健康診断は従業員の自費?健康診断の種類ごとに支払う対象者を紹介
はじめて健康診断の実施を任された担当者の中には、健康診断にかかる費用を誰が支払う必要があるのか知らない方も多いでしょう。健康診断の種類によっては費用負担の対象者が従業員になる場合もあります。
この記事では健康診断の費用を支払う対象者から法律で義務化されている健康診断の種類、さらに従業員の自費が必要になる健康診断について紹介します。
健康診断の費用は従業員の自費?会社負担?
健康診断の費用は、法律で企業が全額負担するよう労働安全衛生法で定められています。つまり健康診断を従業員が受けたときにかかる料金は、企業側が全額負担にしなければいけません。
ただしすべての健康診断が企業負担になるわけでなく、人間ドックやオプション検査などの義務化されていない項目の受診では従業員の自費負担になるケースがあります。
法律で義務化されている健康診断の種類
法律で義務化されており、従業員の受診が必須の健康診断は2つあります。
- 一般健康診断
- 特殊健康診断
上記2つは事業者に実施が義務付けられているため、基本的に費用は企業負担になります。ここではそれぞれの実施時期や対象者についてふれていきましょう。
一般健康診断
一般健康診断とは、職種問わず雇用されている従業員が受ける必要のある健康診断です。労働安全衛生規則により実施が義務化されており、主に以下のような種類があります。
●雇入れ時の健康診断
実施期間 | 雇入れ時 |
対象者 | 常時使用する従業員 |
対象項目 |
|
●定期健康診断
実施期間 | 1年以内ごとに1回、定期に実施 |
対象者 | 常時使用する従業員 |
対象項目 |
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●特定業務従事者の健康診断
実施期間 | 6か月以内ごとに1回、定期に実施 |
対象者 | 労働安全衛生規則 第13条第1項第3号に掲げる業務へ従事する従業員 |
対象項目 | 定期健康診断と同じ内容 |
●海外派遣労働者の健康診断
実施期間 |
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対象者 | 6ヵ月以上海外へ派遣する従業員 |
対象項目 | 定期健康診断と同じ内容及び、厚生労働大臣が定めた医師が必要とする項目 |
●給食従業員の検便
実施期間 |
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対象者 | 事業に付随する食堂又は炊事場での給食業務へ従事する従業員 |
特殊健康診断
特殊健康診断は、労働安全衛生法で定められた有害業務で働く労働者を対象にした健康診断です。労働安全衛生法で定められた有害業務は以下の7つです。
- 高圧室内作業および潜水作業
- 放射線業務・除染等業務
- 特定化学物質の製造、取扱業務
- 鉛業務
- 四アルキル鉛業務
- 有機溶剤の製造、取扱業務
- 石綿の粉じんを発散する場所における業務
また、これらのほかに粉塵作業に従事する(従事した)労働者に対し、じん肺法によりじん肺健康診断の実施が事業者に義務付けられています。
特殊健康診断の実施時期は以下です。
- 雇入れ時
- 上記有害業務への配置換えの際
- 6ヵ月以内に1回、定期に実施
ただし特定化学物質業務と石綿業務は、業務からの配置換えをした後にも特殊健康診断の実施が必要になります。
じん肺健康診断
そのほかじん肺健康診断もあります。じん肺健康診断は、じん肺法施行規則別表で定められた24の粉じん作業に従事している従業員が受ける健康診断です。じん肺健康診断は、診断結果によってその後の管理区分が決まります。
じん肺健康診断の実施時期は以下です。
- 就業時
- 所見あり:1年に1回
- 所見なし:3年に1回
- 離職時
従業員の自費かどうか迷いやすい5つの健康診断
ここでは企業負担か従業員の自費か、とくに迷いやすい健康診断の種類について紹介します。
- 雇入れ時の健康診断
- 定期健康診断
- オプション検査
- 人間ドック
- 再検査
それぞれ順番にお伝えしましょう。
雇入れ時の健康診断
雇入れ時の健康診断は、前述したように労働安全衛生規則に定められている企業で実施が必須の健康診断です。当然、企業側からの費用負担が一般的ですが、入社前に健康診断書の提出を求めることで従業員の自費負担にすることもできます。
ただし法律で義務化されている健康診断であるため、入社前であっても従業員が負担した領収書を確認のうえ、後日清算する対応が望ましいでしょう。
定期健康診断
定期健康診断は、労働安全衛生規則第44条の義務により必ず実施が必要になる健康診断です。そのため、定期健康診断は基本的にすべて企業負担です。
また定期健康診断は、保険の適用外である自由健康診断なので、一人あたり約5,000円~15,000円の費用負担が企業側に必要となります。依頼先となる医療機関によって企業負担額は変動するので、担当者は依頼先の選定を慎重に行いましょう。
オプション検査
健康診断に追加でオプション検査をつけたいと従業員から希望されることも珍しくありません。オプション検査には胃カメラや子宮頸がん検査、乳がん検査などが含まれます。
前述したように定期健康診断は企業負担ですが、オプション検査については法律で実施の必要性が定められていないため、料金は従業員の自費負担が基本です。ただし、産業医が就業判定を行うときにオプション検査の結果が必要と判断した場合は、企業負担とするのが望ましいでしょう。
企業負担にするのであれば、担当者の個人的な判断だけでなく従業員と事業主の間で労使合意を行い、議事録に今後の取り決めを記録決定するのが適切です。
人間ドック
定期健康診断に追加で人間ドックの受診を希望する従業員もいるでしょう。人間ドックはオプション検査と同様に法定項目に該当しない項目も含まれるため、基本は従業員の自費負担になります。
しかし人間ドックの費用は、健康保険組合や地方自治体が補助金を負担してくれる場合があるので一部を企業負担とするケースもあります。人間ドックの実施を検討するのであれば、入社歴や偶数年、奇数年を交互に受診対象者にするなど、受診する従業員を管理するのも良いでしょう。
再検査
健康診断結果で所見が見つかった場合、従業員の再検査が必要になります。注意したいのが再検査は基本、義務化されていないことです。そのため、再検査は基本、従業員の自費負担になります。
ただし、特殊健康診断で定められた再検査(二次検査)は事業所負担になります。
また、安全配慮義務がある企業において、産業医が「再検査を実施しないと、安全に労働できるか判断できない」と判定された場合は企業負担にするのが望ましいでしょう。
また企業側の配慮として、再検査になった従業員が受診しやすいように再検査実施日に有給を取らせたり、業務調整を取らせたりするのが適切です。
まとめ
従業員の健康診断における費用は、基本的に企業負担です。しかし労働安全衛生法に定められていない一部の健康診断は、従業員の自費負担にすることもできます。
従業員の自費負担にできるのはオプション検査や人間ドック、再検査などです。ただし、産業医が診断結果を必要と判断した場合、企業側が費用を負担するのが望ましいでしょう。
お伝えしたように、健康診断の実施において、企業側は様々な対応や管理が必要になります。個人の健康診断データがひとつでも紛失してしまうと、企業としての責任が問われるでしょう。
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