健康診断を安く実施するには?料金相場とおすすめ健診施設も解説
「企業の健康診断の担当者になったけど、どれだけの費用が掛かるの?」「健康診断の費用を抑えるには、どうしたら良いの?」と思うことはありませんか?健康診断は毎年従業員1人あたりに検査費用が発生するので、企業には大きな負担です。
この記事では健康診断の人的コストや賃金の支払いなどについて解説していますので、コストを抑えた健康診断の実施にお役立てください。また、記事の最後では社員の健康情報を効率的かつ低コストで管理するツールについてもご紹介しておりますので、ぜひ最後までお読みください。
健康診断の実施義務
企業内の健康診断は、労働安全衛生法において定められた義務です。 企業に実施義務のある健康診断は、おもに以下の二種類に大別できます。
- ・一般健康診断:職種に関係なく、常時雇用する労働者に向けたもの
- ・特殊健康診断:労働衛生対策上、特に有害とされる業務従事者に向けたもの
一般健康診断はここからさらに以下の7種類に細分化されます。
- ・雇入れ時健康診断
- ・定期健康診断
- ・特定業務従事者の健康診断
- ・海外派遣労働者の健康診断
- ・給食従事者の検便
- ・深夜業従事者自発的健康診断
- ・労災保険の二次健康診断等給付
業種に関わらず全労働者に実施するのは、定期健康診断と雇入れ時健康診断であり、これらの費用も企業が支払うようになっています。
また、雇入れ時健康診断の場合は以下の点に注意してください。
- ・「雇入れ時」は、採用の直前から直後の期間をいう
- ・雇入れ時健康診断の対象者には正社員、契約社員、パートやアルバイトも含まれる
- ・雇入れ時健康診断と定期健診が重なる場合は、片方を省略しても良い
雇入れ時健康診断を実施する「採用の直前から直後の期間」には、応募や選考段階は含まれず、実施期間は採用後の1ヶ月以内というケースが多いです。
また、雇入れ時健康診断の対象者の「正社員、契約社員、パートやアルバイト」とは、「通常社員の所定労働時間75%以上を満たし、一年以上の契約予定のある従業員」のことです。
雇入れ時健康診断と定期健診が重なる場合に片方を省略する際も、労働安全衛生規則第44条で定める、11項目を満たしておく必要があります。
第四十四条 事業者は、常時使用する労働者(第四十五条第一項に規定する労働者を除く。)に対し、一年以内ごとに一回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。出典:中央労働災害防止協会
- 1.既往歴および業務歴の調査
- 2.自覚症状および他覚症状の有無の検査
- 3.身長、体重、腹囲、視力および聴力の検査
- 4.胸部エックス線検査および喀痰検査
- 5.血圧の測定
- 6.貧血検査(血色素量および赤血球数)
- 7.肝機能検査(GOT(AST)、GPT(ALT)、γ-GT(γ-GTP))
- 8.血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪またはTG)
- 9.血糖検査(空腹時血糖またはHbA1c、やむを得ない場合は随時血糖(食後3.5時間以上経過))
- 10.尿検査(尿中の糖および蛋白の有無の検査)
- 11.心電図検査
健康診断の費用
健康診断を実施する企業にとって気になるのは、「健康診断の実施費用」や「健康診断実施時の賃金の取り扱い」などではないでしょうか。
定期健康診断と雇入れ時健康診断の費用で支払う必要があるものは、先述の11項目に該当する検査だけです。健康診断の実施費用相場や賃金の支払い、助成金を使えるかどうかなどについて解説していきます。
健康診断の相場
健康診断の相場は労働組合の有無や地域などによって変動するので、一概には言えませんが、従業員ひとりあたりの費用は5,000円から15,000円ほどです。また、健康診断用に病院の特殊車両が事務所に来る場合や、受診する人数によっても費用は変動します。
健康診断実施時の賃金
健康診断実施時の労働者に対して支払う賃金は、どのように取り扱えばよいのでしょうか。
健康診断に使う時間も「業務に資する時間」であり、その実施義務も企業側にあるので、労働者への賃金は支払ったほうがよいでしょう。厚生労働省の回答によると、「健康診断は業務遂行のために直接関係があるわけではないが、円滑な受診を行うため、受診時の賃金は労使間の協議によって定めるべき」とあります。
健康診断実施時の賃金の取り扱いは、安全衛生委員会を開いて労使間で合意を取り、就業規則で定めておくようにしましょう。
健康診断実施時に助成金を使う
健康診断の実施時は「キャリアアップ助成金」や「人間ドック受診の助成金」といった、助成金制度を活用することが可能です。
キャリアアップ助成金制度の適用条件や申請手順は、「キャリアアップ助成金パンフレット – 厚生労働省」に掲載されており、その詳細は以下の通りとなっています。
