メンタルヘルス対策ではセルフケアが重要!今日からできる取り組みとは
メンタルヘルスケアにおいて、セルフケアは重要な役割を果たします。セルフケアは、自らが自身の異常に気づき、自分で適切に対処することです。では、セルフケアを実践するためには、具体的にどのような取り組みを行えばよいのでしょうか。また、セルフケアを従業員に意識づけるために、企業は何をすべきなのでしょうか。
今回は、セルフケアとは何か、メンタルヘルスケアにおける重要性や、効果的な方法、セルフケアを浸透させるために企業が意識するポイントなどを解説します。紹介している取り組みは、すべて今日から始められる手軽なものです。メンタルヘルス対策を進めるうえで、ぜひ参考にしてください。
メンタルヘルスケアで重要なセルフケアとは
セルフケアとは、従業員が自らのメンタルヘルス不調に自身で気づき、ストレスに対処することです。
ストレスを抱えてメンタルヘルスに不調が出る場合、いきなりうつや適応障害といった深刻な状態に陥るケースは稀です。ほとんどの場合、軽い兆候が現れます。不調の兆しに従業員自らが気づき、ストレスを解消することで、状況が悪化するのを食い止められるのです。
セルフケアを実践するためには、メンタルヘルスやストレスに関する基礎知識を身につけ、ストレスの対処法を知る必要があります。
なお、メンタルヘルスケアには、セルフケアのほかに以下の3つのケアがあります。
- ラインケア:上司や部長などの管理監督者が、部下のメンタルヘルス不調を早期に察知し、適切な対応をとること
- 事業内産業保健スタッフによるケア:事業場内における産業保健の担当者が行うメンタルヘルスケアのこと
- 事業場外資源によるケア:事業場外の機関や専門家を活用したメンタルヘルスケアのこと
メンタルヘルスにおけるセルフケアの重要性
セルフケアは、メンタルヘルスケアの中でも目立たず軽視されがちです。しかし、初期に現れる不調の兆候は、本人しか気づかないケースが多く、セルフケアが効果を発揮します。
従業員が初期段階で不調に気づければ、心身の健康を自分で保つことができるでしょう。そして、うつ病や適応障害などを発症するリスクや、メンタルヘルス不調による休職を予防することにつながるのです。
従業員が良好なメンタルヘルスを保って働くことで、生産性が向上し、企業の発展も期待できます。
セルフケアはメンタルヘルス対策において非常に重要であるため、従業員にセルフケアの重要性を理解してもらえるよう、企業にはセルフケアに関する積極的な情報発信や教育が求められます。
メンタルヘルスのセルフケアはいつ始めるべき?初期に現れる不調のサイン
メンタルヘルスのセルフケアは、不調の初期段階から始めましょう。状態が悪化してからでは、セルフケアだけで回復させることが難しくなります。メンタルヘルスに不調をきたすと、初期は以下のようなサインが現れます。
<行動面>ストレスから精神に余裕がなくなり、仕事や人間関係にも支障をきたします。
- 遅刻・欠勤が増える
- ミスが増える
- 人付き合いが悪くなる
- 攻撃的な言動や不満が増える
<精神面>仕事へのモチベーションが下がったり、情緒が不安定になったりします。
- 集中力が欠如する
- モチベーションが低下する
- 不安や怒り、イライラなどのマイナスな感情が増える
- 自信がなくなる
<身体面>ストレスから十分に休息がとれず、さまざまな不調が現れます。
- だるさ、微熱、発汗、肩こり、頭痛といった症状が現れる
- 眠れなくなる
- 食欲がなくなる
- 暴飲暴食するようになる
- アルコールやカフェインなどに依存する
このようなサインが現れたらメンタルヘルスの不調を疑い、セルフケアに取り組むことが必要です。
メンタルヘルスの効果的なセルフケアの方法
セルフケアの取り組みにはさまざまな種類があります。ここでは、今日から実践できる、効果的なセルフケアの方法を紹介します。
厚生労働省が提案するセルフケアの方法
厚生労働省は、以下のセルフケアを提案しています。
- 体を動かす
- 今の気持ちを書いてみる
