衛生法第4章に規定されています。例えば、以下のような項目が挙げられます。

  • 機械・器具その他の設備、爆発性・発火性・引火性の物などによる危険の防止
  • 原材料、ガス、蒸気、粉じん、酸素欠乏空気、病原体、放射線、高温、低温、超音波、騒音、振動、異常気圧などによる健康障害の防止

他にも、労働安全衛生規則や労働安全衛生法令により、危険を防ぐための具体的な措置についても定められています。例えば、以下のようなものです。

  • 脚立や足場の使用条件…脚立は「丈夫な構造であり、腐食や損傷がない」など、足場は「著しい損傷・変形・腐食がなく、丈夫な構造である」など、所定の条件を満たすものでなければ使えない。
  • 高所作業の安全帯…高さ2メートル以上の高所作業で、作業床を設置するのが困難な場合、労働者が墜落するのを防ぐため、安全帯の着用が義務づけられている。
  • 作業場でのヘルメット、服装…荷物のつり上げやつり下げ、組み立て作業、掘削作業などではヘルメットの着用が義務づけられている。作業服や安全靴などの着用規定もある。

快適な職場環境の形成

職場環境を快適にすることも、安全配慮義務のうちの一つです。これは、労働安全衛生法第7章の2で企業の努力義務として定められています。快適に作業できる状態に維持・管理するための措置や、労働者が就く作業が健康を害するようなものだった場合、それを改善するための措置などがあり、具体的には以下のようなことが挙げられます。

  • 作業環境の測定…作業環境の実態を把握し、必要に応じて対策を講じる。
  • 照度基準を守る…一般的な事務作業で300ルクス以上、付随的な事務作業で150ルクス以上。6ヶ月に1回、点検も必要。
  • 騒音や振動の防止…室内で働く労働者に影響を及ぼす可能性がある騒音や振動の防止。隔壁を設けるなどして、騒音や振動が伝わらないようにする。
  • 休憩の設備、休養室などの設置…労働者が有効利用できる、休憩用設備の設置。労働者に夜間睡眠や仮眠の機会を設ける場合、男女別に睡眠・仮眠場所を設ける必要がある。また、業種問わず常時50人以上、または常時女性30人以上の労働者を使用している場合は労働者が横になれる休養室(休養所)を男女別に設ける必要がある。
  • 二酸化炭素濃度や室温などの測定、換気の実施…中央管理方式の空気調和設備を設けている建築物の室内で、事務所として使っている場合、「一酸化炭素・二酸化炭素の含有率」「室温および外気温」「相対湿度」の3点で作業環境測定が必要。また、一酸化炭素・二酸化炭素の含有率が基準値以下になるよう、換気の実施も必要。
  • 男女別トイレの設置…トイレは男女別に設置すること、労働者数に応じて必要な便器の数も規定されている。
  • 清掃・大掃除の実施…日常的な清掃のほか、6ヶ月に1回大掃除が義務づけられている。ゴミや廃棄物が所定の場所以外に捨てられないような注意も必要。

労働者への安全衛生教育の実施

安全衛生は事業者側の努力だけでできるものではなく、労働者1人ひとりが自覚することも重要です。そのため、労働者への安全衛生教育の実施も安全配慮義務として義務づけられています。具体的には、以下の安全衛生教育が求められます。

  • 労働災害防止業務従事者能力向上教育
  • 雇入れ時の安全衛生教育
  • 作業内容変更時の安全衛生教育
  • 危険有害業務に対する特別教育
  • 新任職長等に対する安全衛生教育
  • 危険有害業務に現に就いている者への安全衛生教育

危険に関する措置

労働安全衛生法では、危険な場所での作業や危険物取扱い時には届出をすること、リスクアセスメントの実施、危険な業務に対する就業制限などを実施すること、危険物や有害物の取扱・表示義務、定期自主検査を実施することなども義務づけられています。順番に見ていきましょう。

危険な場所での作業や危険物取扱い時の届出

危険や有害な作業を必要とする機械、危険な場所で使う物、危険・健康障害を防止するための物を設置したり、移転したりする場合には、労働基準監督署長への届出が義務づけられています。

