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人的資本経営とは?メリットや開示ルール、項目などを解説

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近年、少子高齢化の影響により、すべての企業において優秀な従業員の雇用、育成がより重視されるようになりました。また、それにともない人的資本経営に注力する企業も増えている状況です。

人的資本経営という言葉は、あまり馴染みのある言葉ではありません。そのため、どのようなものなのかを知らない方も多いでしょう。そこで今回は、人的資本経営がどのようなものなのか、メリットや開示ルール、項目なども踏まえて解説します。

人的資本経営とは

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ここでは、人的資本経営の定義や通常の経営との違いも含めて解説します。

人的資本経営の定義

人的資本経営は、企業や組織で働く人材を資本の一部として捉え、人材価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値を高めていく経営手法を指します。人的資本経営は、企業の持続的な成長と社員のスキル向上を両立させる重要なアプローチです。

人的資本経営に関連する重要なポイントは、以下のようなものが挙げられます。

人材価値最大化

人的資本経営では、優秀な人材の育成や活用を通じて企業の成長を促進します。そのため人材を単なるコストではなく、投資として捉え、人材育成にかかる費用を企業価値向上の一環と考える点が特徴です。

ISO30414ガイドライン

ISO(国際標準化機構)が発表した「人的資本に関する情報開示のガイドライン」(ISO30414)は、人的資本に関する報告の指針を提供しています。そのため、ISO30414のガイドラインに準拠する企業は、人的資本経営に取り組みはじめているところが増えています。

ESG投資との関連

ESG(環境、社会、ガバナンス)投資の一環として、人的資本経営が欧米を中心に行われている点も注意すべきポイントです。ステークホルダーに好印象を与えるためにも、欠かせないものだといえるでしょう。

従来の経営との違い

従来の経営では人材を「コスト」とみなすのに対し、人的資本経営は、人材の経験やスキル、ノウハウなどを「資本」と捉える点が違いです。

従来の経営において、人材は企業における「資源」と考えられ、育成にかかる時間や費用は「コスト」だとみなされていました。一方、人的資本経営では人材を「資本」として捉え、投資対象とみなす点が特徴です。人材の成長にかかる時間や費用は、戦略的な投資として位置づけられています。

また従来の経営では、終身雇用や年功序列などの制度により、人材の囲い込みが一般的です。しかし人的資本経営においては、双方が対等な関係となり、選び選ばれる関係へと変化しました。

人的資本経営が注目される背景

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人的資本経営が注目される背景には、以下のような理由があります。

・人材の価値認識の変化
・ESG投資の影響
・情報開示の義務化

ここでは、それぞれの内容をご紹介します。

人材の価値認識の変化

近年、人材不足やグローバル化、AIなど、IT技術の発展による無形資産の重要性が向上しています。従来、人材は単なる労働力として捉えられていましたが、現代では人材の価値が多面的であることが認識されはじめています。

したがって人材は知識、スキル、経験、創造性、リーダーシップ能力など、企業にとって重要な資産となりえるため、人的資本経営に注力する企業が増加傾向です。

ESG投資の影響

ESG投資は環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の要素を重視するアプローチの1つです。人的資本は、ESG評価において重要な要素だといえます。

従業員のスキルアップや健康、満足度向上は社会的な影響を持ち、適切な管理体制も重要です。その結果、経営にも持続可能性が重視されるようになりました。

情報開示の義務化

2020年に、上場企業に対して米国証券取引委員会(SEC)が人的資本の情報開示を義務付けたことにより、日本企業に対する人的資本の情報開示への要請が加速しています。情報開示の義務化とは、企業が内外のステークホルダーに対して、人材戦略や組織の業績に関する情報を提供することです。

人的資本への投資は、企業価値の持続的な向上や投資家への魅力を高める一環とされ、そのために企業が積極的に投資を行う傾向が増加しています。日本も2023年3月期決算から、人的資本開示が法的に義務付けられました。

国内外における人的資本経営の状況

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人的資本経営は、海外において先行して進められている取り組みのため、日本とは少し状況が異なります。ここでは、国内外における人的資本経営の状況を確認しておきましょう。

日本の状況

経済産業省が2020年に公表した「人材版伊藤レポート」では、企業価値の向上や収益性の改善を実現する人材戦略がまとめられています。この報告書は、経営戦略と連動した人材戦略をどう実践するかという点について深掘りした内容です。

