35歳以上は健康診断の項目が違う?胃カメラやバリウム検査は義務?

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企業が健康経営を推進するにあたり、従業員に健康診断を正しく受けさせることは最初の一歩です。健康診断の項目は35歳以上と34歳以下で異なりますが、詳しい内容を知らない担当者の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、35歳以上の従業員に受けさせるべき健康診断の項目をご紹介します。34歳以下との違いはもちろん、胃カメラやバリウム検査が義務かどうか、生活習慣病予防健診で代替できるかどうかも解説しますので、ぜひ参考にしてください。

35歳以上の健康診断に必要な項目とは

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健康診断とは、ある人が健康な状態にあるかどうか問診や各種検査から判断し、健康を維持したり疾病の予防や早期発見に努めたりするためのものです。特に、企業には従業員の健康を守るため、労働安全衛生法にて「一般健康診断」の実施が義務付けられています。最も馴染みの深いものとして、1年以内に1回行われる「定期健康診断」が思いつくでしょう。

「定期健康診断」は、企業に勤める全ての正社員と、以下の条件を満たしたパートタイマー・アルバイトの従業員に受診させる義務があることが法で定められています(労働安全衛生法第66条)。

契約期間が無期、あるいは1年以上の有期契約であり、かつ、正社員の週所定労働時間の4分の3以上働く場合(平成19年10月1日基発第1001016号通達)。

正社員が週に40時間働く場合、30時間以上働く従業員についても定期健康診断を受けさせる義務があるということに注意しましょう。また、正社員の週所定労働時間の2分の1以上(かつ、4分の3未満)働く従業員に関しては、実施が望ましいとされていますが、義務ではありません(平成19年10月1日基発第1001016号通達)。

なかでも、35歳を迎えた従業員に対しては、以下の項目を不足なく受診させる必要があります(労働安全衛生規則第44条)。

  1. 既往歴および業務歴の調査
  2. 自覚症状および他覚症状の有無の調査
  3. 身長、体重、腹囲、視力および聴力の検査
  4. 胸部X線検査および喀痰検査
  5. 血圧の測定
  6. 貧血検査(血色素量および赤血球数)
  7. 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GT(γ-GTP))
  8. 血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
  9. 血糖検査(空腹時血糖またはHbA1c、やむを得ない場合は随時血糖(食後3.5時間以上経過))
  10. 尿検査(尿中の糖および蛋白の有無の検査)
  11. 心電図検査
出典:厚生労働省「健康診断を実施しましょう」

定期健康診断で省略できる項目がある?

上記の項目の中でも、医師の判断によっては省略できる項目があります。喀痰検査については、胸部X線検査で病変が発見されなかった場合、または胸部X線検査で結核発病のおそれがないと診断された場合、省略することもできます。さらに、身長については20歳以上であれば省略可能です。ただし、受診者や企業の判断で勝手に省略することはできません。

また、以下の検査は35歳では必ず受けなくてはなりませんが、36〜39歳は医師の判断で再び省略できるようになります。

検査項目 省略できる条件
腹囲 36〜39歳である
妊娠中の女性その他で、その腹囲が内臓脂肪の蓄積を反映していないと診断された
BMIが20未満である
BMIが22未満かつ、自ら腹囲を測定して値を申告した
胸部X線検査 36〜39歳かつ、感染症法で結核に係る定期健康診断の対象とされる施設等で働いていない
36〜39歳かつ、じん肺法による3年に1回のじん肺健康診断の対象とされていない
貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査、心電図検査

36〜39歳である

34歳以下との違い

34歳以下であれば、医師の判断にもよりますが、問題がなければ身長・腹囲、貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査、心電図検査を省略できます(胸部X線検査は20、25、30歳で省略可となります)。

これらはいずれも動脈硬化などの生活習慣病や心疾患、肝機能など重要な臓器に関わる項目であり、異常があれば生命に関わる部分です。そのため、若年層でリスクが低い場合、医師の判断で検査を省略できます。一方で、自覚症状がなくてもリスクが高まる中高年の場合、検査を省略することができません。

なぜ35歳以上で項目が異なるのか

最も大きな理由は、昨今の医療費増加を食い止めるためです。

40歳以上は、病気を発症する人がぐっと増えてきます。日本人の死因の上位を占める生活習慣病予防のための「特定健康診査・特定保健指導」が40歳以上を対象としているように、40歳以上は様々な疾患の発症リスクが高まる時期です。そのため、35歳を節目年齢とし、これまで以上に健康に対する意識を高めようとするねらいがあります。