リスクアセスメントの実施

リスクアセスメントとは、事業場における危険性・有害性の特定やリスクの見積りを行ったり、リスク低減措置を決めたりすることを指します。特に製造業・建設業の事業者に対して、リスクアセスメントや関連措置の実施が努力義務とされています。

危険な業務に対する就業制限

クレーン運転をはじめとする危険な業務に対しては、就業制限が定められています(労働安全衛生法第61条)。免許を持っている、技能講習を修了しているなど、何らかの資格を持つ労働者でなくては、これらの業務に就くことはできません。

危険物や有害物の取扱・表示義務

危険物とは爆発性・発火性のもの、有害物とは健康被害が生じる可能性がある化学物質、または化学物質を含む製剤が該当します。これらの危険物や有害物を取り扱う場合、容器や包装に名称と人体に及ぼす影響、貯蔵や取り扱い上の注意を記載する必要があります

定期自主検査の実施

事業者が定期的に実施する検査で、ボイラーをはじめとする機械を点検したり、結果を記録・保管したりする必要があります。対象となる機械は、労働安全衛生法施行令で詳しく定められています。

労働者の健康保持

労働者の健康を保持することも、安全配慮義務の一つです。作業環境測定については快適な職場環境形成の項目で紹介しましたが、他にも健康診断や病者の就業禁止などが規定されています。

特に健康診断については、労働安全衛生法第66条に基づき、雇入れ時や定期健康診断、特定業務従事者の健康診断や海外派遣労働者の健康診断など、詳しく規定されています。健康診断と労働安全衛生法については、以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。
健康診断を規定する労働安全衛生法とは|実施時の注意点も解説

また、健康診断の結果、異常な所見が認められた場合は健康保持のため必要な措置について、医師や歯科医師の意見を聞く必要があります。必要があれば、就業場所や作業を変更したり、労働時間を短縮したり、深夜業の回数を減らすなどの措置を講じたり、労働者に対して保健指導を行ったりすることもあります。

ストレスチェックの義務化

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2015年12月1日より、新たに「ストレスチェックの実施」が義務化されました。これは常に使用する労働者が50人以上の事業場に限られ、50人未満の事業場の場合はストレスチェックの実施は努力義務とされています。ストレスチェックによって高ストレス者を早期に発見し、メンタルヘルスの不調を未然に防ぎ、より働きやすく健康的な職場にするためです。

ストレスチェックに関わる人

ストレスチェックの実施者は、医師や保健師のほか、厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師や精神保健福祉士、歯科医師、公認心理師が含まれます。また、実施者の補助を担当する事務従事者として、産業保健スタッフや事務職員がいます。そして、ストレスチェック制度の実施計画を策定するのは、衛生管理者やメンタルヘルス推進担当者などです。

注意すべきなのは、ストレスチェックの実施や事務従事者には人事権を持つ人(人事部に所属する人など)はなれない、ということです。これらのスタッフが社内で確保できない場合は、外部に委託するという方法もあります。

ストレスチェックの対象となるのは、健康診断の対象者と同じように、「常時使用する労働者」です。これは正社員のほか、以下の条件を両方満たすパートタイマーやアルバイトの従業員も含まれますので、漏れがないよう十分注意しましょう。

  • 期間契約に定めがない、または1年以上
  • 労働時間が正社員の4分の3以上

ストレスチェックの流れ

ストレスチェックの流れは、大まかに以下のようになります。

  1. 事前準備
  2. ストレスチェックの実施
  3. 労働者本人への結果通知
  4. 労働者本人からの面接指導の申し出
  5. 医師による面接指導の実施
  6. 医師からの意見聴取
  7. 就業上の措置の実施

事前準備では、事業者がストレスチェック制度に関する基本方針を決定し、衛生委員会が実施方法や実施状況などを審議します。その後、労働者に周知され、ストレスチェックが実施されます。ストレスチェックの実施は最低でも1年に1回とされ、用意された調査票に回答する形で行われます。

労働者本人への結果は、ストレスの特徴や傾向を数値や図表で表したもの、高ストレスに該当するかどうか、面接指導の要否などが含まれます。その他、セルフケアに関する助言や指導、面接指導の申出窓口やその方法、他にも相談できる窓口があれば情報提供する、なども望ましいとされています。

