従業員や内定者に提出してもらう健康診断書には、様々な提出様式があります。しかし、何のために提出を求めるかによって必要となる項目は変わってきます。健康診断書の提出を受ける担当者の方は、記載すべき項目が不足なく書かれているか確認しなくてはなりません。
そこで、本記事では健康診断書に記載すべき項目と、健康診断報告書や健康診断証明書との違いについて解説します。
健康診断書に必要な項目
そもそも、なぜ健康診断書が必要なのでしょうか。健康診断書の提出を求める場合、その目的の多くは、会社で実施する健康診断に替えるためです。つまり、替えるべき健康診断に記載すべき内容がなくてはなりません。
定期健康診断、雇入れ時健康診断の場合は、以下の11項目が必要です。
- 既往歴および業務歴の調査 自覚症状および他覚症状の有無の検査
- 身長、体重、腹囲、視力および聴力の検査
- 胸部エックス線検査、および喀痰検査
- 血圧の測定 貧血検査(血色素量および赤血球数
- 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GT(γ-GTP))
- 血中脂質検査(LDLコレステロ-ル、HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
- 血糖検査(空腹時血糖またはHbA1c、やむを得ない場合は随時血糖(食後3.5時間以上経過))
- 尿検査(尿中の糖および蛋白の有無の検査)
- 心電図検査
※喀痰検査は定期健康診断のみ
特殊健康診断の場合は、各健康診断で必要とされる項目が異なりますので、それぞれ確認しましょう。
その他、項目を追加して従業員に受診させることも可能です。例えば採用選考時や雇い入れ健診時に、採否や配置の参考にするために項目を指定して健康診断を受けさせる場合があります。ただし、法定項目以外の検査については会社が結果を入手し管理するには受診者本人の同意が必要です。
この項目は担当者の判断で勝手に増やせるというわけではなく、あくまでも業務上必要と認められる正当な範囲内です。例えば、雇入れ時健康診断において以下のような項目を増やす、というようなケースが当てはまります。
- 運転を伴う業務で、失神や意識障害につながる疾患がないかどうか
- 食品会社の製造工程で、取り扱う食品に対してアレルギーがないかどうか
逆に、替えるべき健康診断で必須とされる項目を勝手に省略することもできません。ただし、定期健康診断の場合は担当医師の判断のもと、以下の検査項目を省略できる場合もあります。
- 身長、体重、腹囲、視力および聴力の検査
- 胸部エックス線検査、および喀痰検査
- 貧血検査(血色素量および赤血球数)
- 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GT(γ-GTP))
- 血中脂質検査(LDLコレステロ-ル、HDLコレステロ-ル、血清トリグリセライド)
- 血糖検査(空腹時血糖またはHbA1c、やむを得ない場合は随時血糖(食後3.5時間以上経過))
- 心電図検査
検査項目を省略する場合、定期健康診断に替える健康診断書において、医師の判断で省略した旨も書いてもらうと良いでしょう。
健康診断報告書・健康診断証明書との違い
健康診断書とよく似た名前を持つ「健康診断報告書」「健康診断証明書」という2つの書類がありますが、いずれも健康診断書とは異なるものです。それぞれ、健康診断書とどう違うのか確認しておきましょう。
健康診断報告書とは
健康診断報告書とは、健康診断の結果をまとめ、労働基準監督署に提出するための書類です。健康診断報告書を提出する義務があるのは、以下の場合です。
- 常時使用する従業員が50人以上の事業所における、定期健康診断
- 事業所の規模に関わらず、特殊健康診断を行った場合
「常時使用する従業員」とは正社員、または労働時間が正社員の4分の3以上であるパートタイマーやアルバイトも含みます。パート・アルバイトの場合、無期雇用か1年以上の有期雇用であることも条件に含まれますので、短期契約の雇用では週の労働時間が長くても健康診断の対象にならないことに注意しましょう。
また、人数の数え方は事業所ごとを1単位とします。例えば、15人の営業所×4+20人の本社1つ、など、全体として「常時使用する従業員」の数が50人以上でも、別々の場所にある事業所で雇用されている人数がそれぞれ50人に満たない場合は、労働基準監督署への報告義務はありません。
もちろん、「常時使用する従業員」が1人でもいれば、該当の従業員に健康診断を受けさせる義務はありますので、この点には注意しましょう。
健康診断証明書とは
健康診断証明書とは、受診した健康診断の結果をもとに、大学などの保健管理センターが発行する証明書のことを指します。
つまり、健康診断書は結果そのもの、健康診断証明書は結果を保健管理センターが証明します、という書類のことであり、書かれている項目は同じでもその意味が微妙に異なります。また、健康診断証明書は定期健康診断の結果を証明することしかできません。
すなわち、業務上必須などの正当な理由で、定期健康診断に含まれない項目を提出してほしい場合は、該当の項目で医療機関を受診してもらい、健康診断書を取得してもらう必要があります。
健康診断書の提出を求めるのはどんなとき?
健康診断書の提出を求めるのは、以下のような場合です。
- 採用選考中、業務上の理由で健康状態について知る必要があるとき
- 内定者に対し、雇入れ時健康診断の代替として
- 定期健康診断の代替として
- 特殊健康診断の代替として
健康診断書そのものの有効期限は、発行した医療機関によって異なります。ただし、雇入れ時健康診断の代替として健康診断書の提出を求める場合、有効期限は3ヶ月(入社前の3ヶ月以内に受診している)と法律で決められています。もし、期限が過ぎている場合は再度健康診断を受診してもらい、再提出を求めるか、会社で雇入れ時健診を実施しましょう。
3ヶ月以内の受診にも関わらず健康診断書を紛失したという場合は、医療機関によっては再発行もできます。ただし、発行には数日〜数週間程度の時間がかかるので、早めに行動するようアナウンスしましょう。
診断結果が早く入手できるおすすめ医療機関として、ぜひこちらの記事もご参照ください。
[健康診断を安く実施するには?料金相場とおすすめ検診施設も解説]
健康診断書の様式に決まりはある?
健康診断書は各医療機関や企業、大学などが様々な様式を作っています。細かい部分が違っても、必要項目に抜け漏れがなければ健康診断書として受け取ることが可能です。受け取ったら必ず項目に抜け漏れがないか、医師の押印や署名があるかどうかチェックしましょう。
健康診断書の様式は様々。必要項目を漏れなくチェックしよう
健康診断書の様式は様々ですが、受け取る目的が健康診断に替えるためであれば、替える目的の健康診断に必要な項目がしっかり記載されているか、しっかり確認しましょう。
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