対象労働者
- ・支給対象事業主に雇用されている有期雇用労働者等
- ・雇入れ時健康診断または定期健康診断または人間ドックを受診する日、その労働者が雇用保険被保険者であること
- ・健康診断制度を実施した事業所の事業主または、取締役の3親等以内の親族以外
- ・支給申請日の時点で離職していない人
また、健康診断を人間ドックで代用する場合も各自治体や保険組合で補助金制度を活用できます。
健康診断の費用を安くする方法
健康診断は企業側がその費用を支払うのでコストがかかる傾向にありますが、先に述べたように補助金制度の活用や相場の把握によって、予想以上の出費をおさえることができます。
しかし健康診断には実施コストだけではなく、病院への受診予約や健康機関への支払い、健康診断の事後処置などに人的コストがかかるので、なるべく費用をおさえる施策が必要です。
ここでは健康診断の費用を安くする方法について「比較的安い値段で受けられる検査機関を選ぶ」、「人的コスト削減のために管理ツールを導入する」という2種類の方法をご紹介します。
比較的安い費用で健康診断を受けられる検査機関を選ぶ
健康診断の費用をおさえるために効果的な方法のひとつが、なるべく費用のかからない検査機関を選ぶことです。ここでは、東京都内で健康診断を比較的安い値段で受けられる検査機関を5つご紹介します。そねクリニック(東京都新宿区)
雇入れ時健康診断を価格帯8,250円(税込)~と安く提供しているクリニックです。 診断結果を最短で翌日午後に受け取れる点も魅力的で、新宿駅の南口から徒歩7分で着くなど、アクセス面も良好です。
引用:雇用時の健康診断 - 新宿 そねクリニック【 公式】
2021年11月現在
二子玉川メディカルクリニック(東京都世田谷区)
24時間Web予約システムを保有し、二子玉川駅から歩いて3分の位置にあるアクセス条件良好なクリニックです。診療は7,700円(税込)から受診可能で、健診結果も平日限定で当日に受け取ることが可能です。
引用:二子玉川で特定健診をお考えなら二子玉川メディカルクリニックまで
2021年11月現在
ごんだクリニック(東京都板橋区)
三田線高島平駅から徒歩1分の位置にあり、7,000円(税込)~から受診可能という、比較的安い価格設定のクリニックです。診断結果を最短で翌日午後に受け取れる点も特筆すべき点です。
引用:料金一覧|板橋区高島平のごんだクリニック 健診・人間ドック
2021年11月現在
ワールドシティ益子クリニック(東京都港区)
苦痛や不快感を起こさないように検査を行う点が特徴のクリニックであり、東京慈恵会と連携した高い画像解析技術も導入されています。健診費用は時間帯によって異なっており、平日午後(15:00〜17:30)の健診は8,300円(税別)と最も低価格で受診できます。
引用:雇用時健診8,300円~|港区のワールドシティ益子クリニック
2021年11月現在
医療法人社団いつくし会吉田まゆみ内科(東京都江東区)
認定産業医の院長が開設したクリニックで、30分程度で診療できる点が魅力的です。仕事で忙しく、健康診断を受ける暇がない方にオススメです。企業定期健診は8,500円で受診できます。
引用:企業・一般健康診断
2021年11月現在
健康データ管理ツールで人的コストを削減
健康診断のコストをおさえるもうひとつの方法が、クラウド型健康管理システムの導入です。例えば『Growbase(旧:ヘルスサポートシステム)』を導入すれば、ペーパーレス化はもちろん、手間のかかる医療機関への手続きや健康診断のスケジュール調整、事後措置などの人的コストも削減できます。
まとめ
健康診断の費用は基本的に企業側が負担し、受診期間中の賃金も支払うことが望ましいとされています。しかし、健康診断実施時の助成金使用や比較的安い費用で利用できる検査機関を選ぶことなどで、費用を抑えられます。
また、常時50人以上の労働者を雇用している企業は、健康診断の結果を労働基準監督署へ報告する義務があります。
『Growbase』は、健康診断結果などの従業員の健康データを一元管理可能なツールですので、健康診断に関する業務を円滑に進められます。健康診断結果を全てペーパーレスで管理できるので、人的コスト削減に効果的です。
<監修者プロフィール>
医師、公認心理師、産業医:大西良佳
医学博士、麻酔科医、上級睡眠健康指導士、セルフケアアドバイザー
北海道大学卒業後、救急・在宅医療・麻酔・緩和ケア・米国留学・公衆衛生大学院など幅広い経験からメディア監修、執筆、講演などの情報発信を行う。
現在はウェルビーイングな社会の実現に向けて合同会社ウェルビーイング経営を起業し、睡眠・運動・心理・食に関するセルフケアや女性のキャリアに関する講演や医療監修も行っている。
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執筆者:Growbase編集部