日本人の死因は2018年・2019年と老衰が3位に入っているように、生活習慣病などを要因とする脳血管疾患(脳卒中、大動脈瘤破裂など)死者は減ってきています。それでも、まだまだ少ないとは言えません。35歳という節目年齢に定められた健康診断は、身近に潜む健康リスクを再確認するための機会なのです。

胃カメラ・バリウム検査の義務はあるのか

結論としては、35歳以上の健康診断であっても胃カメラやバリウム検査の義務はありません。なぜなら、定期健康診断について定めた「労働安全衛生規則第44条」において、定められた項目に胃カメラやバリウム検査の義務はないからです。つまり、胃部の検査を従業員に受診させることについて、企業に法的な義務はありません。

胃カメラやバリウム検査は、食道〜十二指腸までの上部消化管に病変があるかどうか調べる検査です。胃カメラは口や鼻からカメラを入れて、バリウム検査は造影剤(バリウム)を飲み、X線を照射して調べるという違いがあります。

35歳以上の健康診断の項目は生活習慣病予防健診で代替できる?

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35歳以上の定期健康診断も、協会けんぽの「生活習慣病予防健診」で代替することが可能です。「労働安全衛生規則第44条」で定められた11項目が含まれているため、法的にも代替して問題ありません。

生活習慣病予防健診で代替するのがおすすめな理由3つ

35歳以上の健康診断は、法的に生活習慣病予防健診で代替して問題ないことがわかりました。しかも、健康経営の観点から言えば、生活習慣病予防健診で代替するのがおすすめです。最後に、その理由を解説しましょう。

検査項目が多い

生活習慣病予防健診では、定期健康診断の項目にプラスして以下の8つの検査(検査項目)があります。
  • 肥満度・標準体重
  • 血中脂質検査(総コレステロール)
  • 肝機能検査(ALP)
  • 痛風検査(血中尿酸濃度測定)
  • 貧血検査(ヘマトクリット値)
  • 尿検査(尿潜血)
  • 腎機能検査(血中クレアチニン濃度測定、eGFR)
  • 胃部X線検査(または胃部内視鏡検査)
  • 白血球数検査
  • 便潜血検査
  • 眼底検査(医師の判断により実施)
特に、定期健康診断の項目にはない胃部X線検査が入っているのは嬉しいポイントですね。

定期健康診断よりも健診費用がお得

生活習慣病予防健診は、費用に関して約6割の補助が受けられます。受診者1名につき約11,000円の補助が受けられますので、約7,000円の負担となり、一般的な定期健康診断(約7,000円〜8,000円程度が多い)より安くなるケースもあります。

保健師や管理栄養士による無料の特定保健指導

生活習慣病発症リスクがある受診者に関しては、生活習慣を見直すための「特定保健指導」が無料で受けられます。
支援名 支援の対象者 支援内容
動機づけ支援 メタボリックシンドロームになる危険性がある方 面談を行い、行動目標の設定をして生活習慣改善のための取り組みを継続的に行えるよう支援
積極的支援 メタボリックシンドロームの方 生活習慣病改善のために主体的な取り組みができることを目標に、面談・電話・メールなどで6ヶ月くらい定期的・継続的な支援を行う

健康経営推進のために健康診断や管理をシステム化しよう

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35歳以上は働き盛りであると同時に、健康診断の項目も異なるように、健康の大きな節目の年でもあります。健康経営推進のため、35歳以上の従業員を抽出したり、抽出した従業員に対してアプローチできるシステムの導入がおすすめです。

HSSの健康管理システムなら、就労データやストレスチェックなど、健康に関わる様々な項目を健康診断の結果と合わせて一元管理が可能。ZoomなどによるWeb面談にも対応しており、テレワーク従業員の健康管理もできます。健康診断の項目に抜け漏れがないかのチェックも簡単です。

さらに、協会けんぽの「生活習慣病予防健診」で代替した場合、受診結果から生活習慣病のリスクが高いと判断された従業員をリストアップ、特定保健指導の無料受診を勧奨することもできます。従業員の健康管理に、健康管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

35歳以上の健康診断では、34歳以下と比べて血液検査、肝機能検査、心電図検査など重要な臓器や生活習慣病に関わる検査が必須となります。これは、40歳以上で病気を発症する人が多く、発症の兆候に気づいて未然に防いだり、それにより医療費を削減したりするためです。

35歳以上の健康診断も、協会けんぽの「生活習慣病予防健診」で代替することができます。法定の定期健康診断項目にはない、胃部レントゲン検査(胃部内視鏡検査)も含まれるので、健康経営を推進したい企業では特におすすめです。健康診断を含む従業員の健康管理に、システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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執筆者:HSS編集部

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