高ストレス者への対策

上記の結果で面接指導を要するとされ、本人からも申し出があれば、医師の面接指導を実施しましょう。もちろん、面接指導の申し出を理由として解雇や退職勧奨、配置転換など労働者に不利益な扱いをすることは禁じられています

医師による面接指導では、勤務状況や心理的な負担の状況、心身の状態を確認します。事業者は面接指導の結果の記録を作成し、5年間保存しなくてはなりません。また、面接指導が終わったら、医師の意見を聴取し、就業区分の判断や職場環境の改善に関する意見を仰ぐ必要があります

最後に、事業者は医師の意見を踏まえて就業上の措置を行いますが、措置を決定する際には労働者と話し合いの場を設け、措置に対して本人の理解を得られるようにしましょう。また、就業上の措置の実施が労働者に対して不当なものにならないように注意する必要もあります。スムーズな措置が行えるよう、関係する部署や管理・監督者と連携することも重要です。

労働基準監督署への報告義務

事業者は、ストレスチェックの結果について労働基準監督署への報告義務があります。報告義務を怠った場合、50万円以下の罰金に処せられます(労働安全衛生法第120条)。ただし、常時使用する労働者が50名未満の事業場については努力義務のため、労働基準監督署への報告義務もありません。

労働安全衛生法の改正(2019年)

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2019年、労働安全衛生法が大きく改正されました。ここでは、改正の背景やポイントについて見ていきましょう。

労働安全衛生法が改正された背景

2019年、実時間労働が法定労働時間を大幅に上回る「長時間労働」が社会問題となり、長時間労働を改善するための一環として、労働安全衛生法が改正されました。実際に、業務における過重な負荷で脳・心臓疾患を発症したとして労災請求が行われた件数は、ここ10年ほど、1年あたり700件〜900件も起こっています。実際に、令和2年度の請求件数は784件でした。
出典:厚生労働省「過労死等の労災補償状況

労働安全衛生法改正のポイント

2019年の労働安全衛生法改正のポイントとして、以下の4つが挙げられます。

  • 労働時間の把握
  • 医師による面接指導
  • 法令等の周知の方法など
  • 心身の状態に関する情報の取り扱い

2019年の法改正まで、労働時間の把握はガイドラインで示されるにとどまっていました。しかし、法改正により、労働時間状況の把握を客観的な方法で行わなければならない、と法で明文化されました。客観的な方法とは、タイムカードによる記録やパソコンの使用記録、出退勤メール、Web勤怠管理システムなどを指します。また、これらの状況の記録は3年間保存しなくてはなりません。

また、長時間労働などが要因となって健康リスクが高い、と考えられる従業員に関しては、医師による面接指導が強化されました。例えば、「週の実労働時間が40時間を超えた時間」が1カ月当たり80時間を超えた労働者に対しては、労働時間に関する情報の通知を行うとともに、申し出があれば医師による面接指導が受けられるようになったのです。

さらには、「研究開発業務従事労働者」と「高度プロフェッショナル制度適用者」に関しては、本人の申し出がなくとも規定の労働時間を超えた場合、医師による面接指導の実施が義務づけられました

法令等の周知の方法とは、産業医の業務内容を周知する方法のことです。書面で掲示したり、社内の電子掲示板に掲載したりと、見やすくわかりやすい方法で労働者に周知しましょう。また、ストレスチェックなどが義務づけられたことにより、事業者はより詳細に労働者の心身の状態に対する情報が得られるようになったわけですが、労働者の健康の確保に必要な範囲を超えて情報を収集したり、使ったりしてはならないことも同時に定められました。

産業医の役割強化

2019年の労働安全衛生法改正によって、産業医や医師の面接指導などが強化されました。前述のように長時間労働が要因となって健康リスクが高いと考えられる場合の面接指導などももちろんですが、事業者が必要な情報を産業医に提供し、産業医は労働者の健康確保のために必要と判断した場合、各種措置を行うよう事業者に勧告を行います。そして、事業者は産業医の勧告を尊重し、その内容を衛生委員会(安全衛生委員会)に報告する必要があります。