- 腹式呼吸をくりかえす
- 「なりたい自分」に目を向ける
- 音楽を聞いたり、歌を歌う
- 失敗したら笑ってみる
いずれも、特別な準備や費用がかからず、日常ですぐに実践できるものばかりです。
これらに共通している要素として、気分転換を図り、ストレス解消を促すことが挙げられます。企業はこのような情報を参考にして、仕事の合間にできる気分転換の方法を従業員に教えたり、従業員が自身のストレスを解消できる方法を見つけられるようアドバイスしたりすることが求められます。
職場でできるセルフケア
職場でできるセルフケアの具体例は、以下のとおりです。
- 深呼吸をする
- ストレッチや軽い運動をする
- 笑う
ここでは、それぞれのセルフケアについて解説します。
深呼吸をする
深呼吸には、緊張やストレスで凝り固まった筋肉を緩め、体をリラックスさせる効果が期待できます。また、呼吸に集中することで、ネガティブな気持ちを落ち着かせることもできるのです。
おすすめの呼吸法は、以下のとおりです。2〜4を複数回繰り返すとよいでしょう。
- 椅子に深く腰をかけて、軽く背筋を伸ばす
- 呼吸を意識できるよう、お腹に手を置く
- 鼻から息を深くゆっくり吸い、口からゆっくり吐く
- 呼吸とともにお腹が動くことを確認する
ストレッチや軽い運動をする
長時間同じ姿勢でいると、血流が悪くなり、体が凝り固まってしまいます。特に、長い間座りっぱなしの方は、適度に手足を伸ばしたり身体をひねったりして軽いストレッチをすると、心身がリフレッシュします。
軽い運動も効果的です。たまに立ち上がることを意識するだけでも、身体への負担がやわらぎ、気持ちがすっきりするでしょう。
特におすすめなのが、ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動です。有酸素運動には、副交感神経が活発に働き、精神を安定させるセロトニン分泌が増える効果があり、ストレス緩和につながります。休憩時間にオフィスを出て軽く歩くことを意識することがおすすめです。
笑う
笑いには、ストレスを軽減したり、血糖値の上昇を抑えたりする効果があるとされています。職場でよく笑うことを心がけると、ストレスの軽減につながるとともに、職場でのコミュニケーションにもプラスの影響をおよぼします。
とはいえ、マイナスな気持ちのときに笑うのは難しいでしょう。その場合は、口角をあげて表情を作るだけでも効果があると言われています。
日常生活でできるセルフケア
日常生活でできるセルフケアは、以下のとおりです。
- 十分な睡眠をとる
- リフレッシュできる趣味を見つける
- 周りに相談する
- マインドフルネスを意識する
ここでは、それぞれのセルフケアについて解説します。
十分な睡眠をとる
睡眠不足は、ストレスを増加させ、メンタルヘルスに支障をきたす原因となります。日頃から、十分な睡眠や休息を意識することが大切です。
眠れないときは、布団の中で深呼吸をすると、副交感神経が優位に働いて眠りやすくなります。寝る前に、パソコンやスマートフォンからブルーライトを浴びたり、カフェインをとったりするのは控えるべきです。
睡眠導入のためにアルコールを使うのはおすすめできません。アルコールを摂取すると眠くなりますが、眠りが浅くなり、質の悪い睡眠になってしまいます。
リフレッシュできる趣味を見つける
リフレッシュできる趣味を見つけると、よい気分転換になります。ランニング、ジムでの運動やヨガ、映画鑑賞、ショッピング、カラオケなど、気軽にできる活動の中から、リフレッシュできるものを見つけましょう。
周りに相談する
ストレスは、1人で抱え込まないことが大切です。職場の上司や同僚だけでなく、友人や家族の中から相談できる人を見つけましょう。人に相談すると、悩みを言語化する過程で自身の気持ちや状況を整理でき、心が軽くなることが多いものです。相手から良いアドバイスをもらえることもあるでしょう。
