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安全衛生活動とは?事業場における安全活動や取り組み事例をご紹介

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職場における安全衛生とは、労働災害を防いだり、労働者の健康を守ったりするものです。このような目的で行われる様々な活動のことは、まとめて安全衛生活動と呼ばれています。では、具体的な安全衛生活動にはどのようなものがあるのでしょうか。本記事では、事業場における安全活動や具体的な取り組み事例、取り組みのポイントについてご紹介します。

安全衛生活動とは

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安全衛生活動とは、各種安全衛生関連の法令に基づく安心・安全な事業場を実現するための取り組みです。この取り組みには労使が一体となり、適切な安全衛生管理体制を敷いた上で、従業員自身が自主的な労働災害防止、健康被害防止のための活動を行っていく必要があります

例えば、事業場の整理整頓、危険や災害を未然に予知して防ぐこと、事故にはつながらなかったもののヒヤリとした、ハッと気づいたことを報告し合う、などのことが安全衛生活動として挙げられます。これらの安全衛生活動の詳細は各事業場で少しずつ異なりますが、よく行われる8つの項目について次章でご紹介します。

事業場における安全衛生活動

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事業場における安全衛生活動について、よく行われる8つの項目をそれぞれ詳しく見ていきましょう。

安全衛生実行計画の作成・実施

安全衛生実行計画を作成するのは、安全衛生活動における基盤とも言えます。まずどんなことをするか取り決めた上で、計画通りに実施していくことが重要だからです。例として、工場で年間の安全衛生実行計画を作成する際には、以下のようなポイントを盛り込みます。

  1. 基本方針…全体で目指すべき安全衛生活動の方針を記載する。
  2. 目標…基本方針を数値化した目標として表す。
  3. スローガン…基本方針と目標から作ったわかりやすい標語。5・7・5の俳句形式、5・7・5・7・7の短歌形式などが多い。
  4. 重点実施事項…基本方針や目標を達成するために、具体的にどんなことをするのかまで落とし込んだ実施すべき項目。

重点実施事項で大きな方針を提示し、その中に具体的な実施事項を提示し、実施する目標を数値で表すというのが4.の書き方です。また、年間の目安として「だれが・なにを・いつまでに・どうする」と期限と内容を細かく定める書き方もあります。これらの年間計画に基づき、基本方針に掲げた安全衛生活動を行っていきます。

職場巡視、安全衛生パトロール

職場の定期的な見回りを行い、危険要因が潜んでいないかチェックすることも大切な安全衛生活動の一つです。もし危険要因と思われる箇所があった場合は、機械設備や作業方法を改善したり、後述する5S活動を徹底したりして労働災害や健康被害の防止をはかります。事業場によって、職場巡視とも安全衛生パトロールとも呼ぶことがあります。

見回るときは、以下のポイントに注意します。

  • 規則や手順を守っているか
  • 電気設備や高所、回転体、有機溶剤など危険なものを軽視していないか
  • 事業場の床や壁、扉、階段などに危険な箇所はないか
  • 設備・装置を使う人や周囲の人に危険が及ぶ心配はないか
  • 暑すぎたり寒すぎたりしないか
  • 5Sが徹底されているか

見回りは社長や工場長、職長、安全衛生委員会などの参加者といった、知識のある管理層や責任者が行うことも重要ですが、時々は知識や経験が浅い人にも行ってもらい、新鮮な目線でチェックしてもらうことも大切です。いずれの場合でも、些細なことでも問題を見つけたらすぐに指摘し、そこで働く従業員とともに改善していきましょう。

また、指摘事項は事業場全体で共有することはもちろん、他の事業場とも共有し、同じ問題があれば速やかに改善してもらうことも重要です。

5S活動

5S活動とは、安全衛生活動の基本となる「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」のことを指します。しつけを入れず4Sとする事業場もありますが、それぞれ以下のようなことを表しています。

  • 整理…必要なものと不要なものを分け、不要なものは捨てる。
  • 整頓…必要なものがすぐに取り出せるよう、置き場所や置き方を決め、わかりやすく表示する。
  • 清掃…定期的に掃除をして、ゴミや汚れがない状態にする。
  • 清潔…上記の3Sを正しく実行し、衛生的かつ快適な状態を維持する。
  • しつけ…上記の4Sをはじめとして、決められたことを決められたとおりに実行できるようにする。