このように、産業医の発言力を強めることにより、産業保健機能の強化が図られました。また、産業医は労働安全衛生法第13条3項によって「労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識に基づいて、誠実にその職務を行わなければならない」と、独立性や中立性の強化も図られています

労働安全衛生法に違反した場合の罰則

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労働安全衛生法に違反した場合、主な罰則として以下のような内容が規定されています。また、労働安全衛生法の多くの罰則は「両罰規定」というものであり、違反した本人だけでなく、事業者である法人も罰せられるというものです。

  • 3年以下の懲役又は300万円以下の罰金
  • 1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
  • 6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金
  • 50万円以下の罰金

最も重い罰則は第115条の3「製造時等検査、性能検査、個別検定又は型式検定の業務に従事する登録製造時等検査機関、登録性能検査機関、登録個別検定機関又は登録型式検定機関の役員又は職員が、その職務に関して、賄賂ろを収受し、要求し、又は約束したときは、5年以下の懲役に処する。これによって不正の行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、7年以下の懲役に処する。」です。

一方、罰則は第123条「次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の過料に処する。①第50条第1項の規定に違反して財務諸表等を備えて置かず、財務諸表等に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は正当な理由がないのに第50条第2項の規定による請求を拒んだ者 ②機構が第九十六条の三の規定による命令に違反した場合におけるその違反行為をした機構の役員」です。

次章では、実際の違反事例について3つほど見ていきましょう。

労働安全衛生法の違反事例

実際に、労働安全衛生法に違反した事例を3つご紹介します。

虚偽報告

土木工事の現場で、労働者とドラグ・ショベルが接触する労働災害が発生した。現場監督者が適切な措置を行っていなかったことが原因だったにも関わらず、会社代表者は労働者死傷病報告書に「被災労働者が自ら転倒して負傷」と虚偽の報告を行った。

これについて、労働者死傷病報告書への虚偽の記載による罰則(罰金50万円以下)に加え、現場監督者が適切な措置を行っていなかったことについても労働安全衛生法への違反が認められるため、この点にも罰則(6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金)が科されます。

高所からの墜落

2階建木造家屋を解体する工事において、屋根の上で瓦を取り除く作業を行っていた労働者が、屋根の端から地上へ墜落、死亡した。このとき、当該事業の代表者は、作業箇所に親綱を張る、労働者に安全帯を使用させるなどの墜落を防ぐ措置を行っていなかった。

この例では、高所での作業時、墜落の危険がある場合、労働者に安全帯を使用させるなどの危険を防止する措置が講じられていなかったことが労働安全衛生法に対する違反となり、罰則(6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金)が科せられます。

食品加工用機械による労働災害

食肉販売店において、ミンチ機を使って食肉をミンチ状に加工していたところ、食肉の投入口から入れた手がミンチ機のロール部分に巻き込まれ、手関節から先を切断する事態となった。当該事業の代表者は、ミンチ機の投入口に蓋や囲い等を設置しておらず、また、安全に材料を入れるための用具を労働者に使わせていなかった。

この例では、食品加工のための粉砕機や混合機において、開口部から可動部に接触することで労働者に危険が生じるリスクがある場合、蓋や囲いを設置していなかったこと、安全に材料を入れられない場合は機械を止めるか用具を使わせなくてはならなかったことに違反しています。そのため、罰則(6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金)が科せられます。

労働安全衛生法の安全配慮義務や改正ポイントをおさえ、法令を遵守しよう

労働安全衛生法は、職場における労働者の安全と健康の確保と、快適な職場環境の形成促進の2つを目的として労働基準法から分離・独立する形で制定された法律です。そのため、社会情勢に応じてさまざまな法改正がなされており、近年ではストレスチェックや長時間労働に関する法改正のポイントをきちんと理解し、遵守する必要があります。

また、労働安全衛生法では、ストレスチェックや健康診断が義務とされています。これらに該当する従業員にきちんとストレスチェックや健康診断を実施したかどうか、またその結果を一元管理するためには、HSSなどの健康管理システムが便利です。未実施の従業員はもちろん、医師の面接指導が必要な従業員などの抽出も簡単に行えます。こうしたシステムなどを上手に利用し、労働安全衛生法に定められた安全配慮義務を遵守しましょう。

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執筆者:HSS編集部

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