健康診断に関する法律とは?費用は福利厚生費として計上できる?

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従業員の健康を守るため、企業は従業員に対して健康診断を実施することが法律で義務付けられています。健康診断を担当する人事・総務の担当者にとっても、経営者にとっても、従業員全員に滞りなく健康診断を受診させたいものです。

そこで、今回は健康診断に関する法律について、実施や実施後にすべきことを規定する法律を中心にまとめました。福利厚生費として計上する条件もぜひ確認しておきましょう。

健康診断の実施は法律で定められている

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健康診断の実施は、労働安全衛生法第66条で規定された企業の義務です。労働安全衛生法において、企業は従業員に対して健康管理を行う義務を負っているため、健康診断によって従業員の健康状態を知っておく必要があります。

義務であることから、健康診断を実施しない場合は労働安全衛生法違反となり、50万円以下の罰金が課されます。また、実施後に情報を漏洩した場合は罰金刑だけでなく、6ヶ月以下の懲役を課される場合もありますので、健康診断後は情報管理にも十分に注意しましょう。

一般健康診断と特殊健康診断

健康診断には大きく分けて、一般健康診断と特殊健康診断の2種類があります。

一般健康診断とは

一般健康診断とは業種・職種、勤務時間に関係なく全職種に対して行われる健康診断のことで、以下の種類があります。
種類 対象者 実施時期 定める法律
定期健康診断 常時使用する労働者 1年以内に1回 労働安全衛生規則第44条
雇入れ時の健康診断 新たに雇い入れる労働者 雇入れの際 労働安全衛生規則第43条
特定業務従事者の健康診断 労働安全衛生規則第13条第1項第3号に掲げる業務に常時従事する労働者 配置換えの際、その後は6ヶ月以内に1回 労働安全衛生規則第45条
海外派遣労働者の健康診断 海外に派遣する労働者、海外からの帰国労働者 海外に6ヶ月以上派遣する際、6ヶ月以上海外勤務した労働者を帰国させ国内業務に就かせる際 労働安全衛生規則第45条の2
給食従業員の検便 事業場に附属する食堂または炊事場における給食の業務に従事する労働者 雇入れの際、配置換えの際 労働安全衛生規則第47条

特殊健康診断とは

特殊健康診断とは、法で定められた有害業務に従事する従業員に対して実施するものです。一般健康診断の「特定業務従事者の健康診断」とは異なることに注意しましょう

特殊健康診断を実施する必要があるのは、以下の業務に常時従事する労働者です。

有害業務 規定する法律
屋内作業場等における有機溶剤の製造、取り扱い業務 有機溶剤中毒予防規則第29条
鉛業務 鉛中毒予防規則第53条
四アルキル鉛等業務 四アルキル鉛中毒予防規則第22条
第一類、第二類の特定化学物質を製造、または取り扱う業務 特定化学物質障害予防規則第39条
高圧室内業務および潜水業務 高気圧作業安全衛生規則第38条
放射線業務(管理区域に立ち入るものに限る) 電離放射線障害防止規則第56条
除染等業務 東日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等を除染するための業務等に係る電離放射線障害防止規則第20条
石綿等の取扱い等に伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務(過去に従事したことのある在籍労働者を含む) 石綿障害予防規則第40条

受診する従業員の条件

一般健康診断のうち、基本の定期健康診断や雇入れ時健康診断では、常時使用する労働者が対象となります。常時使用する労働者とは、全ての正社員のほか、以下の条件を満たすパートタイマーやアルバイトの従業員も含まれます
  • 無期契約、または1年以上の有期契約である
  • 週の労働時間が正社員の4分の3以上である

また、週の労働時間が正社員の4分の3未満なものの、2分の1以上であるパートタイマー・アルバイトの従業員に対しては健康診断の実施が義務ではないが、望ましいとされています。週の労働時間が2分の1未満である従業員に対しては、特に根拠となる規定はありません。

一方、特殊健康診断の場合、パートタイマーやアルバイトなど業務形態や労働時間に関わらず、有害業務に常時従事する場合に企業は健康診断を実施する義務があります。

健康診断後にすべきことは?