さらに、2022年には「人材版伊藤レポート2.0」が公表され、人的資本経営の先進的な事例をまとめた「実践事例集」および「人的資本経営に関する調査 集計結果」も公表されました。その結果、前述のとおり日本では、2023年度から上場企業を中心に人的資本開示の義務化が始まっています。ただし中小企業をはじめ、多くの企業ではまだ浸透していないのが現状です。

参考:経済産業省/「人材版伊藤レポート2.0」を取りまとめました

海外の状況

海外では以前より、人的資本情報の開示に向けた機運が高まっています。特にアメリカやヨーロッパにおいて、人的資本経営を重視する企業が増えている状況です。

アメリカにおいては人的資本情報開示が義務化されており、ISO30414ガイドラインやSEC(米国証券取引委員会)の承認により、上場企業を対象に情報の開示が行われています。その他にも、人的資本経営を成功させた海外企業の事例もあるようです。

例えば、PayPalは少数派の中でアジアンを含む比率や、他少数派の占める割合を経年で開示しています。また、中華電信はエイジダイバーシティや男女別の数と給与格差を開示しています。

人的資本経営を実践することで得られる5つのメリット

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人的資本経営を実施することによって、企業は具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、人的資本経営を実践することによって、企業が得られるメリットを5つご紹介します。

メリット1.従業員の能力を可視化できる

人的資本経営を実践する企業は、従業員の能力を可視化できるようになります。

人的資本経営においては、従業員の能力やスキルに焦点をあてる点が特徴です。新しい経験やトレーニングを通じて、人材の成長を促進することを目指します。明示された能力やスキルは、部署の配置や異動を考慮する際や、個々のキャリアを構築するうえで重要な要素となりえるでしょう。

メリット2.生産性が向上する

人的資本経営において、従業員への適切な投資は、個々の能力向上につながるでしょう。個々の能力の向上が、チーム全体のパフォーマンス向上に寄与し、それが企業の生産性向上へと繋がってゆきます。

メリット3.従業員のモチベーションが上がる

人的資本経営において従業員は重要な資産であり、投資を通じて成長し価値を向上させるべき存在と位置づけています。そのため、従業員は過度な負担を強いられず、自身のキャリア目標を追求できる環境が整えられ、それが従業員のエンゲージメント向上に寄与し、仕事へのモチベーション向上にもつなげることが期待できます。

また、従業員のモチベーションが向上することによって、離職率の低減にもつながるため、少子高齢化による労働力不足の解消にも貢献します。

メリット4.ブランディング強化につながる

企業のブランド力は、企業が提供する製品やサービスだけでなく、その企業がどのように社員を扱うかにも大きく影響されます。したがって、人的資本経営を実践することは、企業のブランド力を強化するうえで非常に重要な要素となりえるでしょう。

また、優秀な人材を惹きつける力がある点もメリットです。人的資本経営を実践する企業は、従業員が働きやすい環境を提供することに重点を置きます。公平な報酬や良好な労働条件、健康と安全に対する配慮、そして良好な職場の文化が含まれるため、優秀な人材にとって魅力的であるだけでなく、継続して働いてもらいやすい点が特徴です。その結果、企業のブランド力を高め、競争優位性を確保するのに役立つでしょう。

メリット5.投資家からの注目度が高まる

人的資本経営は、社員の能力や才能を最大限に活用し、企業の競争力を高めることを目指す取り組みです。これにより、企業の価値が向上し、投資家からの注目度が高まる効果も期待できます。

また、人的資本経営を実践する企業は、社員の成長やキャリア開発に注力するため、企業の持続可能な成長が期待でき、長期的な投資家からの注目度が高まるでしょう。さらに、社員の創造性やイノベーションを促進するため、新しいビジネスチャンスや市場の機会を捉える能力が向上し、成長を求める投資家からの注目度が高まる点もメリットです。

人的資本経営の開示ルール

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人的資本経営を行う日本企業には、その内容を開示することが義務付けられています。ここでは、人的資本経営の開示ルールの概要と開示項目を確認しておきましょう。

人的資本経営に関する情報開示の義務化

人的資本経営に関する情報開示の義務化とは、企業が「従業員の成長のために、どのような取り組みを行っているか」を、財務情報と同じように社内外に向けて公表することを義務付けたルールです。この情報開示は、2023年3月31日以降に終了する事業年度に係る有価証券報告書等から適用されています。

