健康診断の二次検査とは?受診勧奨や費用負担の必要はある?

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健康診断が終わった後、人によっては二次検査が必要だと医師の指示を受けることがあります。健康診断の二次検査とはどのような検査で、従業員に受けさせる必要はあるのでしょうか。

本記事では、健康診断の二次検査について、受診勧奨や費用負担の必要性、使える助成金まで含め、健康診断の二次検査の概要をご紹介します。健康診断の二次検査について知りたい企業の担当者、経営者の方はぜひご一読ください。

健康診断の二次検査とは

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健康診断の二次検査とは、一次検査の結果、健康状態に何らかの問題がある、またはその可能性が高いと判断された場合に受ける検査のことを指します。このため、定期健康診断などの法定健康診断はもちろん、オプション検査や人間ドックなどでも二次検査が必要となるケースがあります。

健康診断の種類やオプション検査については、以下の記事をご参照ください。
健康診断の値段まとめ|一般健康診断の内容とオプション検査項目を解説

二次検査が必要となる検査結果

二次検査が必要となる検査結果を解説するにあたり、まずは健康診断で出される判定について確認しましょう。ただし、下記の判定は一例であり、医療機関によって名称や区分が異なるります

判定 概要
A:異常なし 今回の検査の範囲で、異常は認められなかった。
B:軽度の異常 異常なしの範囲には入らないが、個人差と考えられる程度。
C:要経過観察 指定の経過期間の後、再検査を行うことを推奨する。
D2:要精密検査 異常所見が認められるため、さらに詳しい検査を推奨する。
D1:要医療 治療が必要と考えられる。医療機関の受診を推奨する。
E:治療中 現在治療中の疾患や症状である。

二次検査が必要となるのは「C:要経過観察」または「D2:要精密検査」の2つです。これらの結果は、それぞれ多少指示が異なるものの、さらなる検査を受けることが推奨されます。このように2回も検査が必要なのは、一次検査では「健康か、健康でないか」を検査し、二次検査で「疾患なのか、そこまでには至っていないのか」を検査するためです。

判定結果が「A:異常なし」や「B:軽度の異常」であれば、ほぼ健康と考えられます。自覚症状などがない限り、二次検査を受ける必要はありません。一方、「D1:要医療」の場合は明らかな異常が認められるため、すぐに医師の診察を受ける必要があるとされています。また「E:治療中」は治療を受けている状態です。どちらも二次検査を推奨することはありません。

健康診断の各項目についての検査結果の見方を詳しく知りたい方は、ぜひ以下の記事もご参照ください。
健康診断の結果の見方や管理する上で知っておくべきことをご紹介

再検査と精密検査はどう違う?

判定結果でも触れたように、二次検査には「再検査」と「精密検査」の2種類があり、それぞれ以下のように行う意義が異なります。

  • 再検査…健康診断で行った検査と同じ検査を行い、異常な数値が一時的なものか、恒常的なものか判断する。
  • 精密検査…健康診断で行った検査よりももう一歩詳しい検査を行い、異常値が具体的にどんな疾患から引き起こされているか、治療が必要な段階か確認する。

再検査では、健康診断の際に一時的な異常が起こってたまたま異常値が出ただけなのか、本当に身体の問題があって異常値が出たのかをチェックします。例えば、食事制限があったのにうっかり朝ご飯を食べて検査を受けてしまった場合、血液検査の値に異常が生じることがあります。そこで、空腹状態で再検査し、それでも数値が異常であれば、身体に本当に異常が起こっていると考えられるのです。

一方、精密検査は健康診断で異常があることはほぼ間違いないと判断したうえで、異常の原因を特定するために行われる検査です。例えば、胸部X線検査で肺に影があった場合、何らかの異常があると考えられますが、なぜ影が写ったのか、影の部分に何があるのかは精密検査をしないとわかりません。

再検査や精密検査を受ける医療機関は、どこで受診しても構いません。健康診断を受けたところと同じ医療機関で受診するなら、既に医療機関側が受診者の情報を持っているため、検査がスムーズに進むでしょう。

一方、セカンドオピニオンの意味も含めて別の医療機関で受診するという選択肢もあります。ただし、別の医療機関で受診する場合は紹介状が必要となる場合もあることに注意しましょう。

定期健康診断の二次検査は企業の義務になる?