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企業は健康診断を行うだけでなく、健康診断後に実施すべき取り組みもあります。また、再検査の受診や治療については、二次健康診断等給付という制度もありますので、合わせてご紹介します。

実施後の取り組み

企業は従業員に対して健康診断を行う義務がありますが、実施すれば終わりではありません。実施後には、以下のような取り組みを行う必要があります。

健康診断の結果の記録(労働安全衛生法第66条の3)
・健康診断の結果は個人票を作成し、それぞれ定められた期間保管する
健康診断の結果について、医師等からの意見聴取(労働安全衛生法第66条の4)
・健康診断の結果に基づき、その項目に異常の所見がある労働者について、健康を維持するために必要な措置について医師または歯科医師の意見を聞く
健康診断実施後の措置(労働安全衛生法第66条の5)
・医師の意見により必要があると認められるときは、作業の転換や労働時間短縮などの適切な措置を講じる
健康診断の結果の労働者への通知(労働安全衛生法第66条の6)
・健康診断結果を労働者へ伝える
健康診断の結果に基づく保健指導(労働安全衛生法第66条の7)
・健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要がある労働者に対し、医師や保健師による保健指導を行うよう努める
健康診断の結果の所轄労働基準監督署長への報告(労働安全衛生法第100条)
・一般健康診断は常時50人以上の労働者を使用する事業者、特殊健康診断は全ての事業者で、所轄の労働基準監督署長に結果を提出する

健康診断の実施後は、記録や結果の通知、報告といった事務作業の他、措置が必要な従業員について医師と相談したり、保健指導に努めたりといったフォローも重要です。

二次健康診断等給付

2001年4月1日から従業員の過労死を防ぐことを目的として始まった「二次健康診断等給付」という制度では、一次健康診断で以下の全ての項目に異常があった場合、再検査の費用が給付されます。本人も企業も費用を負担することなく受診できます。
  • 腹囲の検査またはBMIの測定
  • 血圧検査
  • 血中脂質検査
  • 血糖検査
対象となるのは労災保険の加入者ですが、特別加入者および既に脳血管疾患または心臓疾患の症状を有している方は対象外となります。給付を受けられる再検査は以下の項目です
  • 空腹時の血中脂質検査
  • 空腹時の血中グルコース量の検査
  • HbA1c検査(一次健康診断で受けた場合は不可)
  • 負荷心電図検査または胸部超音波検査
  • 頸部超音波検査
  • 微量アルブミン尿検査(一次健康診断で尿蛋白が(±)(+)の所見者)
特定保健指導も費用給付の対象になります。企業側にとっても健康状態の悪い従業員に対し、無料で様々な検査や指導を受けさせられる有用な制度です。ぜひ、上手に活用しましょう。

健康診断費用を計上する方法

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最後に、健康診断費用を経費として計上する方法についてご紹介します。

健康診断費用の相場

健康診断費用は自由診療であり、病院によっても異なりますが、定期健康診断で5,000円〜15,000円のところが多いです。従業員規模や健康診断用の特殊車両を利用するかどうか、まとめて大人数で行えるかなどによっても料金は異なりますので、詳しくは医療機関に相談しましょう。

福利厚生費として計上する条件

健康診断費用は、福利厚生費として計上することができます。しかし、そのためには以下の3つの要件をすべて満たさなくてはなりません。

  • 対象となる従業員全員が健康診断を受診している
  • 健康診断の範囲が常識的なものであり、従業員の健康管理を目的としたものである
  • 健康診断の費用を、企業が医療機関に対して直接支払っている

「従業員全員」について、労働者性のある役員は含まれますが、事業主である代表取締役などは含まれないことに注意しましょう。また、常識的な健康診断の範囲とは法定の範囲を大きく外れていないことで、例えば人間ドックの料金などを健康診断費用として福利厚生費に入れることはできません。

システム導入で、健康診断に関する法律を遵守しよう

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健康診断は労働安全衛生法という法律で規定されています。企業には実施義務があるため、健康診断を省略することはできません。

特殊な業務に従事する従業員にはそれぞれに合った健康診断を受診させなくてはなりませんし、実施後にも労基署への報告や再検査の勧奨が必要となるケースも考えられます。

HSSのヘルスサポートシステムなら、特殊健康診断を受けるべき従業員の抽出や、労基署への報告書作成も簡単です。従業員の健康診断を含めた健康管理が大変だと思っているご担当者様は、ぜひ一度、導入の検討をしてみてはいかがでしょうか。

まとめ

健康診断の実施は、法律で企業に義務付けられています。単に実施すれば良いというものではなく、実施後のフォローや報告も細かく法律で規定されています。さらに、健康診断費用を福利厚生費として計上するには、条件をクリアしなくてはなりません。

従業員に過不足なく健康診断を受診させ、受診後のフォローも滞りなく行うには、HSSのヘルスサポートシステムなどを使って健康管理をシステム化・一元化するのが便利です。ぜひ一度ご検討ください。

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執筆者:HSS編集部

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