5S活動は従業員がすぐにも行える基本の安全衛生活動であり、逆にこれらが守られていないと「乱雑に置かれた工具が落ちて怪我をした」「ゴミが片付いておらず導線が確保できなかった」など、怪我や転倒など労働災害につながりやすくなってしまいます。また、ゴミが有機溶剤などの有害物質だった場合、不用意に流出させて有毒物質を吸い込んで中毒を起こすなどのリスクも考えられます。

こうした労働災害や健康被害のリスクを防ぐため、4S活動をしっかり行うための5Sめである「しつけ」が重要です。例えば、4Sを実行するためのチェックリストを作る、前述の職場巡視の際にチェックリスト通りに行われているか確認する、定期的にチェックリストの評価や改善を行うなどの取り組みを行いましょう。

安全衛生教育

安全衛生教育とは、従業員自身に安全衛生は重要である、必要であると認識するとともに、自分ごととして捉えてもらうための意識向上の取り組みです。意識向上のためには、例えば以下のような方法が考えられます。

  • 社長や経営層による講和…トップがやる気を見せること、繰り返し実施することで従業員に問題意識を浸透させていく。
  • 朝礼で災害事例を紹介する…写真を示すなどして、災害が起こったときの怖さを従業員が実感できるようにする。
  • 朝礼でヒヤリハット事例を紹介する…災害を自分ごととして捉えてもらうために、身近で実際に起こりかけた事例を紹介する。
  • 安全衛生の個人目標を設定する…事業場全体の年間計画や目標だけでなく、従業員一人ひとりが安全衛生に関する個人目標を持ってもらう。
  • 社内安全衛生標語コンクールを実施する…標語コンクールで自社の問題に目を向けてもらい、優秀作には報奨を出すなどして意識とモチベーションの双方を高める。

経営者や管理者が安全衛生意識を高く持つことは当然とも言えますが、その意識は従業員にも浸透していなくてはなりません。従業員に浸透させるためには様々な方法がありますが、特にヒヤリハット事例の報告や個人目標の設定などは「自分ごと」として捉えやすいのではないでしょうか。

実際に安全衛生教育を実施する際は、以下のポイントに注意しましょう。

  • 受講者の立場に立ち、レベルやペースに合わせて理解を確認しながら進める
  • 抽象的な言葉はできる限り避け、具体的な言葉を使って教える
  • なぜそれが安全衛生につながるのか、理由を教えて覚えてもらう
  • 簡単なことから難しいことへ、全体から細部へと、順序立てて教える

これらのポイントを十分におさえた教育を、経営層や管理者だけですべて行おうとするのは難しいでしょう。そこで、安全衛生教育を外部の機関に委託し、プロによる効果的な安全衛生教育を実施することも視野に入れておくと良いでしょう。

危険予知訓練(KYT)

危険予知訓練(KYT)とは、事業場において労働災害や事故の原因となりうる、不安全行動や不安全状態(リスクファクター)を予知したり予測したりするとともに、どうすれば安全な状態にできるか解決能力を高めるための訓練です。安全衛生活動の一環という意味を込め、危険予知活動(KYK)と呼ぶところもあります。

KYTは基本的に数名のグループに分かれ、4つのステップ(4ラウンド)で進めていきます。

  1. 現状把握…どんな危険が潜んでいるか
  2. 本質追求…危険のポイントを理解する
  3. 対策樹立…自分ならどうするか考える
  4. 目標設定…グループで対策を一つにまとめる

1.の現状把握では、まずどのような危険が潜んでいるか、問題点を指摘します。この時点では指摘を自由に行わせ、メンバー間での批判はしないようにして問題点を可能な限り洗い出してもらいます。そして、2.の本質追求で洗い出した問題点の原因や優先順位を検討、整理します。

次に、3.の対策樹立で問題点に対する改善策や解決策をメンバー間で挙げてもらいます。これも、1.のようにメンバー間での批判は避け、できるだけ多くの改善策や解決策を出してもらった方が良いでしょう。最後に4.の目標設定で改善策や解決策についてメンバー間で討議してもらい、グループメンバーの合意の上でまとめてもらいます。

行動目標を決めた後は、その目標に従って指差し確認を取り入れましょう。確認すべき要所要所において対象をしっかり見て、「右よし、左よし、前方よし」などとはっきり口に出しながら確認する方法です。口に出すことで従業員自身の集中力を高める効果が期待でき、実際に指差し確認を取り入れた結果、ミスが約1/6に減ったというデータもあります。