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定期健康診断は法定健康診断の一種なので、企業が従業員に受けさせることが労働安全衛生法で義務付けられています。このため、健康診断を受診する費用についても、企業が負担するべきとされています。

しかし、検査結果によって二次検査の指示が出た場合、二次検査を受けさせることは企業の義務ではありません。厚生労働省「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」によれば、企業は法定健康診断の結果によって二次検査の受診勧奨を行うことが適当であるとされていますが、罰則があるわけではありません。二次検査を受ける場合の費用負担も、各企業の判断に委ねられています

とはいえ、定期健康診断によって二次検査の指示が出た場合に再検査や精密検査を受けず、企業がそのままの労働環境を改善しなかった場合、安全配慮義務違反などの責任が問われる可能性もあります。できるだけ再検査や精密検査の受診勧奨をすること、その結果を報告してもらったり、保健指導を受けてもらったりすることが望ましいでしょう。

健康診断の結果提出について、詳しくは以下の記事をご参照ください。
健康診断の結果提出を会社が命じられる?誰が把握できるかもチェック

二次検査の費用を企業が負担するのは義務ではないものの、企業が負担すれば二次検査を受けやすくなるでしょう。従業員が二次検査を受診しやすくするため、企業が費用負担することで受診勧奨するのも一つの方法です。

健康診断の費用について、詳しくは以下の記事もご参照ください。
健康診断は保険適用にならない?費用や適用されるケースを解説

定期健康診断で二次検査の指示が出たら

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健康診断の結果で二次検査の指示が出たら、企業がすべきことを解説します。

受診勧奨

健康診断の結果で二次検査の指示が出た場合、まずは当該従業員に対して受診勧奨を行いましょう。これは企業の努力義務とされていて、必ずしも行わなくてはならないわけではありませんが、企業には従業員に対する「安全配慮義務」があることを考慮すると、できるだけ受診勧奨をしておくのが良いでしょう。

また、日頃から職場の雰囲気を良好にし、二次検査を受診するために休んだり、不在にしたりする際に助け合える環境を作っておくこと、産業医の協力のもと健康に関する教育を行ったり、健康管理の重要性を自覚してもらったりしておくことも、受診勧奨の一環として重要です。

保健指導

健康診断の結果に応じて、保健指導への参加を促すことも重要です。これは労働安全衛生法第66の7で以下のように規定されています。
■労働安全衛生法第66の7
事業者は、(中略)健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要があると認める労働者に対し、医師又は保健師による保健指導を行うように努めなければならない。

このように、受診勧奨と同じように保健指導も企業にとっては努力義務であり、必ず実施しなくてはならないものではありませんが、従業員の健康管理意識の向上に努める意味でも保健指導の実施が望ましいでしょう。

なお、保健指導の内容については、産業医などと相談の上、実施する指導内容を決定しましょう。

二次検査を受けたがらない従業員がいたら

ここまで解説してきたように、健康診断の二次検査は企業側にとっても従業員側にとっても受診が義務ではありません。そのため、法定健康診断となる一次検査は受診費用を企業負担としていても、二次検査の受診費用は従業員の自己負担としている企業が多いことから、二次検査を受けたがらない従業員がいることも十分考えられます。

もちろん、絶対に二次検査を受けたくないという従業員に対し、たとえ企業が費用を全額負担したとしても受診を強制することはできません。しかし、何の対策も講じず、健康状態の悪化を知りながらそのまま業務を継続させた結果、従業員が重大な疾患を発症した場合、企業は安全配慮義務違反を問われることがあります。場合によっては損害賠償請求、社会的信用の低下にもつながりかねません。