人的資本情報開示には、次章で紹介する19項目が求められます。

人的資本情報開示における7分野19項目

人的資本情報開示の19の項目は以下のとおりです。これらの情報開示は、企業の持続的な成長と競争力強化に向けて重要なステップといえます。

1.人材育成

・リーダーシップ
・育成
・スキル/経験

2.エンゲージメント

・エンゲージメント

3.流動性

・採用
・維持
・サクセッション

4.ダイバーシティ

・ダイバーシティ
・非差別
・育児休業

5.健康・安全

・精神的健康
・身体的健康
・安全

6.労働慣行

・労働慣行
・児童労働/強制労働
・賃金の公平性
・福利厚生
・組合との関係

7.コンプライアンス

・コンプライアンス/倫理

参考:人的資本可視化指針/内閣官房 非財務情報可視化研究会

人的資本経営を実現するステップ

人的資本経営をこれから実践しようとする場合には、いくつかの準備が必要です。ここでは、人的資本経営を実現するためのステップをご紹介します。

目標の明確化

人的資本経営を実践する最初のステップは、目標の明確化です。人材戦略は経営戦略と一体化させることが不可欠だといえます。そのため、経営計画に人材戦略を明確に組み込み、KPI(重要業績評価指標)を設定することが必要です。

具体的な施策とKPIの検討

次に、人的資本経営を実現するため、具体的な施策とKPIを検討しなくてはいけません。経営の現状を把握したうえで、人材戦略を策定しましょう。その際には、必要な人材の要件(スキル、能力、経験など)を明確化することが必要です。

また、人材戦略から導かれた具体的な施策の実行も欠かせません。デジタル人材の育成やエンゲージメント向上施策などを検討し、KPIを設定します。

PDCAの実施

人的資本経営は、PDCAサイクルで持続的に改善していくことが大切です。統合報告書やサステナビリティレポートなどを活用し、人的資本の情報を開示します。そのうえで、定期的に人事施策の進捗やKPIの状況をモニタリングし、改善に活かしましょう。

人的資本経営を実践するときに押さえるべきポイント

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人的資本経営を実践する際には、いくつか注意すべきポイントがあります。ここでは、人的資本経営を実践するときに押さえるべき5つのポイントをご紹介します。

人材の採用・育成・定着に注力する

人的資本経営を実践するためには、優れた人材を採用し、適切な育成プログラムを提供してスキルを向上させることが大切です。従業員の定着を促進するために、働きやすい環境を整備し、キャリアパスを明確に示す必要があります。

ダイバーシティの推進

多様性を尊重し、異なるバックグラウンドや視点を活かすことで、創造性とイノベーションを促進することも、人的資本経営には必要です。具体的にはジェンダーや文化、能力の違いを認識し、公平なチャンスを提供しなくてはいけません。

ワークライフバランスの実現

従業員の健康と幸福を重視し、適切なワークライフバランスを実現することが、人的資本経営では重要なポイントです。例えば、フレキシブルな労働時間やリモートワークの選択肢を提供する必要があります。

組織風土の改善

オープンなコミュニケーションと協力を奨励し、信頼と協力を励行することも重要です。フラットな組織構造を構築し、意見を尊重する文化を醸成することは、人的資本経営を実現するためには欠かせません。

リーダーシップの強化

リーダーは従業員のモチベーションを高め、ビジョンを共有する役割を果たします。リーダーのスキル向上とリーダーシップ開発プログラムを実施することは、人的資本経営を実践するうえで重要なポイントです。

まとめ

近年、人材の価値認識の変化やESG投資の影響、また情報開示の義務化により、人的資本経営に取り組む企業が増えています。人的資本経営を実現する企業が得られるメリットは、以下のとおりです。

・従業員の能力を可視化できる
・生産性が向上する
・従業員のモチベーションが上がる
・ブランディング強化につながる
・投資家からの注目度が高まる

人的資本経営を行う企業は、開示ルールに則って取り組み状況を報告する義務もあります。実施するためにはいくつかのステップを踏むことや、押さえるべきポイントもあるため、十分に準備・検討して取り組みましょう。

また、人的資本経営を実現する企業は、従業員の健康にも留意しなくてはいけません。従業員の健康管理を適切に行う場合には、クラウド型健康管理システム「Growbase(旧:ヘルスサポートシステム)」の活用がおすすめです。

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<監修者プロフィール>
医師、公認心理師、産業医:大西良佳
prof_ohnishi 

医学博士、麻酔科医、上級睡眠健康指導士、セルフケアアドバイザー
北海道大学卒業後、救急・在宅医療・麻酔・緩和ケア・米国留学・公衆衛生大学院など幅広い経験からメディア監修、執筆、講演などの情報発信を行う。
現在はウェルビーイングな社会の実現に向けて合同会社ウェルビーイング経営を起業し、睡眠・運動・心理・食に関するセルフケアや女性のキャリアに関する講演や医療監修も行っている。

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