ヒヤリハット報告

ヒヤリハット報告とは、事故や大事には至らなかったものの、もう少しで事故になるところだった、という「ヒヤリとした」「ハッと気づいた」事態の報告のことを指します。ヒヤリハット報告を重要視する背景に、「ハインリッヒの法則」というものがあります。これは、「1件の死亡・重傷災害が発生した場合、同じ原因で29件の軽傷災害が、300件の無傷害事故がともなっている」という考え方です。

この「300件の無傷害事故」こそ、ヒヤリハットの事例のことです。多くの人は、「もう少しで怪我をするところだった」「気づかなければ事故を起こすところだった」という事態に一度は遭遇しているのではないでしょうか。ヒヤリハットを軽視せず、危険情報として報告すれば、すぐに適切な対応を講じて事故につながるのを防ぐことができます。

ヒヤリハット報告は、当事者からすると自分の責任を追及されるのではないかと躊躇してしまうものかもしれません。しかし、ヒヤリハット報告の目的は当事者のミスをあげつらうことではなく、将来的に起こりうる大事故のリスクを一つでも多く減らすことです。報告を受けた管理者は当事者のミスを責めることなく、その後の適切な対応を当事者とともに考えましょう。

ヒヤリハット報告をいつ受けるかですが、朝礼など他の職員がいる前では言い出しにくい当事者も多いでしょう。そこで、管理者などが個別に面談を行ったり、報告書として様式を設定し、記入して提出してもらったりするのがおすすめです。他の従業員がいない状況で管理者が声かけを行い、ヒヤリハットにつながりそうなことを聞き出すのも良いでしょう。

リスクアセスメント

リスクアセスメントとは、職場における労働災害、健康障害が発生する危険度合いを「リスクの大きさ」ではかり、労働災害や健康災害の防止対策の優先順位をつけるものです。設備や原材料を新規に採用・導入したり、変更したりする際に行うもので、作業方法の変更や安全装置の設置など手順や設備の対策が優先されます。

リスクアセスメントは、大まかに以下の手順で行います。

  1. 危険・有害要因を洗い出す
  2. リスクの度合いを評価する
  3. リスクが大きなものから順に低減する

まずは1.で危険・有害要因を可能な限り洗い出すことが重要です。作業の工程ごとに発生のリスクがある災害を検討しましょう。そして、すべてのリスクに対して2.の度合いを評価します。度合いの評価では危険性・有害性の大きさ(重篤度)と危険発生の可能性(可能性の度合い)の2つの観点がポイントです。

1.で危険・有害要因を洗い出すときは、以下のポイントに注意しましょう。

  • 作業や行動(ヒト)、設備や装置(モノ)、環境の各面から確認する
  • 重篤度や可能性の度合いが小さいと思われる事項も含めてすべてを洗い出す
  • 定常作業だけでなく、非定常作業も洗い出す

最後に3.で2.の評価結果をもとに、リスクの大きい順にリスク低減策を検討・実施していきます。対策を行った後には1.に戻って再び危険性の洗い出しとリスクの度合い評価、対策の必要性を検討する、という繰り返しを行います。基本的には、「今すぐリスクに対して対策を行う必要はない」というレベルになるまでこれを繰り返します。

メンタルヘルスケア

近年、職場におけるメンタルヘルスケアは重要な取り組みの一つとされています。2015年には、従業員を常に50人以上雇っている事業場でストレスチェック制度が義務化されたことに加え、2019年には大企業で、2020年には中小企業で長時間労働を是正するよう時間外労働の上限規制が設けられました。

このようにメンタルヘルスケアが重要視されている理由として、2017年の厚生労働省の調査で約60%の労働者が仕事で何らかのストレスを感じていること、精神障害による長期休業者が増加していることなどが挙げられます。実際に、うつ病をはじめとする精神障害に係る労働災害の認定は年々増えています。

そこで、職場におけるストレス要因の軽減に向けて、職場環境改善の取り組みを行うことが重要です。例えば、過度な仕事量や時間的な拘束をしていないか、役割や裁量権が曖昧だったり不十分だったりしていないかなどをチェックしましょう。こうした問題点を従業員が上司に相談しやすい環境を作り、相談を受けたら適切な対応をとることも重要です。

また、パワーハラスメントの防止対策も義務化されました。大企業は2020年6月から既に行っていますが、中小企業でも2022年4月から義務化が始まっています。例えば、以下のようなことが典型的なパワーハラスメントとして厚生労働省で定められています。