そもそも、企業にとって従業員は大切な人材です。せっかく健康診断を行っているのに、発見した結果を活かすことができず、従業員が疾患発症によって業務を継続できなくなった場合、従業員自身にとっても企業にとっても大きな損害になるでしょう。

そこで、従業員に普段から健康管理の重要性を理解してもらうよう教育の機会を設けたり、二次検査の費用も企業負担としたりして、受診を推奨するようにしましょう。「時間がない」「自覚症状がないから大丈夫」と考える従業員も多いため、自覚症状がないまま進行していく疾患もあることについて、しっかり理解してもらうことも重要です。

また、後述しますが条件を満たせば「労災保険二次健康診断等給付」という制度が利用できることもあり、企業も従業員も費用負担がないというケースがあります。この場合は、ぜひ従業員に説明し、負担を軽くして受診してもらうと良いでしょう。

健康診断の二次検査に費用がかからないケースがある?

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健康診断の二次検査を受診する場合、項目によっては「労災保険二次健康診断等給付」という制度を使って無料で受診できるケースがあります。具体的には、一次検査(定期健康診断など)で以下の4つの項目すべてに異常が認められた場合が当てはまります。

  • 血圧検査
  • 血中脂質検査
  • 血糖検査
  • 腹囲の検査またはBMI(肥満度)の測定

また、4項目すべてに所見がない場合でも、産業医などが就業環境などを総合的に鑑み、一定の項目に異常の所見を認めて、「労災二次健康診断を実施する必要あり」と診断する場合には、給付要件を満たすことができます。

ただし、上記の要件に加え「脳・心臓疾患の症状を有していないこと」「労災保険の特別加入者でないこと」の2つの要件も満たす必要があります。特に、一次検査で上記の異常と同時に脳・心臓疾患の症状が見つかった場合には給付を受けられませんので、注意しましょう。

「労災保険二次健康診断等給付」では、二次健康診断と特定保健指導を無料で受けられます。

<二次健康診断>
脳血管と心臓の状態を把握するために、以下の検査を行います。

  1. 空腹時血中脂質検査
  2. 空腹時血糖値検査
  3. ヘモグロビンA₁c検査(※一次検査で未実施の場合)
  4. 負荷心電図検査または胸部超音波検査(心エコー検査)のいずれか一方の検査
  5. 頸部超音波検査(頸部エコー検査)
  6. 微量アルブミン尿検査(※一次検査の尿蛋白検査で、(±)または(+)の場合)

<特定保健指導>
二次健康診断の結果を受け、脳・心臓疾患の発症予防を目的として、医師または保健師の面接により「栄養・運動・生活」の3つについて指導を行います

「労災保険二次健康診断等給付」を利用して二次検査を受診できる医療機関は、厚生労働省の指定を受けたところのみです。医療機関の名簿は、厚生労働省のページからご確認ください。

健康診断の二次検査を受診しやすくし、従業員の健康を守ろう

二次検査とは、健康診断の結果で再検査や精密検査が必要となった場合、医療機関を受診して検査を受けるものです。法定健康診断であっても、二次検査の受診は企業・従業員ともに義務ではないため、受診したがらない従業員もいます。しかし、企業の安全配慮義務などを考慮すると、二次検査の指示があった従業員には受診勧奨を行うべきでしょう。

二次検査の受診勧奨を行うためには、健康診断の結果から従業員を抽出しなくてはなりませんが、紙ベースの管理では探し出すのが大変です。健康診断のデジタルデータ管理が可能な健康管理システムHSSなら、検索ですぐに受診勧奨すべき従業員を抽出できます。二次検査が必要な従業員に対し、一斉に勧奨メールの送信なども可能です。

二次検査の受診勧奨を含め、健康診断の結果やデータを一元管理したい担当者の方は、ぜひ一度ご相談ください。

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執筆者:HSS編集部

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