ストレスの度合いによっては、心療内科や精神科が役に立ちます。心療内科や精神科に通うことに抵抗がある方もいるでしょう。しかし、実は気軽に利用できる場所であり、早めに受診することで、状況が悪化するのを防げます。知り合いには話しにくい悩みを相談できたり、メンタルヘルスの専門家から適切なアドバイスをもらえたりするチャンスです。ストレスを感じたら、まずはカウンセリングから利用してみましょう。
マインドフルネスを意識する
マインドフルネスとは、過去や未来ではなく、現在に集中する思考法です。
過去の失敗や未来への不安に気を取られると、ネガティブな気持ちになってしまうことが少なくありません。これは、自らストレスを抱えにいっているようなものです。
マインドフルネスでは、過去ではなく現在に目を向け、目の前のやるべきことに集中することが大切とされています。
マインドフルネスの具体的な実践方法としては、めい想が挙げられます。めい想は気軽に取り組みやすく、ストレスを解消するほか、脳を活性化させて仕事のパフォーマンスを上げる効果も期待されています。呼吸を整えて目を閉じ、頭に浮かんだ考えではなく呼吸に集中するようにしましょう。毎日意識的に行うと効果的です。
セルフケアを成功させるポイント
従業員が自らセルフケアを行い、メンタルヘルス不調を予防できるようになるためのポイントは、以下のとおりです。
- セルフケアを義務づけない
- セルフケア教育を実施する
- ストレスチェックを実施する
ここでは、それぞれのポイントについて解説します。
セルフケアを義務づけない
セルフケアは重要な取り組みですが、従業員に強制させると、かえってストレスの原因になってしまいます。
セルフケアは、強制的にやらせるものではなく、従業員が自発的に取り組むものです。どのようなセルフケアを行うかも、従業員本人の自由です。
そのため、実施を義務づけるのではなく、取り組んでもらえるよう、社内ポータルや研修などのツールを使って重要性を訴求することがポイントです。
セルフケア教育を実施する
セルフケア教育を実施し、ストレスとメンタルヘルスに関する基礎知識やストレスの気づき方、セルフケアの種類を従業員に教えることは、セルフケアを浸透させるために欠かせません。
セルフケア教育では、以下の項目について従業員に伝えることが大切です。
- セルフケアの意義
- ストレスの要因や対処法
- メンタルヘルスに関する基礎知識
- セルフケアの具体的な実践方法
- 相談窓口の存在や連絡先
セルフケア教育は、対面やe-ラーニング、オンライン研修など、さまざまな形式で実施できます。自社で研修コンテンツを用意するのが難しい場合は、外部機関に研修の実施を委託することも可能です。また、厚生労働省が公開しているe-ラーニングのコンテンツを活用することもおすすめです。
参考:こころの耳「eラーニングで学ぶ「15分でわかるセルフケア」
ストレスチェックを実施する
セルフケアの重要性を従業員に理解してもらったり、必要性に気づいてもらったりするきっかけとなるのが、ストレスチェックです。
ストレスチェックとは、従業員が抱えるストレス度合いを測定し、可視化できるものです。
ストレスチェックの結果は受検者本人に通知され、自身の現在のストレス状況や課題を認識できます。本人の同意がない限り、企業に結果が通知されることはありません。
ストレスチェックの実施は、労働者が常時50人以上いる事業場については義務とされています。それ以外の事業場は努力義務ですが、セルフケアを浸透させるために有効な施策であるため、積極的に実施しましょう。
まとめ:セルフケアの重要性を理解し、社内に共有しよう
従業員が自らのメンタルヘルス不調に気づき、ストレスに対処するセルフケアは、従業員が深刻な状況に陥ることを防ぎ、心身とも健康に働くために欠かせないメンタルヘルスケアの1つです。
セルフケアの多くは、すぐに始められる簡単な取り組みです。まずは、従業員にセルフケアの重要性を理解してもらい、従業員が積極的にセルフケアを実践しようとする環境を整えましょう。
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