  • 身体的な攻撃(暴行、傷害)
  • 精神的な攻撃(脅迫や名誉毀損、侮辱、暴言)
  • 人間関係からの切り離し(隔離、仲間外し、無視)
  • 過大な要求(業務上明らかに不要なこと、遂行不可能なことの強制など)
  • 過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い業務を命じること、あるいは仕事を与えないこと)
  • 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

このようなことが起こらないよう、管理職に就く人間はきちんとパワーハラスメントになりうる言動を理解しておく必要があります。

安全衛生活動のポイント

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安全衛生活動を実施する上で意識すべきポイントについて、3つ解説します。

労働災害の原因を取り除く

安全衛生活動の目的の一つが、労働災害の原因を取り除くことです。そのためには、労働者の不安全行動や、機械などモノの不安全状態を取り除くような活動を行う必要があります。労働者の不安全行動やモノの不安全状態とは、以下のようなことを指します。
<労働者の不安全行動>
・防護や安全装置を無効にする
・安全措置をとらない
・不安全な状態を放置する
・危険な状態を作ってしまう
・機械や装置などを指定外の方法、用途で使う
・運転中の機械や装置を掃除したり、注油したり、修理・点検したりする
・保護具や服装に欠陥がある
・乗り物を運転していて失敗する
・誤った動作を行う
・その他、危険な場所に近づく
・その他、不安全な行動をとる
<モノの不安全状態>
・モノ自体に欠陥がある
・防護措置や安全装置の欠陥
・モノの置き方や作業場所の欠陥
・保護具や服装などの欠陥
・作業環境の欠陥
・部外的、自然的に不安全な状態にある
・作業方法の欠陥
・その他、不安全な状態

例えば、いくら安全装置や保護具を用意していても、従業員自身が使わなかったり、欠陥があることに気づかず使い続けてしまっていたりすると労働災害が起こるリスクが高くなります。機械や装置を指定外の用途に使ったり、運転中の機械に触れるようなことを行うのもリスクの高い行為です。

また、点検を怠ってモノ自体の欠陥を見過ごしてしまったり、機械類などに安全装置をつけなかったり、保護具などをつけていても欠陥があったりすれば、やはり労働災害が起こりやすくなります。作業方法に危険が伴う場合もリスクが高いと言えるでしょう。このようなリスクを下げるために安全衛生活動を行うのだということを理解しなくてはなりません。

すべての従業員に対して教育を実施

安全衛生活動は、すべての従業員が行う必要があります。ここで言う従業員とは正社員だけに限らず、派遣社員やパートタイマー、アルバイトを含めた、事業場で働くすべての従業員のことを指します。なぜなら、一人でも不安全な行動を取る従業員がいれば、労働災害や健康被害が他の従業員にも及ぶ可能性があるためです。

安全衛生活動をすべての従業員が行うためには、安全衛生教育もやはりすべての従業員に行う必要があります。また、安全衛生教育は一回で十分な理解が得られないことも多いため、繰り返し行い、従業員に定着させていくことが重要です。年間計画に組み込むなどして、従業員すべての安全衛生意識を育みましょう。

「自分ごと」として捉えてもらう

経営層や管理層だけが安全衛生活動に積極的でも、従業員自身は「やらされている」「指示されたから」と他人事のように思っている状態では、安全衛生活動の効果が十分に発揮されません。労働災害や健康被害が起こるのは現場であり、安全衛生を守るためには現場で実際に働く従業員一人ひとりが自分ごととして取り組まなければならないのです。

安全衛生活動の取り組み事例

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最後に、安全衛生活動の取り組み事例について、厚生労働省「安全衛生活動の実施」から5つの事例をご紹介します。

事例1:安全衛生教育

食料品製造業 G 社では、約60名の従業員のうち約10名がパートタイマーです。しかし、「雇用形態が違うだけで、同じ職場の仲間である」という意識に基づき、パートタイマーや派遣社員など非正規雇用の従業員に対しても、怪我などの労働災害や健康被害を起こさないよう、同じように安全衛生教育を行っています。

G社での安全衛生教育は、「誰が誰に教える」という責任の所在を明確にしたマンツーマンの体制をとり、親身に教えることで早く作業をマスターしてもらうようにしています。教える内容に安全衛生に関わる事項もしっかり含まれているほか、作業書にチェックリストもついています。

作業の習熟度を可視化し、一人で作業できるためには何ができるようにならなければならないのか、教わる側も意識できるのがチェックリストのメリットです。また、すべての項目を満たさなければ一人での作業が許されないことから、安全衛生にもしっかり配慮した人材が育つようになっています。

事例2:5S活動

プラスチック製品製造業 O 社では、「安全衛生の基本は5Sの徹底」との考えから、社長と工場長のトップ2人が一緒に各事業場を巡回して、5Sを含めた安全衛生のチェックを行っています。最初は指摘事項も多く、チェックシートにおさまりきらないこともありましたが、徐々に改善され、リストに基づいて改善状況をチェックできるまでになりました。

また、不良品や梱包材などはまとめて捨てると産業廃棄物ということで処理費用がかかりますが、素材ごとに分別すればリサイクル資源となり、有償で買い取ってもらえます。これは5Sを徹底することでマイナスがプラスになった良い例で、成果を具体的に可視化することで従業員もモチベーションが保てています。

さらに、同社ではISO9001やISO14001など安全衛生に関する認証を取得していますが、パートタイマーを含む従業員自身が一から規程を作っています。上から押しつけられるのではなく、自分たちで決めたルールなら守りやすいだろうという考えのもと、役員は最後に助言をするという形を取っています。

事例3:ヒヤリ・ハット報告

輸送用機械器具製造業 C 社では、もともと、「ヒヤリハット報告・改善提案」という、自ら体験したヒヤリハットを報告し、改善提案を行う制度がありました。しかし、そこから一歩踏み込み、「思いやり・ヒヤリハット」という制度に発展させたのです。これは、自分の行動に自分自身で気づけない可能性を鑑みて、周囲の人から見て危ないと思った行動があれば、それもヒヤリハット事例として報告し、改善提案を行うものです。

改善提案者には、工場内の売店や食堂で使える喫茶券を配布するなど、ちょっとした報奨も用意されています。このような取り組みにより、C社では年間で3,500件程度の改善提案がありますが、提案者が一部の従業員だけに偏ることもなく、ほとんどの従業員が改善提案に参加できています

もちろん、改善提案はリーダーが評価し、提案者にフィードバックを行っています。さらに、提出された改善案のうちリスクが大きいもの、改善効果が高いと考えられるものに対しては、実際に対策を行うこともあります。従業員とリーダーが力を合わせることで、制度が浸透し定着していると言えるでしょう。

事例4:危険予知訓練(KYT)

食料品製造業 K 社では、工場内のパトロールや業務の見える化などでリスクの存在を把握・改善するよう以前から努めていました。しかし、把握できていないリスクの可能性を鑑み、すべての従業員を対象としてリスク把握のためのアンケートを行っています。基礎的なリスクアセスメント(RAB=Risk Assessment Basic)という名称で、全35問の質問に対し、それぞれ従業員が危ないと感じた内容を記入するものです。

質問は抽象的な言葉や専門用語をできる限り避け、誰にでもわかりやすいよう身近な言葉で書かれています。「機械のカバーや安全装置を外して運転していませんか」というように、具体的な内容になっていることもポイントです。記入されたアンケート用紙は安全衛生委員会で評価し、レベル分け後、具体的な改善対策を検討します。

事例5:職場巡視・安全衛生パトロール

紙・パルプ・紙加工製品製造業 F 社では、毎日朝の10時とお昼の休憩時間前の14時に、各事業場ごとに持ち回りで安全当番の従業員が安全パトロールをしています。「ご安全に」と挨拶しながらパトロールを行い、気づいた点はその場で指摘し、改善を求めるとともに、チェック表に記録して保存もしています。

各事業場は8名程度で、うち半数がパートタイマーの従業員であり、パートタイマーの従業員も持ち回りの安全当番を行う機会があります。正社員と同じように安全パトロールを行うことで、安全衛生に対する当事者意識を高めてもらうと同時に、どんなところにリスクが潜んでいるかも考えられるようになりました。

安全衛生活動は労使一体の努力が必要。ポイントをおさえて行おう

安全衛生活動は、経営層や管理層だけでなくすべての従業員が関与する、労使一体の努力が必要な活動です。実際に現場で働く従業員が安全衛生を自分ごととして捉えていなければ、不安全行動につながりやすいからです。非正規雇用の従業員も含めたすべての従業員に安全衛生教育を行うとともに、繰り返し行うことで定着させる工夫も必要です。

安全衛生活動の一環として、ヒヤリハット報告やメンタルヘルスケア、危険予知訓練などがあります。Growbase(旧:ヘルスサポートシステム)なら、各従業員に対してストレスチェックやアンケートなども行える機能があり、安全衛生活動に活かすことができます。また、行ったストレスチェックの結果やアンケートの結果の集計も簡単です。ぜひ一度、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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